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ハーレムパーティ作るから追放ってそれはないでしょう!
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「はい、エリトくん、あーん」
「ちょっとユーミずるい!そのパイ作ったの私!」
「どっちでもいいじゃん。スリーナちゃんちっちゃいなあ」
「胸か?胸の話か?おう?」
「誤解だよー!」
「ちょっと二人とも落ち着いて」
冒険者パーティ【火達磨】で付与術師として大活躍中の俺、エリトは見ての通り、事あるごとにアーチャーとシーフの少女に挟まれている。
いやあ極楽極楽……なのだが、二人とも人目を憚らず俺にイチャついてくるので少し困っている。特にとある男の視線が凄く痛い。
「エリト、悪いけどこのパーティ抜けてくれないか」
【火達磨】がAランクに昇格して数日たったころ、パーティリーダーのモーテンが申し訳なさそうに俺に告げた。
「えっ?俺ちゃんと付与してたよな?何か問題でもあったか?」
「そうだな、お前の付与術に助けられてきたのは間違いない。しかしAランクに昇格した今となってははっきりいって微々たるものだ。さらに前衛の薄いこのパーティでこれから後衛二人カバーするのは厳しくなる。お前も死にたくはないだろ」
とかなんとか言ってるけど、俺からユーミとスリーナを取り上げたいだけだろう。
微々たる付与術なしでやっていけるかわからないが、まあいいさ。
例え撤回されたとしても、こんな状況で何事もなかったようにダンジョンに潜れるかといえば厳しい。
「そうか……残念だが仕方ない」
「すまないな」
「エリトくん抜けちゃうんだ」
「悪いな、そろそろ限界を感じてしまってね」
「残念だけど、仕方ないなー」
ユーミ、スリーナに別れの挨拶をした俺は故郷近くの都市に向かった。
エリト、悪く思わないでくれよ。
俺がハーレムパーティを築くにはどうしてもお前が邪魔だった。
恨むならイケメンに生まれた自分を恨め。
(※エリトは別にイケメンではありません。モーテンよりマシ程度)
Aランクパーティに昇格した頃に、ちょうどフリーの女剣士フェンに出会えたことも幸運だった。
フェンはBランクだが、見た感じまだ伸びる余地はありそうだ。
エリトの付与術がどの程度のものかわからなかったが、奴の抜けた穴を埋めるには充分だろう。
エリトが離脱した翌朝にギルドでフェンと合流し、その日のうちに連携確認を兼ねて比較的低レベルのダンジョンを踏破したが、フェンは思った以上に強かった。
結果として、俺の判断は間違っていなかったということだ。
モーテンはまだ知らなかったのだ。
エリトの付与術効果が実はAランクパーティにとっては本当に微々たるものだったことを。
エリトがいなくても魔王軍四天王の一角を撃破できてしまうことを。
エリトがいなくてもモーテンになびく女はいないということを。
エリトがいなくなってようやくモーテンは自身の非モテぶりを自覚することになったのだった。
なお、エリトは帰還ついでに護衛依頼をCランクパーティと合同で受注したところ、意気投合してそのまま正式にパーティ加入することとなり、のんびりと冒険者稼業を楽しむのであった。
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