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笑いにとって苦痛しかない、今を変えたい、ぶち壊したい、ヨーチェケラッチョなんて嫌いだ。
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私は転生者だ、
元の記憶はほとんど無く、かすかに覚えているのは、
大衆から絶賛を受けている有名人であること、
何とかのパレードまでやっていたとか、
とある人からは笑わない人としての揶揄を受けたとか
それくらいだ。
つい先ほど、小石に引っ掛け大げさに転んだ際に、大理石を敷いた床に額を打ってしまった。
何故、こんなところに!?と思ったが、それより私が転生であることの真実に動揺を隠せなかった。
転生前で覚えているのは嫌な過去ばかりで、眉にしわを寄せる。
今の自分は決して笑わないお嬢様で、身体に足りる部分が満足できないようである。
加えて、転生前の自分はかなりの短気ですぐ癇癪を起すタイプだった。
機嫌ナナメの上に貧乏ゆすりをする、華奢な手で長い髪をかき上げる。
「いっそのことボウズになりてえな…」
と呟いた。
転生前は男性だったので、そういう仕草ができるのは不思議そうでもない。
戦国時代で武田軍に負けて籠城した将軍そのものを浮かんで
その髪型なら長い髪を纏うことなく楽なのだろうと目を擦る。
さて、今いるのは…
目に映るのはベッド、ソファ、円形のデスク、窓といった
一般的な令嬢の私室といったところだ。
「お嬢様、失礼します。」
ガチャと扉が開く、阿〇快さん似の執事が入ってくる。
「こういうのも失礼します。」
といいヨーチェケラッチョのポーズをとって自分に向けて笑いを取ろうとした。
「…………」
「…………おや、本日も笑わないのですね」
相手の出方を伺い、色んなポーズを変化していく。
執事がつまらないポーズだからだよ。
と言いたくても、そもそも自分は笑ったことがない。
ついでに自分が引いてしまうくらい、顔の筋肉が張り詰めている。
結果的にポーカーフェイスな令嬢は、
「ウザい!」
と強烈な言葉を突き出したが、
「ああっ、そこ弱いのよっ!」
執事は自分を抱きしめるような仕草をし、
恍惚な印象を受けて昇天して倒れた。
……どこもどいつもくだらない事をやっていやがって…
気づいたけど、自分は笑いを受けるのが屈辱に感じるようだ。
今の世界は笑いが敵なの? 前は、お笑い芸人をクソ野郎と罵ったせいだから?
貴族から平民まで、この辺りの一国全員は、
ジョーク飛ばすとかの笑いとかで、
平和が守られているらしい。
特にイラつくのが父上である。
毎回、父上のくだらないジョークに付き合わされたり、
時には殺意を感じたことも。
そして、どこからもなくベルの音がここに響いたようだ。
同時にMな執事がいきなり立って、アクロバットを披露して、
「お嬢様、お食事の時間ですよ。」
グルグル回りながら廊下渡りに視野が見えなくなるまでやってたそうな。
「はあ…」
いつものことだろう、
食事中に毎度のことながら父上がやらかす事を…
彼女の脳裏には、
もしも父上が亡くなったら、
全ての民も笑えない事態になるだろうか、
そうだったらこの国を牛耳ることが出来よう、
トンデモナイ発想をしでかす彼女の野望が始まるのか?
(続く)
元の記憶はほとんど無く、かすかに覚えているのは、
大衆から絶賛を受けている有名人であること、
何とかのパレードまでやっていたとか、
とある人からは笑わない人としての揶揄を受けたとか
それくらいだ。
つい先ほど、小石に引っ掛け大げさに転んだ際に、大理石を敷いた床に額を打ってしまった。
何故、こんなところに!?と思ったが、それより私が転生であることの真実に動揺を隠せなかった。
転生前で覚えているのは嫌な過去ばかりで、眉にしわを寄せる。
今の自分は決して笑わないお嬢様で、身体に足りる部分が満足できないようである。
加えて、転生前の自分はかなりの短気ですぐ癇癪を起すタイプだった。
機嫌ナナメの上に貧乏ゆすりをする、華奢な手で長い髪をかき上げる。
「いっそのことボウズになりてえな…」
と呟いた。
転生前は男性だったので、そういう仕草ができるのは不思議そうでもない。
戦国時代で武田軍に負けて籠城した将軍そのものを浮かんで
その髪型なら長い髪を纏うことなく楽なのだろうと目を擦る。
さて、今いるのは…
目に映るのはベッド、ソファ、円形のデスク、窓といった
一般的な令嬢の私室といったところだ。
「お嬢様、失礼します。」
ガチャと扉が開く、阿〇快さん似の執事が入ってくる。
「こういうのも失礼します。」
といいヨーチェケラッチョのポーズをとって自分に向けて笑いを取ろうとした。
「…………」
「…………おや、本日も笑わないのですね」
相手の出方を伺い、色んなポーズを変化していく。
執事がつまらないポーズだからだよ。
と言いたくても、そもそも自分は笑ったことがない。
ついでに自分が引いてしまうくらい、顔の筋肉が張り詰めている。
結果的にポーカーフェイスな令嬢は、
「ウザい!」
と強烈な言葉を突き出したが、
「ああっ、そこ弱いのよっ!」
執事は自分を抱きしめるような仕草をし、
恍惚な印象を受けて昇天して倒れた。
……どこもどいつもくだらない事をやっていやがって…
気づいたけど、自分は笑いを受けるのが屈辱に感じるようだ。
今の世界は笑いが敵なの? 前は、お笑い芸人をクソ野郎と罵ったせいだから?
貴族から平民まで、この辺りの一国全員は、
ジョーク飛ばすとかの笑いとかで、
平和が守られているらしい。
特にイラつくのが父上である。
毎回、父上のくだらないジョークに付き合わされたり、
時には殺意を感じたことも。
そして、どこからもなくベルの音がここに響いたようだ。
同時にMな執事がいきなり立って、アクロバットを披露して、
「お嬢様、お食事の時間ですよ。」
グルグル回りながら廊下渡りに視野が見えなくなるまでやってたそうな。
「はあ…」
いつものことだろう、
食事中に毎度のことながら父上がやらかす事を…
彼女の脳裏には、
もしも父上が亡くなったら、
全ての民も笑えない事態になるだろうか、
そうだったらこの国を牛耳ることが出来よう、
トンデモナイ発想をしでかす彼女の野望が始まるのか?
(続く)
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