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本編 浮島編
レミアール王国の行く末
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「さてとじゃ……全員分け終えたか……」
レミアール王国の人達が全て【善悪分かる門】を通り終えた。パールはAの檻に入っている人達を、眉根に皺を寄せじっと見ている。
「Aのヤツらはどうしようも無いからのう、仕事をちゃんとせんで逃げられても困るし……オーちゃんよ? 前に作って貰った隷属の首輪はまだ残っておるか?」
『はい、まだありますね。燦聖教から回収したのも多数あるので』
「なら大丈夫か。隷属の首輪をこやつらの首に付けるか」
パールがそう呟くと、Aの檻から悲鳴や罵声が上がる。みんな付けられたくないんだろう。
隷属の首輪を付けると、逃げることも許されない。言う事を聞かないと首が締まり死にいたる。無理矢理外そうとすれば、爆発するという恐ろしい首輪だ。
さすが魔導具に詳しい国だけあって、隷属の首輪の事も知っていたんだろう。色々な声が飛び交う中、一際五月蝿く叫ぶ耳障りな声が聞こえてくる。
「おいっ! ワシは王だぞ! 国王に隷属の首輪をつけるだと!? それじゃまるで奴隷じゃないか!」
『何を言っておるのじゃ? お主らはの? 好き勝手し滅ぼしたブルネイ王国復興の手伝いをするんじゃよ。それが終わるまでこの国に帰ってこれんよ』
「なっ……王のワシがが!? なんでそんな事をっ」
国王がさらに騒ごうとするもそれを遮る声が檻から上がった。
「うるせーんだよっ」
「……えっ!?」
突然あびた自分への罵声に、王は目を見開き驚いている。
「そうだよっ元はと言えばお前の所為でこーなったんだろうが!」
「黙ってろよっ」
一人の男が顔を殴ると、檻の中でのうっぷんが全て国王へと集中砲火する。
「ひっいたっあぎゃ!」
「クソ国王がっテメーの言う事聞いてこんな目にあったんだぞ!?」
「やっやめっ……ひぎゃあああっ」
このままだと国王が殴り殺されそうな勢いだ。これはさすがに見るに堪えない。
「おいっ! お前たちやめろっ! そんな事してなんになるんだよっ」
俺は声を張りあげたと同時に、知らない間に魔力で圧を送っていたらしく、みんなの動きがビクッと止まる。
「ほほう……ティーゴよ、中々やるのう。魔力をそう使うか」
パールが自慢の顎髭を右手で梳かすように触りながら、褒めてくれる。少しにやつきながら。
くそう……偶然って分かってるんだろ? 大賢者様は。
そして再び檻から声が上がる。
「お前たち! こんな事をしたって未来は変わらない!」
「そうだ、こんな男を殴ってこれ以上罪を重ねてどーする」
国王の前に二人の男が立つ。なんとドノーキンとワッキヤクだ。
「 「「「「ドノーキン団長」」」」」
「「「「「ワッキヤク団長」」」」」
怒りを露にしていた男たちから、その感情が消える。
「いいか? 俺たちは沢山の人を傷つけたそしてその結果がこれだ」
ドノーキンが力強く力説する。それを静かに聞いている団員たち。
「だから罪を償う努力をしよう」
ワッキヤクまでもが、改心したのか罪を償おうと言う。
なんだあの二人!?
「なぁパール? 洗脳とかしたのか?」
「ぬっわしが!? なんもしとらんよ」
「だってあの変わりようは……」
俺たちが驚いている事に気付いたんだろう。ドノーキンとワッキヤクが俺たちに向かって騎士の敬礼をする。
「不思議と思われても仕方ない。でもあの不思議な踊りを見て、みんなが楽しく笑う。そんな時間が今まで無かったと、昔は良くたわいも無い事で笑っていたのになと思いだしたんです」
ドノーキンがそう言うとワッキヤクも続けて発言する。
「宰相オルクスが来てから、自分は笑う事など無かったと何故あんなにも略奪する事に必死だったのかは分かりません。ですが過去の誤ちは償いたいと思います」
二人は頭を下げた。
急に態度が変わりビックリしたけど、二人が嘘を言っているようには見えない。俺には分かる。
「そうか……」
ドノーキンとワッキヤクの言葉を聞き思う事があったんだろう。ひとり、またひとりと頭を下げていく。最後には国王以外の男たちは全員が頭を下げた。
★★★
「ではワシはこやつらを連れて、ブルネイ王国を視察してくる」
「分かったよ! ここは俺に任せてくれ」
パールはAの檻に入っていた者たちを船に乗せブルネイ王国へと飛び立った。
「さてと俺は友好の肉祭りをするか」
レミアール王国にブルネイ王国の人達が再び降りたつ。
再びレミアール国王となったシヴァと、ブルネイ国王のジャイロその横にはエンリケ皇子が並び、握手をしにこやかに歓談している。
「さてみんな手伝ってくれよ?」
『我に任せるのだ』
『ティアだってがんばるの』
『任せるでキュ』
ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪
さぁ! 楽しい祭りの始まりだぁ!
