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本編 浮島編
閑話 レミアール
しおりを挟む「おいっ! 管理室よ? 一体何が起きてるんだ!?」
ドカドカと激しい足音を立て、ひとりの男が映像探査管理室の扉を開ける。
「……ワッキヤク団長」
映像探査管理室の中にいた男達全てが、このワッキヤク団長と呼ばれている男に敬礼する。
ここにいる者達の中で、一番立場が上なのだろう。纏っている魔導鎧も、一際派手な装飾が施されている。
「我ら魔導の、最新技術を駆使して作った結界を、いとも簡単に壊し入って来た謎の船。その船からなぜ、鳥人国を攻めに行っている筈の魔導兵士部隊が、続々と降りてくるんだ?! 誰かこの情報を共有してないのか?」
「我らにも全く理解出来ず……」
「あれはドノーキンの部隊だろうが! アイツからの連絡はないのか?」
「はっ! 我らもドノーキン団長に通信を試みたのですが……」
「通信は繋がるのに、謎の暗号の様な妙な言葉が聞こえてくるだけで……」
「暗号だと?」
「はいっ。ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪……っと」
「何を言ってるんだ! ふざけてるのか? 人が真剣に聞いてるのにっ」
「いえっふざけている訳ではなく……真剣に」
「くそっ!」
ワッキヤクは苛立ちが収まらずに、近くにあった椅子を蹴り飛ばす。
大きなため息をフウーッとはいた後に、自分の頬を叩くワッキヤク。その姿は自分に喝でもいれているよう。
「……済まなかったな。お前達の責任じゃないのにな」
「いえっ大丈夫であります!」
「未だに謎の船から、魔導兵士が降って来ているじゃないか。あれはドノーキンの部隊全てがあの船に乗っているのか?」
「今で百以上が船から降りて来ており、未だにとどまることを知らないので、全ての魔導兵士があの船に乗っていると思われます」
「そうか。……しかし妙なんだよな、なんで降りてきた後は空中で固まりピクリとも動かないんだ? 何かアクションがあっても良いと思うのだが……」
「はい」
ワッキヤクとその周りにいる男たちは、皆不思議そうに首を傾げる。
「まぁ良い。近くに行き見てみよう。この建物の屋上庭園ならよく見えるだろう。この管理室に数名を残し、残りは皆庭園に集まるように通達してくれ!」
「「「「はっ!」」」」
「俺は先に行って様子を見てくるよ」
★★★
屋上庭園にワッキヤクが到着すると、既に人がかなり集まっていた。
ワッキヤクの姿を見つけると、この訳の分からない自体を説明して貰うために、我先にとワッキヤクの所に集まってくる。
「あっ……いやっその……だな」
いきなり多くの人達から説明を求められるも、ワッキヤク自身なにも分からないのだ。説明など出来る訳もなく、困っていると…… 不思議なかけ声が、大空に響きわたる。
『ジャイジャーイ♪』
「はっ? ジャイ? 部下達が言っていた謎の暗号ってのはこれか?」
ワッキヤク達が魔導兵士注目する。そこで始まったのは壮大なダンスショー
ジャイ♪ジャイ♪ジャイコブ♪ジャイジャイジャイコブ♪
「はぁぁぁぁ!?」
屋上庭園にいたレミアールの者達は、不思議なダンスショーに驚くも、それは初めだけであまりの素晴らしさに魅了されて行く。
「これはドノーキン団長の余興なのか?」
「鳥人王国を勝ちとった勝利の踊りかもな」
「さすがドノーキン団長だな」
レミアールの者達が、ドノーキン団長の余興だと称賛する者も現れた。
それとは別に、怒号する者達もいた。
「何をやってるんだドノーキン! そんな事をする前に先に報告しろ!」
ワッキヤクは必死に声を荒らげて訴えるも、声が届くはずも無く。魔導兵士によるダンスショーは、終わりを遂げた。
「はぁっ終わったか……後でドノーキンの奴は説教だな」
ワッキヤクがそう呟いた瞬間。
魔導兵士達が、一斉に自分達に向かって大砲をぶっぱなし出した。
一瞬で屋上庭園は地獄絵図とかす。逃げ惑う者達、泣き叫ぶ者達。
そんな中ワッキヤクは、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「何が起こってるんだよ……あの魔導兵士は味方じゃないのか……」
「ワッキヤク隊長! ここは危険です。離れて下さい!」
部下に無理やり引っ張られ、ワッキヤクが屋上庭園から離れた次の瞬間、耳を劈くような轟音と共に屋上庭園の半分が消え去った。
「うそだろ……夢なら覚めてくれ」
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