261 / 314
本編 浮島編
浮島へ
しおりを挟む「むう? なんじゃ皆揃って変な顔して?」
あのな? 変な顔ってな? パールのタイミングの凄さにみんな呆気に取られてるんだよ!
「さぁティーゴよ。船に出てこの魔道具をとりつけに行くのじゃ」
オーちゃんの手には直径三十センチ程度の真四角の箱が。
ただの箱にしか見えないけど……こんなので船が飛ぶのか?
「えっ……パール? 魔道具ってその箱がか?」
「そうじゃ! まぁティーゴには分からんかのう」
パールは目を細めニンマリ笑う。
くそう……猫のその姿でもバカにして笑ってるの分かるぞ?
「はいはい。俺には高名な方の思考なんて分かりませんよ。じゃあ行くか」
「うむ」
ふと見ると、アレクとロックは握手した後にお互いの背を軽く叩きながら抱き合っていた。
過去に色々あった話を聞いていただけに、なんだか込み上げてくるものがあるな。
などと二人をみて感傷に浸っていると「ティーゴよ? 何もたもたしておる? 行くのじゃ。ロックも抱き合っとらんと行くぞ!」
空気を全く読まない大賢者、もとい魔王様からの叱責が飛んでくる。
「はいはいー!」
★★★
「こんな所に付けるんだな」
俺たちは何も置いてない、だだっ広い船底に降りてきていた。
「ふふ……この場所でいいかのう」
丁度真ん中辺りに真四角の箱を置いた。まさかそれで終わりじゃないよな? この後どーするんだ?
「さあオーちゃんよ! 仕上げじゃ」
『わかった。任せてくれ』
オーちゃんが四角い箱をあけると箱が急に光だした。
「うわっ眩し……」
数分もすると、箱の光は落ち着いたんだけど、今度は船底の空間……床や壁それに天井と全てが青白く輝いている。
「パールこれは?」
「ふふ知りたいか? これはのう? 魔晶石の粒子が飛び散り床や壁に着いておるんじゃ。魔晶石は魔石と違い砕かれても粒子になっても魔法が付与できるからの? 魔晶石に飛行魔法を付与したんじゃよ」
「魔晶石……」
そんな物が存在するのか……知らなかった。
「ティーゴよ見てみい。この箱の中心にあるデカい魔晶石があるじゃろう?」
パールが指さす真四角の箱の中には青く輝く大きな魔晶石が一つ箱いっぱいに収まっていた。
「この魔晶石に偶に……そうじゃのう三百年くらい経つと、また魔力を送ってやれば完璧じゃ」
「なるほどな……」
「後は浮いたり船になったりする切り替えのスイッチの設置じゃのう。どこにするか?……ふむ」
『パール様、操縦席が便利じゃないか? あの場所からでもこの場所に魔力伝達すると思うよ』
「ぬっ? そうか! では操縦席に向かうのじゃ!」
「はい」
パールとオーちゃんは何やらよく分からない事を言いながら操縦席に向かった。
ついて来ていた俺とロックを残し。
っておい! 完全に俺たちの事忘れてるだろ? ったく。
「ロック俺たちも行くか?」
「はい」
★★★
「なんっなっ!」
「凄いっ!」
俺とロックは思わず声をあげる。
なんと船上に上がると、船はもうすでに浮いていた。
『ティーゴの旦那? どこいってたんだよ』
『そうなのだ! 我も探したのだ。見よ主船が浮いてる』
銀太とスバルが俺を見つけて走って来た。
「スバルに銀太も船に来てたのか」
銀太達と一緒に船からの景色を驚きながら見ていると、パールがなんだか得意げに俺の方に向かって歩いて来た。
これはきっと褒めて欲しいんだな?
