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2巻
2-3
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四天王メフィストは考えあぐねていた。
取り急ぎトンネルを塞いで物流を混乱させるなどしてみたが、すぐに直されてしまったと報告があった。これもトリプルSの仕業なのか?
ベリアルが用意していた策も失敗したと聞くし、まだ誰もリードしていない。次の一手こそ決めたいところだ。厄介なのはやはりトリプルSのフェンリルだが、何処かの誰かが葬ってくれないものか。少なくとも、自分で戦うのは御免だな。
そして、四天王バフォメットはまだしつこく悩んでいる。
あの聖龍の卵さえ取り戻すことが出来れば……私にもチャンスはある!
一番のお気に入りはこの私になるはずだ!
偵察の者によると、卵はまだ孵っていない。再び穢れを沢山与えてやれば、邪竜が誕生するはずだ。
フェンリルさえいなければ……簡単に取り戻せるのに!
どうやら卵は、人族の男が持っていると、偵察に行った奴が言っていた。
相手が人族なら隙を見て盗めないだろうか……?
いやいや無理だ! フェンリルの奴は常に気配探知を使っており、我等が近くに行くとバレる! 何かいい計画を考えないと……!
せめて人族の男が一人になってくれたら……あっ?
んんっ? そうだ! これならいける!
クククッ……見ておれフェンリルよ。
★ ★ ★
「わっ、これはレア薬草!」
俺は見つけた薬草のところに急いで走って行く。
「あっ、こっちにも! 神眼だと更にレアな素材がドンドン見つかる! はぁ……神眼って凄い……」
神眼のおかげで薬草などが簡単に見つかるので、俺はご機嫌に採取していく。
『まただな……ティーゴの旦那は葉っぱ集めるのが本当に好きだな』
『そうなの? 何に使うの?』
三号が不思議そうに質問した。
『んん? 傷薬作ったり、売るためって言ってたなぁ……?』
スバルが曖昧に答える。
『ん~? 傷薬必要? 私達いるのに? それに薬草なんて、売っても大したお金にならないのにね?』
三号は不思議でならない……。
『でも……まぁ……楽しそうだからな?』
『そうよね。ティーゴが楽しかったらいいわね。ふふっ』
聖獣達が少し残念そうに、温かい目で自分を見ているなんて、そんなこと全く気付かずに、俺はせっせと薬草を採取し、アイテムボックスに入れていくのだった。
『ティーゴの旦那! もうそろそろ森を抜けるぜ!』
「わっ! もう? 採取しながらだとあっという間だったな……!」
森を出ると、微かに嗅いだことのない香りが……!
『おーここまで来たら海の匂いがして来たな!』
『本当だの……』
銀太達がこれが海の匂いだと言う。
これが海の匂いか……! 初めて感じる海の匂い。これだけでもワクワクする。
「海! 楽しみだな!」
俺は卵をリュックから出して、海の匂いを教える。
「卵! これが海の匂いだよ! 分かる?」
プルプル……!
卵がほんのり黄色く光る。
「やっぱり! 卵ちょっと光ってる! 気のせいじゃなかったんだ」
俺は嬉しくて卵をみんなに見せようと、大きな声で叫ぶ。
「なぁみんな見てくれよ! 卵が光るんだ」
みんなが俺の所に集まってくる。
『卵が光ったのか? ってことはもうすぐ生まれるのかもな!』
『おおーっ楽しみだの! どんな龍が生まれてくるのかのぅ……?』
スバルと銀太は楽しそうに卵を見ている。
何だか嬉しいな。
『卵って光るのねー……ねぇ? 卵! もう一回光って見せてよ?』
三号が卵に話しかける。
『……』
『うーん……何も反応ないわね……?』
「さっきは黄色に光ったんだけどな……なぁ? 卵」
俺はそう言って卵を撫でた。
すると卵はほんのりピンク色に光った。
『おお! 光ったのだ!』
「今度はピンク色だな。不思議な卵だな」
『私が言っても何も反応しなかったのに!』
三号が少し頬を膨らませ拗ねる。
「たまたまだよ!」
そう言って三号の頭を撫でてやる。
「なぁスバル? 港町ニューバウンまでは後どれくらい歩いたら着くんだ? 分かるか?」
早くニューバウンに行きたい俺は、スバルに聞いてみた。
『どれくらいだろうなぁ? 俺が飛んでいったら五分くらいか?』
全然参考にならないよ、スバル。
まぁ……近づいてるってことだよな! 海も楽しみだし、名物だっていう新鮮な魚介類も楽しみだなぁ。
そして、みんなでワイワイと楽しく話しながら歩いて行くと……あっ!
遥か先に大きな門が見えてきた!
