お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

別れ

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ーーソフィア! 精霊王様と繋がったぞ! 一時間後に空間が開くと言っていた。

 サラマンダーがバタバタと慌てて飛んできた。
 朝食を食べようとみんなが集まった時に、その姿がソフィアの近くに居なかったから、何処に行ったんだろうと思ってた所。

「ええ? そんな直ぐに?」

ーーああ! 一時間後にこの世界に移動した場所に来てくれって。

「って事は金色の花畑の所ね」

ーーだな。はぁー……やっと帰れるんだな。良かったぜ。

 サラマンダーは、ソフィアの頭上をくるくると飛び周り嬉しそうだ。

「……ティーゴ様、一時間後に元の世界に帰れる様になりました」

 ソフィアはにこりと笑って話してくれたが、その瞳は悲しそうに曇っているようだ。

「そうか……良かったな」

 俺も精一杯の笑顔で返すが、ちゃんと笑えていたのか自信がない。

 後一時間か……お昼頃かと思っていたのに。すぐじゃないか。
 別れは分かってたけど、こんなにも仲良くなるとは思わなかった。
 俺の大切な仲間たちは一日でソフィアの事が大好きになった。良い子で心が綺麗だから、人じゃない聖獣や魔獣達にまで好かれるんだろう。

 ベヒィが大きな体をプルプルと震わせ大粒の涙を落とす。

『ちょっとソフィア? 後一時間しか居られへんの? ワイもっと話したいのに、なんで……ワイ寂しい…』

『そうよ! 帰らなくてこの異空間でずっと一緒に暮らしたら良いじゃない』
『そうっすよ! この後朝風呂に行こうって約束してたのに……』

一号と三号は何故か黒犬の姿で、ソフィアの膝の上に座っている。

 無言で一号と三号を胸に抱き寄せると。

「わっ……私も……ううっ。みんなといたい……ひぐっ。でも元の世界でっしっしないといけない事がっあるから……ふうっ」

『ソフィア……いつでも自由に行き来できたら良いのにな。そしたらワイも遊びに行くのに』

 ベヒィはソフィアをギュッと抱きしめた。

「ベヒィ様ぁうわぁぁーん」

 ソフィアはベヒィに抱きしめられると、小さな子供みたいに泣き出した。
 ベヒィはそんなソフィアの頭を、ヨシヨシと優しく撫でている。

 ベヒィには、何やら母性の様なものがあるんだろうか? 喋り方も個性的なのに、みんなアイツの前では子供の様に甘えたくなる。
 まぁベヒィは頼りになるし優しいからな。

「あの……ソフィア様。この服を着て頂きたくって私……作ったんです」

 シファが目に涙をいっぱい溜めて、服を差し出した。その目は一度でも瞬きすれば、ポロポロと涙が落ちるだろう。目の下にはクマが……シファは殆ど寝ずにあの服を作ったんじゃ。

「ジファざぁん……ありがとうございます。絶対に絶対に大切にします」

 シファはソフィアを軽く抱きしめると、アレクの肩に持たれるように肩を震わせ泣いていた。
 泣いている姿を、ソフィアに見られたくないんだろう。

 ソフィアも泣きすぎて、目のまわりが真っ赤に腫れている。こんな状態で、元の世界に帰していいのだろうか……。

 ベヒィからはミルクとチーズを貰ったようだ。
 キューは自慢のレインボーマスカットの果実を渡していた。

 俺からは何が良いだろう? やはり食べ物かな? レインボーマスカッ酒も飲みたそうだったしな。
 その時のソフィアの顔を思い出し、クスっと笑いそうになる。

「あのさ……俺からは、このレインボーマスカッ酒と昨日美味いっておかわりしていた、特製タレ貰ってくれ。あと新鮮な朝取り野菜も」

「ティーゴざまぁ……ありっありがとうございますっ大切に食べます」
「マスカッ酒は成人してから飲むんだぞ?」
「はいっ」

 するとソフィアは、何やらアイテムボックスから取り出しみんなに渡している。

「あの……これは手作りのオカラクッキーなんです。カロリーが低いのに美味しくってダイエットにもなるし……こんなのしか渡すものがないんですが」

 ソフィアは申し訳無さそうに、手作りクッキーを渡してくれた。

 後半は何を言っているのか少し理解出来なかったが、手作りクッキーって事だよな? 貴族が自分でクッキーとか作る? 
 いや普通は作らないだろう。ソフィアが特別なんだろう。
 そんな特別を貰い……嬉しくて胸が熱くなり、我慢していた涙が頬を伝う。

ーーもう時間だ! 移動しないと。

 サラマンダーが慌てている。
 もう一時間経ったのか……。

「じゃあソフィア……行くか」
「はい」

 最後の別れが辛いからと、殆どが異空間に残った。グーテの花畑に来たのは俺とパールそしてベヒィだけだった。

 ベヒィも行きたがらなかったのだが、ソフィアがベヒィから離れようとしなかったので渋々だ。

ーーほら……来るぞ来るぞ……。

 サラマンダーの興奮は最高潮の様だ。翼をバタバタと凄い勢いで羽撃かせている。

次の瞬間、この前とは比べようがない程の大きな穴が空間に開いた。

その奥に見える景色はこことは全く違うので違う世界と繋がっているのが分かる。

 そこにはソフィアの姿を見て、ほっと安堵している人達が立っていた。

 何だ? あの無駄にキラキラした人達は? 全員が眩しい……これが異世界の貴族なのか。

「みんな……迎えに来て……」

ソフィアはその姿を見てホッとしている。良かったな。

次の瞬間、くるっと振り返りベヒィをギュッと抱きしめた後、俺を抱きしめ「ティーゴ様ありがとうございます。貴方と知り合えて最高の時間が過ごせました」と耳元で言った。その後パールも抱きしめ、俺達にお辞儀をすると元の世界へと裂けた亀裂に向かって歩き出した。

 その時何やら向こう側にいるソフィアの仲間が混乱し慌ているのが少し見えた。

 もしかしたら、ベヒィに今更気付いたんだろうか?

 ソフィアは元の世界まで歩くと、再び振り返った。

「ベヒィ様、ティーゴ様、パール様、異空間の皆さん。大好きです、ありがとうございました。私は皆さんの事を絶対に忘れません」

 と言ってお辞儀をした。
 次の瞬間、裂けていた亀裂が閉じてソフィア達の姿は見えなくなった。

「なんじゃあ? ティーゴ……顔を真っ赤にして。ぷぷっ」

「ええっ?」

 パールが赤いと茶化してくる
 そんなに赤いのか? 俺の顔。

「ククッ抱擁で赤くなるとは、ティーゴはウブじゃのう」

「なっ……これはっ暑いだけだっ! ったく」

 せっかく感動の別れが、パールの所為で台無しじゃないか。でもそのおかげで、辛かった気持ちも薄れていく。パールなりの慰めだと思っておこう。


……ソフィア幸せにな。






★  ★  ★



これにてソフィアコラボ編完結です。さぁ!次は燦聖教編クライマックスに突入します(*´꒳`*)
お待たせしました。

読者様の楽しいコメントが、メラメラと作者のやる気につながっています。ありがとうございます♡感謝。
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