「どうじゃ? 凄いじゃろう?」
案の定尻尾を揺らめかせながら、顔を少しあげて褒めて欲しそうに俺を見る。
「くくっ……凄いよパール!」
「じゃろう?」
「私も感動しました」
ロックが興奮気味にパールにつめよる。
「おお丁度良い。ロックよ? 浮島がある雲はどれじゃ?」
パールが場所を尋ねると
「浮島がある雲はあの雲です」
そう言って指さした雲は、目視ではよく分からないが、ロックが案内する為に先導してくれくれるようだ。
浮島フロッティか……どんな所なんだろうな。
2
お気に入りに追加
7,499
あなたにおすすめの小説
異世界もふもふ召喚士〜俺はポンコツらしいので白虎と幼狐、イケおじ達と共にスローライフがしたいです〜
大福金
ファンタジー
タトゥーアーティストの仕事をしている乱道(らんどう)二十五歳はある日、仕事終わりに突如異世界に召喚されてしまう。
乱道が召喚されし国【エスメラルダ帝国】は聖印に支配された国だった。
「はぁ? 俺が救世主? この模様が聖印だって? イヤイヤイヤイヤ!? これ全てタトゥーですけど!?」
「「「「「えーーーーっ!?」」」」」
タトゥー(偽物)だと分かると、手のひらを返した様に乱道を「役立たず」「ポンコツ」と馬鹿にする帝国の者達。
乱道と一緒に召喚された男は、三体もの召喚獣を召喚した。
皆がその男に夢中で、乱道のことなど偽物だとほったらかし、終いには帝国で最下級とされる下民の紋を入れられる。
最悪の状況の中、乱道を救ったのは右ふくらはぎに描かれた白虎の琥珀。
その容姿はまるで可愛いぬいぐるみ。
『らんどーちゃま、ワレに任せるでち』
二足歩行でテチテチ肉球を鳴らせて歩き、キュルンと瞳を輝かせあざとく乱道を見つめる琥珀。
その姿を見た乱道は……
「オレの琥珀はこんな姿じゃねえ!」
っと絶叫するのだった。
そんな乱道が可愛いもふもふの琥珀や可愛い幼狐と共に伝説の大召喚師と言われるまでのお話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
もふもふ転生!~猫獣人に転生したら、最強種のお友達に愛でられすぎて困ってます~
大福金
ファンタジー
旧題:【もふもふ転生】病弱で何も出来なかった僕。森で猫カフェをオープンすると大好評♪最強種のお客様ばかり遊びに来ます
生まれた時から奇病を患い、病院から一歩も出たことなかった主人公(大和ひいろ)夢は外を走り回る事だったが、叶う事なく十二歳で他界したのだが……。
気がつくと見たこともない場所に立っていた。
そこには創造神様と女神様がいて、前世でいっぱい頑張ったご褒美に、好きなスキルや見た目にしてくれると言ってくれる。
「ご褒美を決めろって……急に言われてもっ」
ヒイロは慌てて猫獣人の姿、鑑定やアイテムボックス等のチート能力をお願いし、転生を果たすが。
どうやら上手く説明出来て無かったらしく。何もない謎の森に、見た目普通の猫の姿で生まれ変わっていた。
「これって二足歩行する普通の猫!?」
その謎の森でドラゴンの親子に出会い、料理を作ってあげる事になったり。
さらには猫獣人の村で、忌み子と虐げられていた猫獣人の子供を助けたり。
家を作ったら、いい匂いにつられて最強種ばかりが度々遊びにきたり。
だがそれだけではなかった。ヒイロには隠された力が……!?
このお話は、ヒイロが毎日を楽しく生きている内に、良きせぬハプニングに巻き込まれたりするお話。
※ハプニングのせいで、なかなかカフェはオープンしません。
※二章カフェ編がやっとスタートしました。
※毎日更新がんばります!
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
大賢者カスパールとグリフォンのスバル
大福金
ファンタジー
この世界で誰も届く事がない領域まで達した大賢者カスパール。
彼が得れる魔法は全て修得した。
そんなカスパールを皆が神様の様に崇め奉る
ウンザリしたカスパールは一人山奥でひっそりと好きに暮らす事に。
そんなカスパールがひょんな事からグリフォンの赤子を育てる事に…
コミュ障でボッチの大賢者カスパールが赤子を育てながら愛情を知っていく出会い〜別れまでのストーリー。
このお話は【お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちとモフモフ無双する】のサイドストーリーになります。
本編を読んでいなくても内容は分かります。宜しければ本編もよろしくお願いします。
上記のお話は「お人好し底辺テイマー…………」の書籍二巻に収録されましたので、スバルとカスパールの出会いのお話は非公開となりました。
勇者達との魔王討伐編のみ公開となります。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。