お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

文字の大きさ
上 下
50 / 315
4巻

4-2

しおりを挟む
 聖龍様との挨拶を終えて湖のふちに戻ると、ファラサールさんが待っていた。

「ティーゴ君。妖精の粉コレをプレゼントするよ!」
「えっ、いいんですか? こんな貴重なもの……!」

 ファラサールさんが、俺に妖精の粉をプレゼントしてくれた。妖精の粉はかなり貴重で、今くれた小さな一瓶だけでも金貨数百枚はくだらないって聞いた。
 そんな貴重なものをポンっとくれるなんて……。

「ありがとうございます!」
「ふふっ、これで上手に飛ぶ練習してね?」

 ……くそう。嬉しいのに何だろう。素直に喜べない……! 絶対に上手く飛べるようになってやる!
 俺は気を取り直して、エルフの里をつことにする。

「じゃあ……ルクセンベルク街に行きますか。銀太頼んだよ!」
『任せるのだ!』

 ルクセンベルク街か。俺が神様に祭り上げられて、逃げ出して以来だな。さすがに大分時が経ったし、もう落ち着いてるだろうな!


 …………なんて、のん気に考えていた俺が、バカだった……。
 ――何だこれ⁉
 転移して来た広場には大きな銅像が……これは……どう見ても俺達。

『ほう……これは我か! 中々カッコ良いのう。我は気に入ったのだ!』

 銀太は銅像を見て、尻尾をブンブン振って嬉しそうだけど!
 元からあったカスパール様の立派な銅像の横に、俺達の銅像が負けじと並んでいた。
 銅像を立てたって話は聞いて知ってたけど……こんなに大きいなんて! しかも街の一番目立つ場所に……!
 銅像は俺の他に、銀太とスバル。そして人化した一号、二号、三号……それに! この時まだ卵だったはずのティアまで俺の肩に座っている。
 何でだ⁉ いつティアのことを知った?
 さらに周りの商店街を見渡せば……。
 神様――つまり俺達のことだが――の商品が至る所で販売され……賑わっていた。
 絵姿えすがたに加えて、銀太やスバルの形をしたぬいぐるみ、小さなチャームなど、種類が多過ぎて挙げたらキリがない。

「ファ……ファラサールさん、これって?」
「ああ! 神様グッズかい? ルクセンベルクの一番の人気商品なんだよ? 神様グッズこれのおかげで街が潤ってね? 魔族に壊された街が、すぐに立ち直ることが出来たんだよ」
「いやっ……はは。街が潤うのはいいんですが……この神様の絵姿とか俺達そっくりですよ? 誰がこんな上手に? 俺の顔なんてよく見られてないはずなのに。凄くよく出来てて……」
「そりゃそうさ! 僕も力を入れて頑張ったからね!」

 ――何だって⁉ 

「えっ? ちょっ⁉ ファラサールさんもこれに関わってるんですか?」
「あっやっ? ちょっと手伝っただけだよ? 僕はまったく関係ないよ?」

 そう言いながらも、明らかにファラサールさんの様子はおかしい。瞳をキョロキョロさせ、手は落ち着かず指をモジモジと動かしている。
 怪しすぎるだろ! 誤魔化ごまかすの下手か。
 気が付くと俺達の周りに人垣が出来ていた。
 一気に周囲がザワザワと騒がしくなる。

「神様が降臨こうりんされた」「お姿を目に焼き付けないと」「麗しい」「神様ー! もういつ死んでも後悔しない」「ああ神様ー!」

 みんなが手を合わせて俺達をおがんでいる。
 ちょっと! 俺、神様じゃないからね? みんなと同じ人族だから!
 そんな俺の気持ちとは裏腹に、どんどん人が集まってくる。このままこの場所に居るのはマズいな。

「銀太、ギルドに転移してくれ!」
『分かったのだ!』

 ファラサールさんを連れて冒険者ギルドに転移し、俺達は二階の部屋に急いで駆け上がる。
 凄いな……前に街を救った時より盛り上がってないか?
 俺の疑問を察したのか、ファラサールさんが言う。

