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本編 浮島編
vsドノーキン
しおりを挟むドノーキンside
「ドノーキン団長! 魔導兵士が動かなくなりました! 何故か契約解除されています」
部下達が青ざめ次々に報告にくる。もう報告を聞きたくない。
この浮島で一体何が起こってるんだ?
夢ならこんな悪夢早く覚めてくれ!
「ドノーキン団長! 船から降って来たジャイコブウルフ達が、次々に魔道兵士を奪い乗っ取られています。もう全て奪われました」
「はっはぁぁぁぁぁぁ?! 魔導兵器が乗っ取られただと? あれは契約者しか動かす事が出来ない筈だぞ? 苦労して運び込んだのに」
「それが……あれを見て貰えば」
騎士が指を指すその場所には、有り得ない光景が飛び込んできた。
「えっ?! ちょっ? ジャイコブウルフ達は一体何がしたいんだ?」
あの不思議な踊りと掛け声はなんだ!? 何故魔導兵士に乗り込み攻撃もせず、只踊ってるんだ?
俺達に敵意がある訳じゃないのか?
「ああっ!? 船が島に上陸して来ます」
「何だって!? もう目の前じゃないか!」
あの馬鹿でかい船と呼んで良いのか分からん乗り物に、どんな人物が乗ってるんだ。まさか魔族とかじゃ!?
ああっ! 船から何かが降りて来た! 一体何が降りてくるんだよ! 怖いい。
「ふえっ?? 少年と猫?」
★★★
船から降りると、ジャイコブ達が楽しそうに踊っている。アイツらが関わると、毎回お祭り騒ぎだな。
「くくっ……ジャイコブ達楽しそうに踊ってるなぁ。あんな強そうな兵器を使って踊るとか……」
「まぁ魔導兵器を乗っ取られたら彼奴らは何も出来んじゃろうて」
不意に前を見たら、間抜けな顔して俺達をポカンと見ている、一際高そうな鎧を纏ったガタイの良い男がいた。
あの男が一番偉い奴か? あいつだけ鎧が違うし……
「彼奴の所に行くか」
「だな。ここに居た鳥人達の事も気になるし」
男の前に歩いて行くと
「おいっ! お前みたいなひよっこが……あのジャイコブウルフを従えていたのか?」
俺を見て何だか偉そうに話しかけてきた。俺がまだ幼いから舐めてる感じだな。
「そうだけど?」
そう言うと男は少し驚き、口角を上げ嫌な笑い方をした。はぁこんな笑い方をする奴は大体いつもまともな事を言わない。こいつもきっとそうだろう。
「なっ……まあいい。お前ワシと手を組まんか?」
「はっ? 手を組む?」
こいつは何を言ってるんだ? そんな事する訳がないだろう? 俺ってそんな子供騙しが通用する程、幼くバカに見えるのか? そもそも自分の方が窮地に立たされているって、分かってないんだろうか?
「どうだ? 俺達と一緒に浮島を乗っ取れば金も入るし、地位だって貰えるぜ? いい話だろ?」
「はぁ……お前はバカなのか? する訳ないだろ? 答えはノーだ!」
「そうかそうか……!? へっ? ノー?」
「そうだよ! それにお前達とこんな話をしている場合じゃないんだ! この島に居た鳥人達は何処にいるんだ?」
「なっ……知らねーなぁっ!?ギャッ」
パールが男の目の前に雷を落とす。少しでも動いていたら雷が当たっていただろう。
「さっきからどうでもいい話をウダウダとしおってからに! さっさと案内せい!」
「ねっ猫が喋っ?!」
「はぁ五月蝿い次は当てるぞ?」
「ヒイッ!」
パールに脅えながら案内された所には、辛うじて生きている鳥人達が、見世物に使うような大きな檻に入れられていた。
檻の数は五つか……ざっと見てだが百前後って所かな。
檻に近づいた俺たちに気付いた鳥人が睨む。あれ? 俺達仲間と勘違いされてないか?
「お前達! さっさと殺せ。お前達に仕えながら生きながらえるなんて死んだ方がマシだ」
「そうだ! 生き恥を晒したくなどない。鳥人としての誇りをもって死にたい」
殺してくれと騒ぎ立てる鳥人を落ち着かせるように、俺は精一杯心を込めて話しかける。
「落ち着いて聞いてくれ、俺はティーゴだ。鷹の王に頼まれてお前達を助けに来たんだ。良く頑張ったな。お疲れ様だ」
鳥人達に全回復魔法を唱える
《リザレクト》
「ああっ……そんなまさかっ」
「千切れた翼が元通りに……」
「ああっ失った筈の足が!」
「痛くない……ううっ」
鳥人達はお互いを抱きしめあい、喜びを分かち合っている。
良かった。
「「「「「大賢者様」」」」」
気がつくと俺に向かって全員が平伏していた。
「いやっちょっ!? 普通にしてくれ! それに俺は大賢者じゃない! テイマーだ!」
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