お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

妖精王探し

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 とりあえず、妖精王をどうやって探すか……だよな?
 この広い世界で……な。
 まだ行ったことがない国が沢山ある中で、俺達には見えない妖精王を探すって……はぁ。

 これは……途方もないな。見つけることが出来るのか? 不安でしかない。
少し沈黙が続くと……カリンがポソっと話しかけて来た。

「あの……ティーゴ様。お話を少し聞いていたんですが……」

「カリン?」

 カリンは俺達の話を聞いていて、何か思い付いたらしい。

「私の想像なのですが……お兄っ…グリモワールが禁忌の魔法で異世界人達を召喚した時に、この世界の時空が歪んだので……もしかしたらその時に、この国と異世界に繋がる道が出来て……ソフィア様の所の妖精王はそれに巻き込まれこの世界に来たたのかな?って」

 そう言ってカリンはチラリとグリモワールを見る。
 しかし当の本人は話が聴こえている筈なのに、下を向いて座ったまま何の反応もしない。
 ううん? 何かの反応があっても良い筈なんだが。
 グリモワールはこの村に来てから何も言葉を話さない。

その代わりに、パールが何かに気付いたのか、ソワソワしだす。

「そうか……なら!」

 カリンの話を聞いて何か閃いたらしく、パールの目が爛々と輝く。

「ソフィアよ! 妖精王はこの辺りにおるぞ。この近くにお主の世界とこの世界を繋いでいる鍵があるはずなんじゃ。お主は何処に現れた? きっとその場所近くに妖精王とやらもおるはず」

「えっ? 何処に……? 私は気がつくとこの村近くにある金色の花畑に立っていました」

「金色……グーテの花か! よし、そこに行ってみるのじゃ」

 俺達はグテ村を出て、グーテの花畑がある森に歩いて行く。

 グリモワールの様子が少しおかしかったので、カリンとグリモワールは村に待機してもらった。カリンがグリモワールを見てくれるから大丈夫だろう。

「この先にあるあのお花畑に気がついたら立っていました」

ソフィアが先に見えるグーテの花畑を指差して教えてくれる。

そこは辺り一面、見事な金色のグーテの花が咲き誇っていた。

「えっ? こっち?」

 何やらソフィアは空を見て呟いている。もしかして一緒について来た妖精達と話をしているのか?  
 その様子が気になりじっと見ていると不意に俺をみてフニャりと破顔した。