「今やこの街で、神様は凄い人気なんだよ! 神様グッズを集めると幸せになれるって噂も広まって、他国から買いに来る人も居るくらいなんだよ?」

 他国……だと⁉ この国での旅を終えたら、他国にも行ってみようと思ってるのに……やめてくれ! このはずかしめを他国にまで広めないでくれ!
 結局、俺達はこの街での買い物はあきらめて、ドヴロヴニク街で買い物をすることにした。
 こんな状態で買い物なんて絶対に無理だからな。

「あっ! そうそう、ティーゴ君。お土産みやげ貰って行ってよ。ルクセンベルクまで送ってくれてありがとう! またいつでも遊びにおいでよ?」
「うん……もう少し街が落ち着いたらまた来るよ! お土産ありがとう」

 ドヴロヴニク街に転移する前に、ファラサールさんがお土産をくれた。大きな袋だな? 何が入ってるんだ?

 ★ ★ ★

 ドヴロヴニク街での買い物を終え、俺と銀太は異空間に帰って来た。
 自分の家があるっていいな。落ち着くよ。
 家に入ると、そのままみんながくつろいでいる居間へと向かう。

「ただいまー!」
「お帰り! 何を買って来たんじゃ?」

 俺に気付いたパールが、ゆらりと尻尾を揺らしながら近寄ってくる。

「食材とか調味料とか……追加でパールが欲しがってた種とか色々買って来たよ!」
「そうか! バッチリじゃのう。それで外の畑は見たか?」

 パールは嬉しそうに話す。

「見たよ、黄金色こがねいろに輝く大きな小麦畑! その横にあった小屋は何?」
「あれは小麦を小麦粉にする場所じゃ!」
「す……凄い! さすがパールだね。先のことまで考えてるなんて天才だ!」
「まっ……まあの? ワシ、天才じゃからして……」

 パールの尻尾の揺れが激しく揺れる。すっごく嬉しいのが尻尾でバレてるぞ。

「あっそうだ! お土産貰ったんだった」
「土産?」
「うん。ファラサールさんがね、くれたんだ」

 貰った大きな袋をアイテムボックスから出し、みんなの前に広げると……。
 何と袋の中には、沢山のぬいぐるみが入っていた。

『わっ! これはティアなの! 可愛いの!』
『お? これは俺か? 小さい小鳥の姿の方だな。中々……可愛いじゃねーか!』
『あら? 私達も可愛いじゃない。抱き心地もいいわね』
『あっし……カッコいい』
『俺がぬいぐるみに……』

 ティア、スバル、一号達が自分そっくりのぬいぐるみに大興奮。まさかこんなものが入っていたとは。
 ――ん?
 ピラッと、お土産が入っていた袋から何かが落ちる。
 何だ……手紙?

 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ティーゴ君。これは今度発売される神様グッズの、新作ぬいぐるみだよ!
【モフッと最高の抱き心地♡神様達】っていうんだけど、どうかな?
 実を言うと自信作なんだ。気に入ってもらえたらいいなぁ♪
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 俺は手紙を握りしめて遠くを見つめた。
 ファラサールさん……やっぱり……グッズ製作にめちゃくちゃからんでるじゃねーか!

 ★ ★ ★

 ぬいぐるみのお土産を開けてから少しして、俺は居間でパールにある相談をする。

「あのさパール。エルフの里で女神様から教えてもらったんだけど、俺が慈愛の手で愛情込めて水をやると、作物が大きく成長するんだって! 試してみていいか?」
「ほう? そんな面白いことが! それは早速試してみるのじゃ」

 パールは今すぐに試そうとやる気満々。一緒に外の畑に出て行こうとすると、二号も気になったのか、後をついて来た。
 俺達は早速ウロウロと作物を見て回る。
 種に使うのが良いのか? 成長してても使えるのか? どれにしようか?とか考えながら色んな作物を眺める。
 すると俺達に気付いたキラが、ドスドスと音を立てて走ってきた。

『ティーゴ!……何して、るだ?』
「あれ? キラ、こんな所に居たのか!」
『オデ、外が、落ち着く……異空間、サンポしてた』
「そうか。今日はもう遅いから、明日ドラゴン渓谷に出発しような!」
『分かった……明日。楽しみ』
「今から水やりするんだけど、見て行くか?」
『ありがとう!……でも、オデ、もすこし、サンポしてくる』
「そうか。あんまり遠くに行くなよ?」
『うん』

 キラは楽しそうに異空間の散歩を再開した。
 その横をジャイコブウルフ達が踊りながら歩く。いつの間に仲良くなったんだ?

