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本編 燦聖教編
怒り
しおりを挟む「ふん? 何をそんなにいきりたって? 興奮したところで貴方達はみんな僕に始末されるんだから。カスパール様は確かに強く素晴らしい誰もが敵わない一番の大賢者だった。でもね? それは一対一での対決でだ。優れた大賢者が数人相手となるとどうかな?」
数人だと?何を言って?
グリモワールは両手を天に掲げその手を広げた。すると手から影が溢れてくる。
「アン・リザレクションを使ったのがこの二人だけだと誰が言った? いでよ大賢者ガンファン、ドラーク、サイラス!」
先に現れていたマーリンとソロモンを含むと、五人の黒い大賢者がグリモワールの後ろに立った。
「この人達の墓も荒らしたのか?」
「荒らす? 言い方が悪いね。蘇らせてあげたと言って欲しいな?」
グリモワールは良いことをしてあげたとでも言っているかのように不思議そうに俺を見る。
「その方達は静かにに眠りたかった筈だ! 死して尚も勝手に体を好きなように使われて何が嬉しい?」
「君の話は言ってる事が分からないな? 五月蝿くて鬱陶しいから邪魔だな。折角のカスパール様との再会に水を差されたな」
「なっ!?」
俺の話が分からないだと?コイツには心が無いのか?
グリモワールは鬱陶しそうに俺を睨むと。
「だから死んで?」
グリモワールが右手を上げたと思った次の瞬間、俺に向かって五人の大賢者が一斉に光の光線を放った!
余りにも攻撃が早くて、俺は避けるどころか身動きする事さえ出来ない。
光の光線で体を貫かれると思ったが、俺の前に大きな壁が現れる。
フェンリルの姿に戻った銀太が立っていた。
『ムゥ……流石にちいと痛いのじゃ』
銀太が俺の代わりに魔法攻撃を受け綺麗な毛並みが少し焦げている。
「ぎっ銀太!」
その横にはグリフォンの姿に戻ったスバル。
それにコンちゃんまでが九尾の狐の姿に変身して俺の前に立っていた。
「あっ……なっ!? フェンリル!? グリフォン!? それにキュウコン!! なんで急に現れたんだ!? こんなの知らない……ああっいやだっ」
いきなり現れた銀太達に、グリモワールは驚きブルブルと震えている。
さっきの自信はどこに行ったのやら、恐怖で青ざめ五人の黒い大賢者達の後ろに隠れてしまった。
「銀太!スバル!コンちゃん!」
俺は優しい聖獣達に抱きつく。
銀太達が俺を庇って盾になってくれていた。
そのおかげで俺は全く無傷だった。
ありがとうみんな、守ってもらってばかりの主でごめんな。
聖獣達への感謝の気持ちの中に、グリモワールを許せない感情が渦巻いている。
俺、こんな気持ちは初めてだ。
自分の事よりも銀太の事を傷つけたことが許せない。
パールの事を道具のように使おうとしていた事も許せない。
大賢者達をオモチャのように弄んでいるのも許せない
グリモワールお前だけは絶対に許さないからな!
そう思ったら自分の体が光り輝きグリモワールの前に移動していた。
「ひっ!?」
いきなり目の前に現れた俺にグリモワールは子供のように怯え、黒い大賢者達に排除しろと命令する。
俺はこの人達を攻撃する事なんて出来ない。
……だから。
俺は、大賢者達に向かって手を翳し祈りを込めた。
もうゆっくり眠って良いい今までありがとうと。
俺の手から光が溢れ黒い大賢者達を包む。
黒い体は砂のようにサラサラと崩れ、細やかな粒子がキラキラ輝き消えていく。
ーーー少年よありがとうーーー
……え??
今、何か聞こえたような?
道具にされていた大賢者達の姿は消えた。
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