247 / 315
本編 燦聖教編
ここはやっぱり創造神様
しおりを挟む創造神様が何とも言えない表情で、ヘスティア様達が勢いよく去って行った方向を見つめている。
そして大きな溜め息を吐いた。
創造神様も色々と振り回されてそうだな。お気持ち察します。
ーーんんっ。ゴホンッ。そのう……情け無い所を見せてすまんかったのう。後で彼奴らにはターップリ説教をしとくから。
「いやっ……大丈夫です。女神様達には加護でお世話になってますし……」
ーーそうか。お主は優しいのう。真に綺麗な魂をしておる。それでじゃ、まずワシから御礼を言わせてくれ。
「御礼?」
創造神様から御礼を言われる様な事……なんかしたっけ? 身に覚えがないんだが。うーむ。
ーーふふっ。不思議そうじゃのう。まぁお主からしたら、大した事じゃないのかの。
「いやっ……その」
ーー御礼と言うのは燦聖教の事じゃ。
燦聖教?!
あれは御礼を言われるまでもなく、当然の事をしたまで。
ーーくくっ当然か……その当然が中々出来んことなんだがのう
「あっやっ……はは」
頭の中で考えても聞こえちゃうんだよな。当然の事なんて偉そうに……恥ずかしい。
ーー何も恥じる事などない。お主のその綺麗で純粋な心があったからこそ。燦聖教を消滅させる事が出来たんじゃから。
「……ありがとうございます」
そんなに褒められると、何か照れ臭い。顔が真っ赤になってないかな。
ーー燦聖教の創始者グリモワールはのう。邪神から切り離された分離体に取り憑かれとったんじゃ。
分離体?! 何だそれ。それに邪神って……リィモの体に付いていたあの黒い靄が……邪神なのか? ってか邪神って何だ?
ーー邪神はのう。闇堕ちした元神じゃ。
「かっ神様?!」
神様も悪に染まる事があるんだな。
ーーそうじゃ。神と言うても全能ではないからの。その様な奴も現れる。
そう言われたら、至高なる存在の神様も、ちょっと人族みたいだな。などと思ってしまう。
ーーそれでじゃ。グリモワールに取り憑いた邪神は過去に、大賢者達の力によって封印されたんじゃが、その時に邪神の奴は自分の体の一部を自ら切り離し、自身の全てを封印される事から逃れようとした。それが分離体じゃ。右手のひら、左耳、それらでニ体作った。じゃがその分離体も後に大賢者達に見つかり封印された。
そういえばカリンが言っていたな。
狂ったリィモが徘徊していた時に、何か悪しき者の封印を解いたと
「じゃあリィモが見つけた祠に封印されていたのが……」
ーーそうじゃ。邪神の右手のひらじゃ。グリモワールを使い邪神本体を復活させようとしていたんじゃ。燦聖教を作り人々の悪しき感情。穢れを集めるためにな。
そんな事が……でもリィモに付いていた黒い靄は消えた。もしかしたらどこかにまだ潜んでるんじゃ。
ーーそうじゃのう。右手のひらは消滅してないが、今は何も出来ないじゃろうのう。なんせお主に集めた穢れを殆ど浄化されたからのう。あのままじゃと、邪神が復活し世界は大変な事になる筈じゃった。
邪神復活……何か分からないけどゾッとするな。知らずに嫌な汗が、額から流れる。
ーーそんな顔するで無い。もう復活は無理じゃろうの。じゃから御礼を言うておるのに。
「あっそっそうか」
ーーありがとうのうティーゴ。世界を救ってくれて感謝しておる。
「いやっ……俺だけの力じゃなくて、ここにいる仲間達の力があったからなんだ」
俺は異空間にいる仲間たちを見回した。
ーーふふっそうか。
創造神様は優しく笑う。
ーー所で何やら質問があったのではないか?
あっ! そうそう。この世界に飛ばされて来た。ソフィアの事。
ーーなんじゃ。それなら安心せい。無事に元の世界に帰れるようじゃ。ソフィアの世界もワシが創ったからのう。ワシが世界を干渉する事は出来んのじゃが、今精霊王が頑張っておるようじゃよ。
精霊王ってあの恐ろしく美形なのにちょっとぬけてる……と言うか残念あっいやっ
ーーブブッ。そう見えるがの? ソフィアの世界ではかなり凄い奴なんじゃがのう。
「あっ……その馬鹿にした訳ではなくて……」
ーーふふっ分かっておるよ。それ程に心配なんじゃよな。
さすが創造神様……すべてお見通しです。
ーーそれより今日は良いお神酒を貰ったし、ワシと一緒に乾杯せんか?