人集りが……見える! ってことはあの場所がニューバウンの検問所だ!
『おーっ! ニューバウンに着いたな!』
『私達どうしようかしら? 人化する?』
「そのままでいいよ! タダでさえ銀太がいて目立つからな! そこに綺麗な女の人を三人も連れてたら更に目立っちゃうよ!」
それに黒犬の方が俺は落ち着くしな。
「じゃあ行きますか! ニューバウンに!」
しかし、俺達がニューバウンの検問所に着くと、人集りはなくなり、目の前には門番しか居なかった……。
「あわわっ……⁉ フェンリル……」
門番の人達はいきなり目の前にフェンリルが現れたから、ビックリして今にも気絶しそうだ……!
はぁ……。
この展開も慣れてきたな。
「大丈夫です、安心してください。このフェンリルは俺の使い獣です!」
そう言って俺は銀太をモフりたおす。
モフモフ……モフモフ……モフモフ……。
『フンスッ……気持ちいいのだ』
「あわわ……⁉ フェンリルがあんなに懐いて……嬉しそうに……ゴクリ……モフモフ……モフモフ……」
あれ? 門番の様子が変だぞ? 目がウットリとして、銀太の被毛の虜になってないか?
「あの? これ冒険者証です」
俺はすかさず冒険者証を門番に見せる。
はっ! と門番が我に返った。
「おおっ! Aランクギルドカードですね。どうぞお入りください。ニューバウンの街へようこそ! ……モフモフ」
門番の人達はウットリした目のまま送り出してくれた。
『アイツ等、銀太のことずっと見てたな!』
スバルも気になったみたいだ。
『銀太に触りたかったのよ! あの目は! モフモフって言ってたし!』
『だよなぁー! はははっ』
銀太に触りたいって思ってもらえるのは嬉しいな。怖がられるよりその方が断然いい。自慢の毛は毎日ブラッシングしてるからふわふわだしな!
「おお? あれが海か! 凄い……うわぁ……!」
こんなにたくさんの水が!
海は俺が想像していた何百倍も広かった。
海を見ると、もっと近くに行きたくなってきた。
「なぁ? もっと海の近くに行ってみないか?」
俺は海に興奮して、子供みたいにはしゃいで走って行った。
『ふむ! 我も行くのだ!』
『何だ? 行ってみるか!』
『ふふ……ティーゴったら子供みたいよ!』
『海は久しぶりっす』
『行くか!』
ものの数分で、俺は砂浜に辿り着いた。
これが海! 遠い所からどんどん水が溢れてくる! 水がまるで生きているように動いている。……不思議だ。
そうっと足先を海に入れてみる。
するとすぐに波が押し寄せてきて、膝まで浸かる。
『ティーゴの旦那!』
バシャッ!
「ウワップ……⁉」
水がしょっぱい……!
スバルが水をかけてきた!
「クソッやったなー?」
俺も海水をバシャバシャと飛ばす。しかし、スバルはひょいひょいとかわした。
『へへっ? 簡単にはかからないぜ!』
「クソッすばしっこいな!」
その時、バッシャーンッ! と大きな水柱が立ち上った。
『うわっ⁉ ちょっ! ぺっ? 銀太やったなー!』
銀太が思いっきり海に飛び込んだせいで、水飛沫が大量にスバルにかかった。
「あはははははっ」
俺と銀太とスバルは海で思いっきり遊んだ。その間、一号、二号、三号は砂浜でのんびりと寛いでいた。
スバルがふと何かに気づいた様子で遠くを見た。
『あれ? なぁティーゴの旦那! あっちの方、凄い人じゃないか?』
「んん? 本当だ! 何かイベントでもしてるのかな?」
『イベント? 何だそれ?』
スバルがイベントという言葉に反応する。
「ん~祭りみたいなもんだよ」
『祭りだと? それは楽しそーじゃねぇか! 行ってみようぜ!』
よく見たら旗がいっぱい立ってる! なんて書いてあるんだ? 目を凝らすと文字が見えてきた。
【来たれ男の釣り大会開催!】。
別の旗には【釣り人よ挑戦待ってるぜ……!】って書いてある。
何だって!
「スバル! 釣り大会やってるよ!」
『何? そりゃ俺が優勝だな!』
「イヤイヤ俺だよ?」
『行ってみようぜ!』
釣り大会か……!