「ティーゴ様! ついて来た妖精さんが言うには、あっちからかすかに妖精王の魔力を感じるそうです!」

 少し得意げにソフィアが森の奥を指差す。手がかりが早速見つかり嬉しいのか張り切っている。

「さぁ! 行って見ましょう。私について来て下さい」

「ふふっ了解だ」

 ソフィアはそう言ってガンガン森の奥に向かって歩いて行く。
 綺麗なドレスが汚れるの事なんて気にする事なく。

 不思議な子だな……。貴族様が何も気にせずに森の中に入るとか……普通は嫌だと思うんだが。

「ティーゴ様ー! 何してるんですか? 置いていきますよ」

 うっそりとその姿を不思議に見ていたら、足が止まっていたらしくソフィアに急かされる。

「あっ……っと! 待ってくれ」

 俺は慌ててソフィアの所に走って行く。

『ティーゴの旦那! 何ポーッとしてんだよ。早く妖精王とやらを見つけてさ! 約束の肉祭りしようぜ』

 スバルが勢いよく飛んできて頭に乗ると、ぶつぶつと文句を言って来た。どうやら妖精王探しより肉祭りで頭がいっぱいらしい。

「そうだったな、早く見つけて異空間で肉祭りしようぜ」

 スバルの頭を優しく撫でてやる。

『ふふっ……ティーゴの手は気持ちいいな。やっぱり一番だ』

 何と比べているのやら……まぁ一番は嬉しいけどな。

「あっつっ」

「大丈夫か?」

 前を歩くソフィアが、よろけて倒れそうになる。

「だっ大丈夫! ちょっと……この道無き道を歩くのが難しくて……森は歩き慣れてるんですが、この森はかなり地面がでこぼこしてる上にこの靴じゃ……」

 そう言って高そうな靴を脱いだ。

 森は歩き慣れてる? 貴族令嬢が? かなり違和感しかないが今はそれよりもソフィアの足だ。

 豪華で華奢な靴、それで森を歩くのは困難だろう。よく見ると足も赤く腫れている。

「治れ」

 ソフィアが赤く腫れた足に触れると瞬く間に治癒された。魔法も使えるのか……

「ソフィアは回復魔法も使えるのか……凄いね」

「えへへ……少し……だけね……制御が上手く出来ないんだけど」

 少し困った顔で答えてくれる。

 あっ!
 そう言えば、靴や服はカリン用の予備がアイテムボックスに入ってたな。 
 ドレスじゃないけど、この服の方が歩き易いだろう。

「ソフィア、良かったらこの服どうぞ。豪華なドレスじゃないけど、森を歩くならこれくらいラフな服の方が良いかなと……」

 俺はアイテムボックスから出した服とブーツを、少し自信無げにソフィアに渡す。

「わっ! えっ! こんな素敵な洋服と靴を私が頂いて良いんですか? すっごく嬉しいです。ありがとうございます」

 ソフィアは嫌な顔をするどころか、とても嬉しそうに渡した服を喜んでくれた。
 この服はエンシェントスパイダー達の糸を、獣人達が紡ぎ服を作ってくれている。
 最高の着心地なんだ。
 靴はオーちゃんお手製。
 
 それをあんなにも喜んでくれたら、仲間達の事を褒められた様で嬉しくてついニマニマしてしまう。

ソフィアがどうやって着替えようかと困っていたら

「よし、ここで着替えるといいのじゃ」

パールがあっという間に簡易な小屋を魔法で作ってくれた。

「一瞬で木の小屋が現れた……これを猫ちゃんが? 作ったの?」

 ソフィアは驚きを隠せず、あんぐりと口を開けてパールを凝視する。
 その気持ち凄く分かるよ。ずっと一緒にいる俺でさえ、小屋を立てるその早さにビビる。
 相変わらずパールは規格外すぎる。


★  ★  ★


 新しい洋服に着替えたソフィアは、クルクルとその着心地を確かめるかの様に楽しげに回っている。
 その様子から気に入ってくれたみたいで安心する。

「はぁー♪ 何て素敵な着心地なの……モフモフ達に包まれているみたい……こんな服を知ってしまったら、他の服が着れない体にされてしまったわ……」

「ブフォ! 言い方な? 語弊がある言い方はやめてくれよ」

 服の着心地を気に入ってくれたのは嬉しいんだけどな。変な言い回しはスバルみたいだぞ。

「この洋服なら何処まででも飛んで行けそうです。さぁ行きますよー。妖精達が言うにはあと少しらしいです」

 着替えたソフィアの足は早かった。さっきとは別人の様に森をスイスイと歩いて行く。
 もはや走っているかの様な速さだ。森を歩き慣れているは本当らしい。

 十五分ほど歩くと、俺の目でみても分かるくらいに小さく光る何かが集まっている場所があった。

「いたわー!」

ソフィアはその場所目掛けて勢いよく走って行く。

「これは……トカゲの赤ちゃん?」

 大きな大木の根元に、掌程の大きさの赤いトカゲ? の様な生き物が横たわっていた。

「この子が妖精王らしいです」

 ソフィアが弱っているトカゲを手で掴むと、パチッと閉じていたトカゲの目が見開き、勢いよくソフィアの頭に飛び乗った。

ーーはぁーっ! 助かったぜ。美味い飯が歩いて来てくれるなんて! 死ぬかと思った……。ああっうんまー!こいつの魔力はなんて美味さなんだ。

 何だこの声は……ソフィアの頭に乗っているトカゲの声か?

ーー久しぶりの魔力メシは美味いなぁ……。最高だ

 ソフィア頭に乗っているトカゲがウットリとしている。やはりトカゲの声か。

「ソフィア……そのトカゲの声が聞こえるんだが……」

「……ティーゴ様にも聞こえますか?」

「……ええと……トカゲが美味い美味いって…」

「あわっ……そのっ。私の魔力が妖精にはご馳走様で……」

 ソフィアが恥ずかしそうにもじもじしていると

ーーさっきからトカゲ、トカゲって! 俺は炎の妖精王、サラマンダー様だ。ありがとうな助けてくれて。

 そう言って翼を広げてふわりと飛んだ。その姿は小さなドラゴンの様だった。

「「炎の妖精王?!」」

 どうやら探していた妖精王を見つける事が出来たみたいだ。想像していた妖精王の姿とは違ったが。

 これで、ひと段落するのかと少しほうっと安堵の息がもれた。



★   ★   ★


 中々更新出来ず久しぶりの更新となりました。
かなりお待たせしてしまい申し訳ありません。まだ花粉症の症状は治っていませんが、少しずつですがマシになってきました。(*´꒳`*)

 早く続きをお届けしたいので、なるべく間を空けず更新したいと思ってます。




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