 ★ ★ ★

『なぁティーゴ。まずはこの小麦に試してみないか?』

 二号が一つの小麦を指差す。
 だがそれは、収穫出来るほどに成長してるぞ?

「黄金色に成長してるけど、これ以上、変化するか?」
『だから、これ以上どう成長するのかを試してみたいんだよ! れるのかもしれないしな』
「ほう……二号は意外と勝負師じゃの。その考え、面白いのう」
「なるほどね。試す価値ありだな」

 パールが笑い、俺も頷く。
 ようし!とやる気を出してはみたが、全てに水をかけてダメにするのは嫌だから、小麦の一部分に試してみることにした。
 ええと……愛情を込めて水をやるんだよな? 愛情を込めるってどーするんだ?
 とりあえず俺は心の中で……(大きくなーれ! 大好きだよー)と言いながら魔法で水を出して小麦にかけていく……声に出すのは恥ずかしいからな!

「なっ⁉」

 次の瞬間! 水をかけた小麦の種子だけが二倍の大きさに膨らんだ!

「凄いのじゃ! 一瞬でこんなにも大きな種子が! しかも、特殊効果もついておるぞ」

 えっ、特殊効果だって? 急いで神眼しんがんで確認すると……。


いやしの小麦】
 普通の小麦よりも甘く栄養価も高い。
 食べるだけで慈愛の効果により心が満たされ癒される。
 魔力が一時的に20%上昇する。
 攻撃力が一時的に20%上昇する。


 なっ何だ、これは……普通の小麦じゃなくなってる。何だ? 癒しの小麦って。

『凄いぜティーゴ! どんな愛情を込めたんだよ』

 二号は小麦の変貌へんぼうぶりに驚きを隠せない。目を見開き俺の背中をバンバンと叩く。

「これは凄いのじゃ! 次は種をいて水をかけてみよう」

 パールはトゥマトの種を、わくわくしながら畑に蒔く。
 よし! さっきみたいに……大きくなーれ。大好きだよー。美味しい実をつけろよー。
 心の中でそう唱える。
 すると種はすぐに芽を出し、ニョキニョキと大きく成長!
 あっという間に、赤く大きなトゥマトの実がなった。もちろん特殊効果付きだ。


【パワートゥマト】
 フルーツみたいに甘いトゥマト。
 濃厚なのにアッサリ。
 攻撃力が一時的に20%上昇する。
 体力が一時的に20%上昇する。


「こっ……これはワシのオリジナル魔法【植物急成長】の効果まであるのか! 凄いのじゃ、慈愛の手」

 本当に凄過ぎる。これがあったら何でも作ることが出来る。
 もう……食材を買いに行かなくても良い! 必要になったら種を蒔いて水をかければいいんだから。在庫の心配がなくなるなんて最高だ。

『ティーゴ! このトゥマト食べてみろ。めちゃくちゃ美味しい!』

 二号がトゥマトを頬張ほおばりながら、俺にじゅくしたトゥマトを手渡してきた。
 ガブッとかぶりつくと……。

「ほっ……本当だ! 甘くてジューシーで……普通のトゥマトの何倍も美味しい」
美味うまいのじゃ! 甘味みたいじゃ!」

 パールも口周りの毛を真っ赤に染めながら美味しそうに食べる。

「よし。ティーゴよ、トウカの木にも水をかけるのじゃ」
『ティーゴ! レインボーマスカットにも!』
「こっちもじゃ!」
『これもだ!』

 俺はパールと二号に連れ回され、延々えんえんと水やりをさせられた。
 気が付くと家の周りは、大きく成長した果実や野菜の畑と化していた。

『ティーゴ。今日はこの大きく育ったトウカの実でパイを作ってくれよ!』

 二号がトウカパイを食べたいと言う。俺も食べてみたいし……よし作るか。

「いいね! じゃあ折角だから収穫した小麦を使って作る? きっと最高に美味いぞ!」
「ああっ早く食べたいのじゃ! 小麦を魔法で収穫するのじゃ」

 俺の話を聞いた食いしん坊のパールは、一瞬で小麦を収穫してしまった。

「早く作るのじゃ!」

 収穫した小麦の前でヨダレを垂らすパール。おいおい、大賢者様の威厳いげんは何処に?