「これは……楽しみだな!」
俺とスバルは旗が立っている開催場所に向かった。
みんなで行くと目立って大騒ぎになるので、とりあえず俺とスバルだけで行くことにした。
「彼処かな?」
受付らしい場所に人が沢山集まっている。
「すみませーん!」
「はいよー!」
頭にハチマキを巻いている、褐色の肌をした筋骨隆々のおじさんが返事をする。
「釣り大会の旗を見てきたんだ! 俺も参加したいんだけど」
「釣り大会参加ね! ありがとうな。参加は二人でペアを組むことになるけどもう一人は居るかい?」
「えっ……⁉ ペア?」
困ったな、二人か……。
『ここに居るぜ?』
人化したスバルが横に立っていた。
「おっ? こりゃまたカッコいいニイちゃんだな? 大会は一時間後だ! それまでに準備しておけよ。ホラっこれは受付番号だ!」
俺達は受付番号が書かれた紙を貰い、釣りの準備をすることにした。
「受付番号百十一だって! 一ばっかりだ! 縁起のいい番号貰ったぞ!」
『大会は一時間後か。楽しみだな! 早く釣りたいぜ!』
大会が始まるまでに、俺とスバルは自分達の釣竿を作り、受付に戻った。
「今から釣り大会スタートだぜ! 準備は出来たか?」
「はい! バッチリです」
「ん? ペアはさっきのカッコいいアンちゃんじゃねーのか? このちっこいガキで大丈夫か?」
えっ? ガキ?
ふと横を見るとスバルの姿は少年になっていた。
「えっ? スバル? 何でっ? どーいうこと! 子供になってる」
『……俺が人化すると子供になるんだよ。カッコつけて大人になってたけど、その姿は一時間しか持たないんだ。人化することなんて殆どなかったから……忘れてたぜ……クソッ』
スバルは真っ赤な顔で少し恥ずかしそうにして、ソッポを向いた……。
「何だよ! スバル可愛いなぁ!」
俺はスバルの頭をクシャクシャ撫でる。
『可愛いって何だよっ!』
少年のスバルが口を尖らせ、膨れっ面して困ってる。
スバルの姿は、大きな青い目に、真っ赤な長い髪が肩まで伸びて、その姿は可愛い女の子にも見える。
「弟が出来たみたいで嬉しいよ! スバル!」
『……弟? ……俺はティーゴの弟か‼ そっか』
さっきまで膨れっ面してたのに、弟扱いが気に入ったのかスバルはニヤニヤしている。
「よーしっスバル! 一位をとるぞ!」
『俺に任せとけ! 足引っ張るなよ?』
俺達は張り切って海に向かった。
「何処にする? 場所決めも大事だからな」
『ここは? 誰もいないし』
俺とスバルは釣り場を決めて、釣りの準備を始める。
釣り大会は二時間。その間に一番大きな魚を釣った者の勝利だ。デカい魚を釣った奴が勝つ! 単純な勝負だ。
俺が一番デカい魚を釣るぞ!
ピィィ――――――――――――ッ‼
大会開始の笛の音が鳴った。
『よっし! デカいの釣ってやるぜ!』
スバルが張り切っている。
「俺だって負けないよ?」
釣り糸を垂らして構えると、何かが引っかかった感覚がした。
おっ! 早速いいあたりが……? 中々強い。これは早々にデカい魚が来たか?
釣り糸にかかった魚が水面から跳ね上がり、すぐにまた水の中へ。
「えっ……?」
今……チラッと見えたけど……!
あれは……魚か?
バッシャーンッ! また獲物が姿を見せた。
「……人⁉」
えっ……人? 何だあれは?
いやっ⁉ 違うっ! あれは……人魚だっ!
やばいやばいっ! 魚じゃなくて、違うの釣れてるよ! どーすんのコレ⁉
「スバル!」
困った俺はスバルに助けを求めるも、あー……釣りに夢中で聞こえてない。
釣り糸の先では、今も人魚が暴れている。よし! とりあえず釣り糸を切ろう。
糸を切り離すと、人魚は水の中へ戻って行った。
はぁー……ビックリした。海には人魚がいるのか……! この世界には知らないことがまだまだいっぱいあるな。
気を取り直してもう一度! 釣り糸を投げた。
バッシャーンッ!
………………何で? また人魚だ!
すぐに糸を切って息をつく。
「ふうっ……」
何で人魚ばっかり釣れるんだ?
ちらりとスバルの方を見ると、普通に……イヤイヤ普通じゃないよ!
何だアレは⁉ あのデカい化け物みたいな奴は……⁉
釣り糸の先には、何か大きな生き物の体の一部が見えている。スバルは歯を食いしばって、大きくしなった釣竿を支えていた。
スバルよ、一体何を釣ってるんだ?
隣を見たことで、俺はなんだか達観した気持ちになっていた。
そうか……海には普通じゃない魚がいっぱい居るんだな。気を取り直してもう一度!
しかしまたも――
「はわっ!」
また人魚! 何で人魚ばっかり釣れるんだ。また糸切らなくちゃ。
「ええっ⁉」
人魚が釣り糸を掴んでこっちに泳いで来てないか?
