お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

グテ村

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 俺達はパールの転移魔法でグテ村があった場所に転移した。

「…………綺麗だな。コレがグーテの花か」

 目の前には、太陽の光に照らされ金色こんじき色に輝くグーテの花が咲き乱れていた……そしてその中心には。

「…………なんで?!」

 グリモワールが目を見開いて驚き、グーテの花の奥に見える……何かを凝視している。
 それもそのはず、俺達の目の前にはグリモワールが消滅させたはずの村があった。
 沢山のグーテの花に囲まれたグテ村の姿が。

 その外観は村と言うより……街の様にも見える、それ程に栄えていた。


「カスパール様……僕の目の前に見える村は……その……グテ村のように見えるんだけど……これは」

 グリモワールは自分が消滅させたはずの場所に村があり、意味が分からないと言った感じだ。

「この村はの? グテ村じゃ」

「えっ? 何で? だってグテ村は僕が跡形もなく魔法で消した……」

「そうじゃ。じゃが目の前にある村もグテ村なんじゃよ」

「っ…………」

 グリモワールはパールの言っている意味が理解出来ないのか言葉に詰まってしまった。
 その気持ち分かる、パールよ?  
 もう少し詳しい説明が必要だと思うぞ?

「パール? 意味が分からないんだが?」

「まぁ……この村は再復興したグテ村と言ったほうが分かり易いかのう?」

「再復興?」

固まっているグリモワールの代わりに質問する。

「リィモが村を消滅させた時、実は村には少ししか村人が残っておらんかった。あの時は隣街のエジンベルに村人は怪我を治しに行っておったんじゃ。村は魔獣達に壊滅的に壊されておったから、みなエジンベルの教会に傷を治しに行ったり、元気な者達は壊れた村を直す為に道具や材料を探しに来ておった」

「えっ……じゃあ。あの時僕が壊した村には」

「ワシが聞いたのは十二人じゃ。十二人村に残っておったと……」

「…………十二人」

「そうじゃ。それも幸か不幸かその十二人は一番近くでカリンを見ていて何もしなかった奴らじゃと……助かった村人達が後で教えてくれた。もちろん自分達も同罪じゃと残された村人達は自分の事を皆責めておった」

「そんな……」

「リィモよ……お主がした事は間違っておった。じゃが村人達も間違がっておった。何が正解で正しいのかは、ワシは神ではないから分からんがの? 村人達は過去から前に向かって進んでおるんじゃよ」

「…………そんな……生きていた……村人達が……生き……いた」

 グリモワールは、パールの言葉を聞き、ぶつぶつと何か独り言を言っている。

「ワシもグテ村の復興を手伝ったからのう。魔獣達に攻め込まれん様に、前の何倍も強固な防壁を作ってやった。あれは三百年以上前に、ワシが作ってやった防壁じゃが今も健在じゃ。ワシ……凄いじゃろう?」

 パールが得意げに自分が作った防壁を自慢しだした。せっかく良い話をしていたのに……残念な感じになるのはさすがパールだな。

 だが村が街の様に見えた理由が分かったよ。パールが作った強固で高さ十メートルはある防壁のせいだな。
 村にあの要塞の様な防壁はありえない……あんな凄いのを作れる予算など、村には到底無理だ。

 ふと横を見ると……カリンが静かに涙をながしていた。

「カリン? 大丈夫か?」

 俺は何か嫌なことを思い出したのかと思い、慌て近寄る。

「ふふ……ティーゴ様ありがとうございます。大丈夫です、私……嬉しいんです」

「嬉しい?」

「はい。村があって……ふふ」

 カリンは村を見て、泣きながら幸せそうに笑っていた。

 その姿をパールは目を細め優しく見守っていた。

 なんだかそんな二人を見て胸がキュウっと苦しくなり、俺まで泣きそうになってしまう。
 そんな俺の姿を直ぐに銀太が気付き『主? どうしたんじゃ?』と心配そうに俺の頬を舐めた。

「わっぷ! 大丈夫だよ! ありがとう銀太」

 そう言って銀太の鼻先を撫でる。それを見ていたコンちゃんが、ピョコンとやって来て脚に擦り寄る。

『むう! 妾だって気になっておった』

「はいはいコンちゃんもありがとう」

 コンちゃんの頭も目一杯もふもふと撫でてやる。相変わらず聖獣達が可愛い。

 ふとスバルを見ると、パールの頭の上で幸せそうに座っていた。カスパール様姿のパールが嬉しいみたいだな。クスクス。

「さてと……村に入ってみるかの」

「そうだな!」
「はい」

 パールが村に行こうと言うので直ぐに返事を返すが、グリモワールだけはまだ黙ったままだ。

「ふうむ。この姿じゃと……ちぃと不便じゃから……」

ボンッ!

『あーっ! 主っ! 何で……もうちょっとあのままで居てくれよ!』

 パールがいつもの猫パールの姿に戻った。スバルはブーブー文句を言ってるけど、俺はこの姿の方が落ち着くな。

「えっ?……猫?」

 その姿を見てカリンがビックリしている。

「死んだカスパールの姿で村に行ったら色々とおかしいじゃろ?」

「死ん? えっあっ!……そうか! カスパール様は亡くなって……んっ? あれ? 何でじゃあ今生きて? ええっ?」

 カリンは今更、なぜパールが今世にいるのかの不思議に気付いたらしく、プチパニック状態に。
 やっと周りが見えだしたんだな。それだけ……心が落ち着いた証拠だ。

 俺は慌てカリンにパールの説明をした。なかなか直ぐに理解してもらえなかったけど。



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