 ★ ★ ★

『主お帰り~!』

 部屋に戻ると、みんなは自分のぬいぐるみを抱いてゴロゴロしていた。
 一号と三号は気持ち良さそうに寝てるな。

『主~、何処行くのだ?』
「美味い甘味を作るために調理場だよ」
『甘味! やったのっ、ティアは楽しみなの!』

 銀太とティアが調理場までついてきた。
 二匹が見ている前で、俺は早速料理に取りかかる。
 まずは作りたての小麦粉を使って、パイ生地をコネコネ……完成したら、ちょっと寝かせて。
 その間にトウカの実を、ジュエルフラワーのみつで煮詰め、ペースト状にする。
 ついでにキラービーの蜜漬けトウカも作る!
 それから、形を整えた生地にペースト状のトウカを塗って、さらに蜜漬けトウカをゴロッと載せる!
 後はそれを焼くだけ! どんな味かなぁ……楽しみだなぁ♪
 数分もすると、甘くていい匂いが調理場に充満する。
 おっ? そろそろパイが焼けたかな?

『主! 出来たのか? 我は食べたいのだ!』
『ティアも! ティアも!』

 匂いに我慢出来なくなった銀太とティアが、ヨダレを垂らし待ち切れない、といった様子。
 相変わらずの食いしん坊達。それもまた可愛いんだがな。

「よし焼けたぞ。はいどーぞ」

 焼けたトウカパイを、銀太とティアが待つ机に並べる。

『美味しいの! はわ……ティアは口の中が幸せなの』
『うむ! 美味いのだ。我も心が満たされていく……!』

 銀太とティアがウットリしてるな……そんなに美味いのか?
 どれ? 俺も食べてみるか。
 サクッと心地好い音が響いた後、口いっぱいに甘い旨味が広がる。

「うんまー! 何これ⁉」

 前に作ったトウカパイの何倍も美味い! それに一口食べるごとに、心が満たされていく。不思議だ。

「よし! みんなで食べるぞ」

 家の外にキラやジャイコブ達が沢山いるから、外でパイ祭りにしよう!

「外でパイ食べるよー!」

 みんなに声をかけ、外に出てトウカパイを食べる準備をする。
 この前創造神様からもらったスキル、コピー料理があるおかげで、元になる料理と材料さえあればどんどん増やせるから楽ちんだ。
「美味いのじゃ! これはパワーアップトウカパイじゃ!」と命名するパール。

『はぁ……美味過ぎるぜ……トウカパイさんよ。俺をこんなにとりこにして……どうする気だ』

 ブッッ……スバルよ。どうにもしないよ。
 パールとスバルはトウカパイが気に入ったのか、口いっぱいに頬張って何個も食べている。
 散歩から帰って来たキラもやって来た。

『ティーゴ……これは?』

 不思議そうにトウカパイを見ている。

『美味いから食べてみな?』

 キラにトウカパイを渡してやる。

『う、美味い……オデ、こんな、美味しいの初めて……食べた』
「美味いだろ?」
『ああ……オデ、幸せ、心満たされる……うう……うわーん』

 キラは突然子供みたいに泣き出した。

「どうしたんだ? 何泣いてんだよキラ?」

 俺はキラを優しく撫でてやる。

『オデ……オデ……うう』

 ズチャ‼と、誰かがリズミカルにステップを踏んだ。そして……
 こんな時はぁ~♪ 俺達の出番~♪
 ハクがずいっと前に出て、高らかに歌う。すると、ロウとキューもその側に寄っていき、三匹はかろやかに踊り始めた。
 ジャイジャイ♪ ジャイコブ♪ ジャイジャイジャイコブ♪ キュッキュウ♪
 独特の節をつけて歌い踊る三匹が、泣いているキラの所へやってきて、そして連れて行く。

『はえ?……オデ、オデ⁉』

 初めはどうしていいのか分からずに、オロオロしていたキラだけど、銀太やスバルも集まり踊り出すと……楽しくなったのか、ジャイコブダンスを楽しそうに踊り出した。
 ジャイジャイ♪ ジャイコブ♪ ジャイジャイジャイコブ♪
 凄いな! ジャイコブダンス♪ みんなが笑顔になる。
 良かった。キラもみんなと仲良くやれそうだな。
 さぁ。明日はドラゴン渓谷への旅に出発だ!