やばいやばいっ! 怖いって! 慌てて釣り糸を切る。
プチンッ……!
「はぁビックリした……人魚が向かってくるなんて」
そう思った瞬間、近くの水面が盛り上がって何かが姿を現した。
『何で釣り糸切るんですか! はぁ、はぁっ……』
あわわっ、人魚が泳いで俺のところに来た!
人魚は息を荒くしている。
「えっ……? だって俺は魚を釣りに……」
『私達は貴方にお話があって、釣り糸に掴まったのに!』
仲間の人魚も泳いで来て、その数は三人……三匹? とにかく人魚達は俺の目の前に集まった。
人魚は下半身が魚。上半身は胸の辺りまで魚鱗で覆われていた。
「話がある? 俺に?」
『そうです! 貴方は私達の仲間が住む泉を浄化し、助けてくれたと聞きました!』
『だからお願いです! 今度は私達の仲間を助けてください!』
人魚達の話によると……。
森で俺が浄化した泉には、人魚の仲間の魚達が暮らしており、そして死にかけていた。それを俺が浄化したことで助かったと。
その話を魚達から聞いた後に、今度は自分達以外の人魚が魔族に連れ去られた。
どうしようかと途方に暮れていたところに、噂の人物(俺)がノコノコと海に現れたというわけだ。そして今に至る。
って、イヤイヤ⁉ 泉を浄化出来たのは偶然だし?
それにまた魔族……! 何で俺の行く先行く先に、いつも魔族が出てくるんだよ! はぁ……。
「俺はどうしたらいいわけ?」
『私達の仲間を助けてください! お願いします!』
ですよね……! 何となく想像はついてたよ。
「分かった! 俺に出来ることならするから。仲間達が何処に連れ去られたかは分かるのか?」
『はい! 沖に見える離れ小島に幽閉されてます』
人魚達が指す方向に小さな島が見えた。あの島か。
「分かった! 仲間達に相談して作戦を立てて、絶対に助けてやるからな!」
『ありがとうございます』
スバルは釣りに夢中なので、俺は銀太達と合流し、相談してみた。
『なるほどねー。助けてあげるのは賛成よ。でも本当に……魔族絡みが続くわね……』
三号は少し魔族のことが気になるようだ。
『我は主が決めたなら行くだけだ!』
『あっしもティーゴがいいんなら』
『俺もティーゴが決めたなら賛成だ』
「みんな! ありがとう」
優しい聖獣達はみんな賛成してくれた。
「それで、あの島までどうやって行く?」
『我が転移して……』
『あんなに小さな島よ? そんなことしたら、魔力を察知されて魔族にバレるわよ!』
『じゃあスバルに乗って?』
『それも目立つでしょ?』
『じゃあどーするんだよ!』
『うーん……?』
三号が中心になって、方法を色々と考えてくれる。
魔法を使ったらバレるんなら……。
「じゃあさっ、泳いで行くとか?」
『『それだ!』』
その時、大きな笛の音が鳴り響いた。
釣り大会終了の合図だ!
「ちょっと待ってて? スバルを連れて来るから!」
スバルは……っと何処にいる? あっ、いたいた!
「スバルー! デカい魚は釣れたか?」
『バッチリさ! 大漁だぜ? これは俺の優勝だな!』
「凄いじゃないか!」
俺達は話しながら受付に向かう。
「アンちゃん達! 何も持ってないじゃねーか? ボウズだったのか?」
俺達の登録をしてくれた受付のおじさんが話しかけてきた。
『何言ってんだよ! デカい奴釣れたよ!』
そう言うとスバルは、デカさ四メートルはあるクラーケンを、アイテムボックスから出した!
「クククックラーケンだと! ココッコレを? アンちゃん達が釣ったのか?」
俺は何もしてないけどね……人魚しか釣れなかったからな。
「スゲー! クラーケンを釣る奴がいるなんて!」
「クラーケンって釣れるんだな……!」
「凄いな!」
周りはスバルの釣り上げたクラーケンで大騒ぎ。
凄い凄いと褒められて、スバルは頬を赤らめ嬉しそうだ。
当然、釣り大会はスバルの優勝で終わった。釣った獲物のデカさは歴代一位らしい。良かったなスバル。優勝賞金として、金貨二十枚も貰った。これでみんなに、美味いもんを買ってあげよう。
俺とスバルは銀太達の所に戻り、いよいよ島に向かって出発だ。
スバルはいつもの姿に戻り、銀太の上に乗った。みんなで泳いで島まで行く。
俺はこんなに長い距離を泳ぐのは初めてなので、少しドキドキする。できるだけ装備を軽くして、海の中に潜り込んだ。
波に揉まれると、真っ直ぐ泳ぐのは中々難しい。五百メートルくらい泳いだところで、俺の腕はもう重くなっていた。
取り急ぎトンネルを塞いで物流を混乱させるなどしてみたが、すぐに直されてしまったと報告があった。これもトリプルSの仕業なのか?
