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本編 浮島編
レミアールの人達
しおりを挟むみんなのお腹も満足したようだし、そろそろ船に乗せているレミアール王国の人達を帰国させないとだよな。
パールの話、邪神を封印した場所を抉りとり、空に浮かせて国を作ったって話も気になるけど、先ずはこっちを片付けてからだよな。
はぁ、のんびり旅のはずが、とんでもない旅になってきたぞ、これじゃいつまで経っても倭の国に行けないな。
「ティーゴどうしたんじゃ? 急に黙り込んで」
少し考えこんでしまい、自分の世界に入っていたので、落ち込んでいると勘違いしたパールが、心配そうに見ている。
「ああっ船にいるレミアール王国の人達を、今からどうするかと考えてたんだ」
「そうか……ふむ。腹ごしらえも終わったし、そろそろ船に行くか」
パールはすっと立ち上がり、スタスタと異空間の扉の方へ歩いて行く。その後を慌ててベリアルとメフィストがついて行っている。
ったく、相変わらず急なんだから。
「パール待ってくれよ」
俺も急いで立ち上がり、パールの後を追って異空間の扉を出ると、今は船の甲板の上と繋がっているので、出たら景色は空の上だ。
「あれっ?! アイツらまだ踊ってたのか?!」
ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイ♪ジャイコブ♪
船の甲板に立つと、軽快なリズムが聞こえてくる。
魔導兵器を颯爽と操り、ジャイコブ達が楽しそうに空中ダンスショーを繰り広げ、甲板の上にはキノ小人達が更に増え、太鼓を叩いて盛り上げ……ってこれは何だ!? 全然緊迫したムードじゃないぞ?!
船から真下にあるレミアール王国を見下ろすと、人々がジャイコブ達のダンスを楽しそうに見物している。中には意気揚々と踊っている奴まで。
これじゃあ、なんだか分かんないよ。お祭り騒ぎだ。
俺が甲板に立ち呆然としていると、一際カッコいい魔導兵器姿のハクが飛んできた。
『主様! この道具は最高ジャイ♪ 我は完璧に乗りこなせるようになったジャイ♪』
「そっそうか?」
興奮気味のハクが嬉しそうに話してくれるので、俺は笑って返す。だがなハクよ? それは踊りに使う玩具じゃないんだぞ? 強力な兵器だからな?
『我らジャイコブウルフのダンスに、空中ダンスが増えたジャイ♪ 主様カッコいいジャイ?』
褒めてと言わんばかりに俺にアピールするハク。いちいちポーズを変えなくてもいいんだぞ?
「ぶっくっくっカッコいいよハク」
『そうジャイ♪主様に褒められて嬉しいジャイ』
ハクは再びポーズを決め、まだまだ踊るジャイ♪っと再び踊りに行ってしまった。
これ……今から船に乗ってる悪い奴らを帰国させるんだよな? これじゃあ帰国ダンスショーになるんじゃ……
「ティーゴここにおったのか! 今からコヤツらを、レミアール王国に降ろすぞ」
パールの後を、ゾロゾロとレミアール王国の人達が、少し青ざめ重い足取りで歩いていく、その後をメフィストとベリアルが歩いて来た。もう船の甲板は人で溢れている。
「この人達をどこに降ろすつもりだ?」
「船をこのままレミアール王国に降ろす、あの丸い大きな建物なら広いしの」
パールがそう言って杖で建物を指す、その姿だと杖が似合うなぁ。
船が動き出すと、それに気付いたジャイコブ達が船の動きに合わせるかのように、踊りを変化させる。
船の周りを続々と魔導兵器が囲んで行く。
おいおいパレードみたいになってきたぞ。レミアール王国の人達も何を勘違いしたのか、一際大きな歓声が上がり盛り上がっているんだが。
ええと……いまからレミアール王国の人達を正すんだよな?
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