レミアール王国の人達が全て【善悪分かる門】を通り終えた。パールはAの檻に入っている人達を、眉根に皺を寄せじっと見ている。
「Aのヤツらはどうしようも無いからのう、仕事をちゃんとせんで逃げられても困るし……オーちゃんよ? 前に作って貰った隷属の首輪はまだ残っておるか?」
『はい、まだありますね。燦聖教から回収したのも多数あるので』
「なら大丈夫か。隷属の首輪をこやつらの首に付けるか」
パールがそう呟くと、Aの檻から悲鳴や罵声が上がる。みんな付けられたくないんだろう。
隷属の首輪を付けると、逃げることも許されない。言う事を聞かないと首が締まり死にいたる。無理矢理外そうとすれば、爆発するという恐ろしい首輪だ。
さすが魔導具に詳しい国だけあって、隷属の首輪の事も知っていたんだろう。色々な声が飛び交う中、一際五月蝿く叫ぶ耳障りな声が聞こえてくる。
「おいっ! ワシは王だぞ! 国王に隷属の首輪をつけるだと!? それじゃまるで奴隷じゃないか!」
『何を言っておるのじゃ? お主らはの? 好き勝手し滅ぼしたブルネイ王国復興の手伝いをするんじゃよ。それが終わるまでこの国に帰ってこれんよ』
「なっ……王のワシがが!? なんでそんな事をっ」
国王がさらに騒ごうとするもそれを遮る声が檻から上がった。
「うるせーんだよっ」
「……えっ!?」
突然あびた自分への罵声に、王は目を見開き驚いている。
「そうだよっ元はと言えばお前の所為でこーなったんだろうが!」
「黙ってろよっ」
一人の男が顔を殴ると、檻の中でのうっぷんが全て国王へと集中砲火する。
「ひっいたっあぎゃ!」
「クソ国王がっテメーの言う事聞いてこんな目にあったんだぞ!?」
「やっやめっ……ひぎゃあああっ」
このままだと国王が殴り殺されそうな勢いだ。これはさすがに見るに堪えない。
「おいっ! お前たちやめろっ! そんな事してなんになるんだよっ」
俺は声を張りあげたと同時に、知らない間に魔力で圧を送っていたらしく、みんなの動きがビクッと止まる。
「ほほう……ティーゴよ、中々やるのう。魔力をそう使うか」
パールが自慢の顎髭を右手で梳かすように触りながら、褒めてくれる。少しにやつきながら。
くそう……偶然って分かってるんだろ? 大賢者様は。
そして再び檻から声が上がる。
「お前たち! こんな事をしたって未来は変わらない!」
「そうだ、こんな男を殴ってこれ以上罪を重ねてどーする」
国王の前に二人の男が立つ。なんとドノーキンとワッキヤクだ。
「 「「「「ドノーキン団長」」」」」
「「「「「ワッキヤク団長」」」」」
怒りを露にしていた男たちから、その感情が消える。
「いいか? 俺たちは沢山の人を傷つけたそしてその結果がこれだ」
ドノーキンが力強く力説する。それを静かに聞いている団員たち。
「だから罪を償う努力をしよう」
ワッキヤクまでもが、改心したのか罪を償おうと言う。
なんだあの二人!?
「なぁパール? 洗脳とかしたのか?」
「ぬっわしが!? なんもしとらんよ」
「だってあの変わりようは……」
俺たちが驚いている事に気付いたんだろう。ドノーキンとワッキヤクが俺たちに向かって騎士の敬礼をする。
「不思議と思われても仕方ない。でもあの不思議な踊りを見て、みんなが楽しく笑う。そんな時間が今まで無かったと、昔は良くたわいも無い事で笑っていたのになと思いだしたんです」
ドノーキンがそう言うとワッキヤクも続けて発言する。
「宰相オルクスが来てから、自分は笑う事など無かったと何故あんなにも略奪する事に必死だったのかは分かりません。ですが過去の誤ちは償いたいと思います」
二人は頭を下げた。
急に態度が変わりビックリしたけど、二人が嘘を言っているようには見えない。俺には分かる。
「そうか……」
ドノーキンとワッキヤクの言葉を聞き思う事があったんだろう。ひとり、またひとりと頭を下げていく。最後には国王以外の男たちは全員が頭を下げた。
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「さてみんな手伝ってくれよ?」
『我に任せるのだ』
『ティアだってがんばるの』
『任せるでキュ』
ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪
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