ベリアルが用意していた策も失敗したと聞くし、まだ誰もリードしていない。次の一手こそ決めたいところだ。厄介なのはやはりトリプルSのフェンリルだが、何処かの誰かが葬ってくれないものか。少なくとも、自分で戦うのは御免だな。
そして、四天王バフォメットはまだしつこく悩んでいる。
あの聖龍の卵さえ取り戻すことが出来れば……私にもチャンスはある!
一番のお気に入りはこの私になるはずだ!
偵察の者によると、卵はまだ孵っていない。再び穢れを沢山与えてやれば、邪竜が誕生するはずだ。
フェンリルさえいなければ……簡単に取り戻せるのに!
どうやら卵は、人族の男が持っていると、偵察に行った奴が言っていた。
相手が人族なら隙を見て盗めないだろうか……?
いやいや無理だ! フェンリルの奴は常に気配探知を使っており、我等が近くに行くとバレる! 何かいい計画を考えないと……!
せめて人族の男が一人になってくれたら……あっ?
んんっ? そうだ! これならいける!
クククッ……見ておれフェンリルよ。
★ ★ ★
「わっ、これはレア薬草!」
俺は見つけた薬草のところに急いで走って行く。
「あっ、こっちにも! 神眼だと更にレアな素材がドンドン見つかる! はぁ……神眼って凄い……」
神眼のおかげで薬草などが簡単に見つかるので、俺はご機嫌に採取していく。
『まただな……ティーゴの旦那は葉っぱ集めるのが本当に好きだな』
『そうなの? 何に使うの?』
三号が不思議そうに質問した。
『んん? 傷薬作ったり、売るためって言ってたなぁ……?』
スバルが曖昧に答える。
『ん~? 傷薬必要? 私達いるのに? それに薬草なんて、売っても大したお金にならないのにね?』
三号は不思議でならない……。
『でも……まぁ……楽しそうだからな?』
『そうよね。ティーゴが楽しかったらいいわね。ふふっ』
聖獣達が少し残念そうに、温かい目で自分を見ているなんて、そんなこと全く気付かずに、俺はせっせと薬草を採取し、アイテムボックスに入れていくのだった。
『ティーゴの旦那! もうそろそろ森を抜けるぜ!』
「わっ! もう? 採取しながらだとあっという間だったな……!」
森を出ると、微かに嗅いだことのない香りが……!
『おーここまで来たら海の匂いがして来たな!』
『本当だの……』
銀太達がこれが海の匂いだと言う。
これが海の匂いか……! 初めて感じる海の匂い。これだけでもワクワクする。
「海! 楽しみだな!」
俺は卵をリュックから出して、海の匂いを教える。
「卵! これが海の匂いだよ! 分かる?」
プルプル……!
卵がほんのり黄色く光る。
「やっぱり! 卵ちょっと光ってる! 気のせいじゃなかったんだ」
俺は嬉しくて卵をみんなに見せようと、大きな声で叫ぶ。
「なぁみんな見てくれよ! 卵が光るんだ」
みんなが俺の所に集まってくる。
『卵が光ったのか? ってことはもうすぐ生まれるのかもな!』
『おおーっ楽しみだの! どんな龍が生まれてくるのかのぅ……?』
スバルと銀太は楽しそうに卵を見ている。
何だか嬉しいな。
『卵って光るのねー……ねぇ? 卵! もう一回光って見せてよ?』
三号が卵に話しかける。
『……』
『うーん……何も反応ないわね……?』
「さっきは黄色に光ったんだけどな……なぁ? 卵」
俺はそう言って卵を撫でた。
すると卵はほんのりピンク色に光った。
『おお! 光ったのだ!』
「今度はピンク色だな。不思議な卵だな」
『私が言っても何も反応しなかったのに!』
三号が少し頬を膨らませ拗ねる。
「たまたまだよ!」
そう言って三号の頭を撫でてやる。
「なぁスバル? 港町ニューバウンまでは後どれくらい歩いたら着くんだ? 分かるか?」
早くニューバウンに行きたい俺は、スバルに聞いてみた。
『どれくらいだろうなぁ? 俺が飛んでいったら五分くらいか?』
全然参考にならないよ、スバル。
まぁ……近づいてるってことだよな! 海も楽しみだし、名物だっていう新鮮な魚介類も楽しみだなぁ。
そして、みんなでワイワイと楽しく話しながら歩いて行くと……あっ!