創造神様がレインボーマスカッシュを開けてグラスに注いでいる。いつのまにグラスを出したんだ?
「あっじゃあ。少し待っててください!」
俺は慌ててレインボーマスカッシュをキューから貰い。祭壇に戻る。
ーーそんな慌てんでも良いのに……
「いやっ創造神様を待たす訳にはいかないよっはっはあっ」
急に走ったので息が切れる。
ーーでは乾杯するか。
「あっ……グラスがないっ」
しまった。グラスの事忘れてた、今から取りに行こうにもこれ以上創造神様を待たす訳にも……ええい! このまま瓶ごと飲むとするか。
俺が瓶を掲げて乾杯しようとしたら……
ーーブァッハハ……アハッ瓶ってアハハハハッお主……ぐはっさっ酒が強くないくせにっアハハハハっ瓶って
創造神様が床をバンバン叩きながら爆笑している……。
それに酒に弱いとか、なんで知ってるんだよ……ぐぬう。
俺が何とも言えない顔をしていたら、少し落ち着いたのか創造神様は『あー面白かった。これは楽しませてくれた礼じゃ』と言って俺の手にキラキラ輝くグラスが現れた。
ーーグラスも揃ったし、さぁ? 乾杯出来るじゃろう? 今日は無礼講じゃ。乾杯。
そう言ってグラスを掲げた。俺も頂いたグラスにレインボーマスカッシュを注ぎグラスを天に掲げた。
「乾杯」
次の日……このグラスをパールが鑑定して仰天する事になるのだが、そんな事考えもせずに普通のグラスだと思っている俺は創造神様と楽しく酒を交わした。
43
お気に入りに追加
8,196
あなたにおすすめの小説
もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」
授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。
途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。
ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。
駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。
しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。
毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。
翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。
使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった!
一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。
その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。
この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。
次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。
悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。
ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった!
<第一部:疫病編>
一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24
二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29
三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31
四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4
五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8
六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11
七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18
【完結】魔物をテイムしたので忌み子と呼ばれ一族から追放された最弱テイマー~今頃、お前の力が必要だと言われても魔王の息子になったのでもう遅い~
柊彼方
ファンタジー
「一族から出ていけ!」「お前は忌み子だ! 俺たちの子じゃない!」
テイマーのエリート一族に生まれた俺は一族の中で最弱だった。
この一族は十二歳になると獣と契約を交わさないといけない。
誰にも期待されていなかった俺は自分で獣を見つけて契約を交わすことに成功した。
しかし、一族のみんなに見せるとそれは『獣』ではなく『魔物』だった。
その瞬間俺は全ての関係を失い、一族、そして村から追放され、野原に捨てられてしまう。
だが、急な展開過ぎて追いつけなくなった俺は最初は夢だと思って行動することに。
「やっと来たか勇者! …………ん、子供?」
「貴方がマオウさんですね! これからお世話になります!」
これは魔物、魔族、そして魔王と一緒に暮らし、いずれ世界最強のテイマー、冒険者として名をとどろかせる俺の物語
2月28日HOTランキング9位!
3月1日HOTランキング6位!
本当にありがとうございます!
聖女としてきたはずが要らないと言われてしまったため、異世界でふわふわパンを焼こうと思います!
伊桜らな
ファンタジー
家業パン屋さんで働くメルは、パンが大好き。
いきなり聖女召喚の儀やらで異世界に呼ばれちゃったのに「いらない」と言われて追い出されてしまう。どうすればいいか分からなかったとき、公爵家当主に拾われ公爵家にお世話になる。
衣食住は確保できたって思ったのに、パンが美味しくないしめちゃくちゃ硬い!!
パン好きなメルは、厨房を使いふわふわパン作りを始める。
*表紙画は月兎なつめ様に描いて頂きました。*
ー(*)のマークはRシーンがあります。ー
少しだけ展開を変えました。申し訳ありません。
ホットランキング 1位(2021.10.17)
ファンタジーランキング1位(2021.10.17)
小説ランキング 1位(2021.10.17)
ありがとうございます。読んでくださる皆様に感謝です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。
いけお
ファンタジー
仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。
元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。
登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。
追記 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。