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本編 浮島編
偉大なる大賢者カスパール様からのお言葉
しおりを挟む「もうこの広間に入りきれない程の鳥人たちが集まって来てるぞ」
「……ですね」
俺がそう言うとベリアルが周りを見回し驚愕している。
「本当に圧巻と言えばいいのか……入れない鳥人たちは外で平伏してますね」
メフィストはそう言った後に、さすがはティーゴ様と魔王様ですね。とでも言わんばかりに瞳を輝かせて俺を見る。もちろんベリアルも右に同じ。
お前たちまで一緒になってどーするんだと言いたい。
このフロッティにいる、全ての鳥人がこの広間に集まったんじゃないのかと思う。
「はぁこの祈りながら平伏すのだけでも、せめて止めてくれたら……」
かれこれ三十分この状態が続いている。いつ終わるんだホント。
「なぁパール? 何か言ってこの平伏すのだけでも止めさせてくれないか?」
ここは大賢者カスパール様の出番だろ。頼みますよと必死にパールにお願いしてみる。
「むっ? 何か? ふうむ……止めさせたら良いんじゃな?」
パールは少しの間自慢の顎ヒゲを撫でた後、なにかを閃いたのか真剣な目で鳥人たちを見おろす。
「鷹の王よ、おもてをあげよ」
「はえっ!」
急にパールに名指しされ、慌てて顔を上げる鷹の王。ビックリし過ぎて、涙が止まっている。
「ワシはこんな風にされるのは好かぬ、今すぐやめさせるんじゃ」
ちょっ!? パール言い方な? やめさせて欲しいって頼んだのは俺だけどな? もうちょっとさ他の言い方があるだろ? 鷹の王が今度は顔面蒼白になってるじゃないか。
誤解をとかないと! 鷹の王が半泣きで困っている。
「ええと鷹の王様あのな、好かぬと言うかだな。こんな風に仰々しくするより普通にして欲しいって意味なんですよ! なっ? ですよね? 大賢者様」
「んん? 何を言っておるんじゃ? ティーゴが嫌じゃと言うておったんじゃないか。じゃから好かぬと……」
ヒィー! ばかパール! 空気を読んでくれよ。確かに俺はそう言いましたよ。でもな? どう考えてもこの状況下で一番にいう言葉じゃないだろ。
俺はジト目でパールを見つめると、さすがのパールも分かったのか
「まぁ……ゴホンッ。普通にしてくれ。他の者たちにそう伝えるのじゃ」
少し柔らかく言い換えたんだけど、鷹の王はどうしたら良いのか余計に困っている。
「しっ……しかし、偉大なるお方を前に無礼では?」
「シツコイのう! 二度と言わん。今すぐやめい」
パールが少しキレ気味に言うと、鷹の王は慌ててお辞儀をし立ち上がると。
「あわっ! 分かりました」
平伏している鳥人たちに、やめろと必死に伝えている。
なんとか……普通? まぁ全員が綺麗に正座してるから普通とは言えないが、さっきよりはましな状況下にはなったのかな。
みんなが次の言葉を待っているのが分かる。静かにパールを見つめている。
さすがの鈍感パールも全員に見つめられると、自分が何か言わないと終わらない、と察したようで口を開く。
「まぁ……じゃ。ワシから言える事はじゃの。この国を脅かす恐怖は全て消え失せた」
パールのその一言で、鳥人たちから感嘆の声が上がり、再び泣き出す者も現れる。
「いいか? お主らはの? 今から人生を楽しむんじゃ。愛して、働いて、遊んで、たまには酔っ払って、美しい星を皆で眺めようではないか」
そう言って杖を掲げると、これにはドォンッと地響きをおこす大歓声が巻き起こる。
なんだよパール、急にめちゃくちゃ良い名言を言うじゃないか。たまにはマトモな事も言うんだな。
「という事で今から祭りじゃあー!」
俺が感心していたら勝手に祭りとか言い出すパール。
さっきレミアール王国で祭りしたばっかだろ? いや別にそれは良いんだけどな? 鳥人たちも祭りだと盛り上がってるし。
でもな? まだ鷹の王に重要な話なんにもしてないぞ?
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