270 / 315
本編 浮島編
到着
しおりを挟む「パール? どんな感じだ」
後どれほどで魔導国家レミアールに着くのか? 順調に向かってるのかな? と操縦室に様子を伺いに来た。
「わっ!?」
操縦室の扉を開け目に入って来たのは、ドノーキンが逆立ちしながら腕立てをしている姿。
「くうっ……百っ」
「後百回じゃ!」
「そっそんなっ……」
「パール? 何してるんだよ?」
「……んん? ティーゴか。いやのう、コヤツが足を滑らせての? 操縦室の壁に傷を付けたんでお仕置をしとるんじゃ!」
パールが傷だと言っているが、尻尾で指すその場所を見ると、凄く小さく良く見ないと全く分からないような小傷が入っていた。
これ……完全に暇つぶしだろう? 遊んでるなパールの奴。
「まぁ丁度良かった。前を見てみい。海上に浮かぶ人工的な島が見えるじゃろ」
「えっ!? もう着いたのか? まだ三十分も経ってないぞ?」
そんなにも早く着くなんて……! だが眼下には島と言っていいのか分からないが、不気味で禍々しい何かが浮かんでいる。
まるで島全体が魔導具のよう。全てが人工的に作られているのが分かる。こんな国があったなんて、ヴァンシュタイン王国のみんなは知らないんじゃないか?
「パール? どうやってレミアールに行くつもりだ?」
「んん? もちろん強行突破じゃよ。結界を張っておるがあんなもんチョチョイのチョイじゃ」
んん? ええと、パールさん? なんて言ったんだ? 俺には強行突破って聞こえたんだが? まさかいきなり王城に乗り込む気か!?
「パールお前っもしかして王城に乗り込む気じゃ」
「そうじゃ? 親玉に悪させんように注意するのが早いじゃろう?」
「……そりゃそうだけど」
お前本当に注意だけか? なんだろうこの胸がザワザワするのは。
「さぁ! 結界を解くのじゃティーゴよ」
「へっ? おっ俺!?」
「そうじゃ他に誰がおると言うんじゃ?」
「そうだけど……俺にあんな大きな島全体を包んでいる結界を解く事が出来るのか?」
「ワシの見立てじゃと簡単じゃ。ティーゴよ? 結界が見えるじゃろう?」
「ああ」
「それに触れ結界よ消えろとお主が思えば消えると思うんじゃよなぁ」
じゃよなぁって事は想像でもの言ってないか? あくまで仮定だよな? それって……
「まぁモノは試しじゃよ? スバルかキラの背中に乗せて貰って解いて来てくれんか?」
それって俺で色々と試してみたいのが分かったぞ。どうせ断った所で無理なのは分かってるからな。
「……はぁ分かったよ。やります、やりゃいいんだろ」
「楽しみにしとるからの?」
操縦室を出て、甲板に行くと丁度キラが出て来ていて、外の景色を楽しそうに見ていた。
「キラ! 丁度良かった」
『あ゛ティーゴ! オデ…景色みてた…海…綺麗』
キラの所に走って行くと、ニコニコと嬉しそう笑う。ジュエルドラゴンという皆が恐れるドラゴンの最強種なのに、何故かホッコリして癒される。
「キラに頼みがあるんだけど良いか?」
『ん? なんでも…言って? オデ…ティーゴ大好き…頼み…ききたい』
「そうか、ありがとうな。キラ」
余りにも嬉しい事を言ってくれるので思わずキラに抱きついてしまう。思いの外、冷たくてすべすべで気持ちがいいな。
なんだか直ぐに離れ難くなり、キラをそのまま抱きしめながら、パールに言われた事を説明した。
『分かった…あそこに…飛んだら…いい…任せて』
「頼んだぞキラ」
キラの背中に乗り、結果が張ってある場所まで飛んで来たんだが、本当に俺が触れて願うだけで、結界を解く事が出来るのか?
でもパールは出来るって言っていたしな。
ええい、ものは試しだ。
「よしっ!」
ええと結界に触れて、ん? 少しだけピリッとするか? まぁ問題ないな。あとは強く願うんだよな。結界よ全て無くなれ消えろ!
キィィィィィィンッ!
バリバリバリバリバリバリ!
耳を劈く轟音がしたと思ったら……すぐさま結界は消え去り、その装置まで爆破してしまった。
至る所で煙が上がっている。
「あっあれ?」
これってやり過ぎってやつじゃ。
44
お気に入りに追加
8,196
あなたにおすすめの小説
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。