遥か先に大きな門が見えてきた!
人集りが……見える! ってことはあの場所がニューバウンの検問所だ!
『おーっ! ニューバウンに着いたな!』
『私達どうしようかしら? 人化する?』
「そのままでいいよ! タダでさえ銀太がいて目立つからな! そこに綺麗な女の人を三人も連れてたら更に目立っちゃうよ!」
それに黒犬の方が俺は落ち着くしな。
「じゃあ行きますか! ニューバウンに!」
しかし、俺達がニューバウンの検問所に着くと、人集りはなくなり、目の前には門番しか居なかった……。
「あわわっ……⁉ フェンリル……」
門番の人達はいきなり目の前にフェンリルが現れたから、ビックリして今にも気絶しそうだ……!
はぁ……。
この展開も慣れてきたな。
「大丈夫です、安心してください。このフェンリルは俺の使い獣です!」
そう言って俺は銀太をモフりたおす。
モフモフ……モフモフ……モフモフ……。
『フンスッ……気持ちいいのだ』
「あわわ……⁉ フェンリルがあんなに懐いて……嬉しそうに……ゴクリ……モフモフ……モフモフ……」
あれ? 門番の様子が変だぞ? 目がウットリとして、銀太の被毛の虜になってないか?
「あの? これ冒険者証です」
俺はすかさず冒険者証を門番に見せる。
はっ! と門番が我に返った。
「おおっ! Aランクギルドカードですね。どうぞお入りください。ニューバウンの街へようこそ! ……モフモフ」
門番の人達はウットリした目のまま送り出してくれた。
『アイツ等、銀太のことずっと見てたな!』
スバルも気になったみたいだ。
『銀太に触りたかったのよ! あの目は! モフモフって言ってたし!』
『だよなぁー! はははっ』
銀太に触りたいって思ってもらえるのは嬉しいな。怖がられるよりその方が断然いい。自慢の毛は毎日ブラッシングしてるからふわふわだしな!
「おお? あれが海か! 凄い……うわぁ……!」
こんなにたくさんの水が!
海は俺が想像していた何百倍も広かった。
海を見ると、もっと近くに行きたくなってきた。
「なぁ? もっと海の近くに行ってみないか?」
俺は海に興奮して、子供みたいにはしゃいで走って行った。
『ふむ! 我も行くのだ!』
『何だ? 行ってみるか!』
『ふふ……ティーゴったら子供みたいよ!』
『海は久しぶりっす』
『行くか!』
ものの数分で、俺は砂浜に辿り着いた。
これが海! 遠い所からどんどん水が溢れてくる! 水がまるで生きているように動いている。……不思議だ。
そうっと足先を海に入れてみる。
するとすぐに波が押し寄せてきて、膝まで浸かる。
『ティーゴの旦那!』
バシャッ!
「ウワップ……⁉」
水がしょっぱい……!
スバルが水をかけてきた!
「クソッやったなー?」
俺も海水をバシャバシャと飛ばす。しかし、スバルはひょいひょいとかわした。
『へへっ? 簡単にはかからないぜ!』
「クソッすばしっこいな!」
その時、バッシャーンッ! と大きな水柱が立ち上った。
『うわっ⁉ ちょっ! ぺっ? 銀太やったなー!』
銀太が思いっきり海に飛び込んだせいで、水飛沫が大量にスバルにかかった。
「あはははははっ」
俺と銀太とスバルは海で思いっきり遊んだ。その間、一号、二号、三号は砂浜でのんびりと寛いでいた。
スバルがふと何かに気づいた様子で遠くを見た。
『あれ? なぁティーゴの旦那! あっちの方、凄い人じゃないか?』
「んん? 本当だ! 何かイベントでもしてるのかな?」
『イベント? 何だそれ?』
スバルがイベントという言葉に反応する。
「ん~祭りみたいなもんだよ」
『祭りだと? それは楽しそーじゃねぇか! 行ってみようぜ!』
よく見たら旗がいっぱい立ってる! なんて書いてあるんだ? 目を凝らすと文字が見えてきた。
【来たれ男の釣り大会開催!】。
別の旗には【釣り人よ挑戦待ってるぜ……!】って書いてある。
何だって!
「スバル! 釣り大会やってるよ!」
『何? そりゃ俺が優勝だな!』
「イヤイヤ俺だよ?」
『行ってみようぜ!』
釣り大会か……!