 ……と決意を固めたけど、夜はまだまだ続く。
 あの後……みんなで二号の作ってくれた露天風呂に入り、俺は全員綺麗にシャンプーすることになった。仲間が増えたから、シャンプータイムは中々の重労働だ。それに、風呂から上がった後もアフターケアが待っている。

「次は……リンリン! おいで?」
『ンン♪ パパン♪』

 リンリンに毛がツヤツヤになるオイルを塗り、丁寧にブラッシングしていく。

「なっ……⁉」

 リンリンの尻尾は二倍に膨らんだ! 全身モッフモフだ。
 初めてのシャンプー効果、凄過ぎる。

「次は? ジャイコブ達か?」

 ふうう……ブラッシングタイムも中々重労働になってきた。
 でも、いいんだ! みんなの毛並みは俺が守る! モフモフに仕上がった時が、最高に幸せだからな。
 さぁて、風呂上がりのジュースは何にしようかな?
 さっきトウカパイを食べたから……リコリの実でジュースを作ろう!
 細かくつぶしたリコリにミルクを注いで、簡単ミルクジュースの完成だ。
 どれ? 味見してみよう……はわっ……何これ! めっちゃ美味い。

『ティーゴ! ズルいの! ティアも』

 ジュース大好きなティアが一目散いちもくさんに飛んできた。

「はいはい」

 俺はジュースをみんなに配る。

『美味しいの! 前のより美味しいの!』

 パタパタパタパタッと翼を羽ばたかせ、ティアは嬉しそうに飛び回る。

『うっ……美味いジャイ! はぁ……こんな飲み物があるなんて……!』
『本当コブ……生きてて良かったコブよ』

 初めてミルクジュースを飲んだハクとロウは、感激ダンスを踊り始めた。
 アハハッ……美味いのは分かるけどな。相変わらず楽しい奴等だな。

「なっ⁉ これは美味いのじゃ! 前に飲んだミルクジュースより美味い」
「パールもそう思うか? これって慈愛の力のおかげだよな?」
「ふうむ……こうなると美味いミルクも手に入れたいのじゃ! さすれば……最高のミルクジュースが完成するのじゃ!」

 パールがミルクジュースに対して熱く語る。そこまで気に入ったのか。

「そうだな」

 相変わらず食いしん坊だな、パールは。中身が大賢者様だったとは思えない。
 今は猫の姿だから余計に。

「ようし……ティーゴよ? ワシ、明日はベヒーモスを仲間にする!」
「えっパール? 何言ってるんだ⁉ ……ベヒーモスだって?」

 確かまぼろしのSランク魔獣だろ? 中々出会えないって……本で読んだぞ。

「ワシには昔知り合ったベヒーモスが居るんじゃよ! 其奴そやつを訪ねてみる!」
「そ、そっか……さすがだな、パール」

 ベヒーモスの知り合いって……やっぱり中身は大賢者様なんだな。
 明日は、俺達はドラゴン渓谷に向かって旅を始めて、パールはベヒーモス探しに出発か。しばらくは別行動になりそうだ。


しおりを挟む
感想 1,510

あなたにおすすめの小説

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~

柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」  テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。  この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。  誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。  しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。  その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。  だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。 「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」 「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」  これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語 2月28日HOTランキング9位! 3月1日HOTランキング6位! 本当にありがとうございます!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!

伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。 いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。 衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!! パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。  *表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*  ー(*)のマークはRシーンがあります。ー  少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。  ホットランキング 1位(2021.10.17)  ファンタジーランキング1位(2021.10.17)  小説ランキング 1位(2021.10.17)  ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。