「これは……楽しみだな!」
俺とスバルは旗が立っている開催場所に向かった。
みんなで行くと目立って大騒ぎになるので、とりあえず俺とスバルだけで行くことにした。
「彼処かな?」
受付らしい場所に人が沢山集まっている。
「すみませーん!」
「はいよー!」
頭にハチマキを巻いている、褐色の肌をした筋骨隆々のおじさんが返事をする。
「釣り大会の旗を見てきたんだ! 俺も参加したいんだけど」
「釣り大会参加ね! ありがとうな。参加は二人でペアを組むことになるけどもう一人は居るかい?」
「えっ……⁉ ペア?」
困ったな、二人か……。
『ここに居るぜ?』
人化したスバルが横に立っていた。
「おっ? こりゃまたカッコいいニイちゃんだな? 大会は一時間後だ! それまでに準備しておけよ。ホラっこれは受付番号だ!」
俺達は受付番号が書かれた紙を貰い、釣りの準備をすることにした。
「受付番号百十一だって! 一ばっかりだ! 縁起のいい番号貰ったぞ!」
『大会は一時間後か。楽しみだな! 早く釣りたいぜ!』
大会が始まるまでに、俺とスバルは自分達の釣竿を作り、受付に戻った。
「今から釣り大会スタートだぜ! 準備は出来たか?」
「はい! バッチリです」
「ん? ペアはさっきのカッコいいアンちゃんじゃねーのか? このちっこいガキで大丈夫か?」
えっ? ガキ?
ふと横を見るとスバルの姿は少年になっていた。
「えっ? スバル? 何でっ? どーいうこと! 子供になってる」
『……俺が人化すると子供になるんだよ。カッコつけて大人になってたけど、その姿は一時間しか持たないんだ。人化することなんて殆どなかったから……忘れてたぜ……クソッ』
スバルは真っ赤な顔で少し恥ずかしそうにして、ソッポを向いた……。
「何だよ! スバル可愛いなぁ!」
俺はスバルの頭をクシャクシャ撫でる。
『可愛いって何だよっ!』
少年のスバルが口を尖らせ、膨れっ面して困ってる。
スバルの姿は、大きな青い目に、真っ赤な長い髪が肩まで伸びて、その姿は可愛い女の子にも見える。
「弟が出来たみたいで嬉しいよ! スバル!」
『……弟? ……俺はティーゴの弟か‼ そっか』
さっきまで膨れっ面してたのに、弟扱いが気に入ったのかスバルはニヤニヤしている。
「よーしっスバル! 一位をとるぞ!」
『俺に任せとけ! 足引っ張るなよ?』
俺達は張り切って海に向かった。
「何処にする? 場所決めも大事だからな」
『ここは? 誰もいないし』
俺とスバルは釣り場を決めて、釣りの準備を始める。
釣り大会は二時間。その間に一番大きな魚を釣った者の勝利だ。デカい魚を釣った奴が勝つ! 単純な勝負だ。
俺が一番デカい魚を釣るぞ!
ピィィ――――――――――――ッ‼
大会開始の笛の音が鳴った。
『よっし! デカいの釣ってやるぜ!』
スバルが張り切っている。
「俺だって負けないよ?」
釣り糸を垂らして構えると、何かが引っかかった感覚がした。
おっ! 早速いいあたりが……? 中々強い。これは早々にデカい魚が来たか?
釣り糸にかかった魚が水面から跳ね上がり、すぐにまた水の中へ。
「えっ……?」
今……チラッと見えたけど……!
あれは……魚か?
バッシャーンッ! また獲物が姿を見せた。
「……人⁉」
えっ……人? 何だあれは?
いやっ⁉ 違うっ! あれは……人魚だっ!
やばいやばいっ! 魚じゃなくて、違うの釣れてるよ! どーすんのコレ⁉
「スバル!」
困った俺はスバルに助けを求めるも、あー……釣りに夢中で聞こえてない。
釣り糸の先では、今も人魚が暴れている。よし! とりあえず釣り糸を切ろう。
糸を切り離すと、人魚は水の中へ戻って行った。
はぁー……ビックリした。海には人魚がいるのか……! この世界には知らないことがまだまだいっぱいあるな。
気を取り直してもう一度! 釣り糸を投げた。
バッシャーンッ!
………………何で? また人魚だ!
すぐに糸を切って息をつく。
「ふうっ……」
何で人魚ばっかり釣れるんだ?
ちらりとスバルの方を見ると、普通に……イヤイヤ普通じゃないよ!
何だアレは⁉ あのデカい化け物みたいな奴は……⁉
釣り糸の先には、何か大きな生き物の体の一部が見えている。スバルは歯を食いしばって、大きくしなった釣竿を支えていた。
スバルよ、一体何を釣ってるんだ?
隣を見たことで、俺はなんだか達観した気持ちになっていた。
そうか……海には普通じゃない魚がいっぱい居るんだな。気を取り直してもう一度!
しかしまたも――
「はわっ!」
また人魚! 何で人魚ばっかり釣れるんだ。また糸切らなくちゃ。
「ええっ⁉」
人魚が釣り糸を掴んでこっちに泳いで来てないか?
やばいやばいっ! 怖いって! 慌てて釣り糸を切る。
プチンッ……!
「はぁビックリした……人魚が向かってくるなんて」
そう思った瞬間、近くの水面が盛り上がって何かが姿を現した。
『何で釣り糸切るんですか! はぁ、はぁっ……』
あわわっ、人魚が泳いで俺のところに来た!
人魚は息を荒くしている。
「えっ……? だって俺は魚を釣りに……」
『私達は貴方にお話があって、釣り糸に掴まったのに!』
仲間の人魚も泳いで来て、その数は三人……三匹? とにかく人魚達は俺の目の前に集まった。
人魚は下半身が魚。上半身は胸の辺りまで魚鱗で覆われていた。
「話がある? 俺に?」
『そうです! 貴方は私達の仲間が住む泉を浄化し、助けてくれたと聞きました!』
『だからお願いです! 今度は私達の仲間を助けてください!』
人魚達の話によると……。
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その話を魚達から聞いた後に、今度は自分達以外の人魚が魔族に連れ去られた。
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って、イヤイヤ⁉ 泉を浄化出来たのは偶然だし?
それにまた魔族……! 何で俺の行く先行く先に、いつも魔族が出てくるんだよ! はぁ……。
「俺はどうしたらいいわけ?」
『私達の仲間を助けてください! お願いします!』
ですよね……! 何となく想像はついてたよ。
「分かった! 俺に出来ることならするから。仲間達が何処に連れ去られたかは分かるのか?」
『はい! 沖に見える離れ小島に幽閉されてます』
人魚達が指す方向に小さな島が見えた。あの島か。
「分かった! 仲間達に相談して作戦を立てて、絶対に助けてやるからな!」
『ありがとうございます』
スバルは釣りに夢中なので、俺は銀太達と合流し、相談してみた。
『なるほどねー。助けてあげるのは賛成よ。でも本当に……魔族絡みが続くわね……』
三号は少し魔族のことが気になるようだ。
『我は主が決めたなら行くだけだ!』
『あっしもティーゴがいいんなら』
『俺もティーゴが決めたなら賛成だ』
「みんな! ありがとう」
優しい聖獣達はみんな賛成してくれた。
「それで、あの島までどうやって行く?」
『我が転移して……』
『あんなに小さな島よ? そんなことしたら、魔力を察知されて魔族にバレるわよ!』
『じゃあスバルに乗って?』
『それも目立つでしょ?』
『じゃあどーするんだよ!』
『うーん……?』
三号が中心になって、方法を色々と考えてくれる。
魔法を使ったらバレるんなら……。
「じゃあさっ、泳いで行くとか?」
『『それだ!』』
その時、大きな笛の音が鳴り響いた。
釣り大会終了の合図だ!
「ちょっと待ってて? スバルを連れて来るから!」
スバルは……っと何処にいる? あっ、いたいた!
「スバルー! デカい魚は釣れたか?」
『バッチリさ! 大漁だぜ? これは俺の優勝だな!』
「凄いじゃないか!」
俺達は話しながら受付に向かう。
「アンちゃん達! 何も持ってないじゃねーか? ボウズだったのか?」
俺達の登録をしてくれた受付のおじさんが話しかけてきた。
『何言ってんだよ! デカい奴釣れたよ!』
そう言うとスバルは、デカさ四メートルはあるクラーケンを、アイテムボックスから出した!
「クククックラーケンだと! ココッコレを? アンちゃん達が釣ったのか?」
俺は何もしてないけどね……人魚しか釣れなかったからな。
「スゲー! クラーケンを釣る奴がいるなんて!」
「クラーケンって釣れるんだな……!」
「凄いな!」
周りはスバルの釣り上げたクラーケンで大騒ぎ。
凄い凄いと褒められて、スバルは頬を赤らめ嬉しそうだ。
当然、釣り大会はスバルの優勝で終わった。釣った獲物のデカさは歴代一位らしい。良かったなスバル。優勝賞金として、金貨二十枚も貰った。これでみんなに、美味いもんを買ってあげよう。
俺とスバルは銀太達の所に戻り、いよいよ島に向かって出発だ。
スバルはいつもの姿に戻り、銀太の上に乗った。みんなで泳いで島まで行く。
俺はこんなに長い距離を泳ぐのは初めてなので、少しドキドキする。できるだけ装備を軽くして、海の中に潜り込んだ。
波に揉まれると、真っ直ぐ泳ぐのは中々難しい。五百メートルくらい泳いだところで、俺の腕はもう重くなっていた。
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