お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

つけられてた!

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「うーん……何処も賑わってるなぁ」

俺達は異空間の扉を出す為に、人気の無い場所を探してウロウロと歩いていたのだが、さすが王都だけあってどこに行っても人がいる。

異空間の事は秘密なので、誰も居ない所じゃないと扉を出せない。

俺がどうしようかと困り果てていると

「そんな時こそ、探索サーチを使って人のいない場所を探すんじゃよ!サーチは練習したじゃろ?」

パールが探索を使えとアドバイスしてくれる。

「そうか!なるほど……魔獣じゃなくて人に使うのか!」

そんな事思いつかなかった。俺はまだまだ、魔法に関して学ぶ事がいっぱいあるなと実感する。

《サーチ》

俺は探索魔法を発動した。
魔力の薄い膜をイメージしてじわじわと範囲を広げていく。

「あっ!分かったぞ北の方角に誰も居ない場所がある」

「おっ?よく出来たのじゃ」

パールが良くやったと目を細め褒めてくれた。
なんだか嬉しい。

「じゃあ俺の後ついてきてくれ!」

俺がそう言うと、銀太がそっと右手を握る。
獣人姿の銀太は俺より小さくって可愛い、いつもの姿は何倍も大きいので不思議な感じだ。
この姿だと、俺が守らなくちゃとさえ思ってしまう。

ボスンッ!
『じゃあ案内任せたぜ』
スバルが頭の上に乗ってきた。飛ぶのに飽きたんだな。

俺は頭にスバルを乗せ、胸にコンちゃんを抱きしめ、右手で銀太の手を握り目的地へと歩いた。

もふもふ密着だ。
うん最高に癒されるな。

北へと歩き進めると、王都らしからぬ景色が広がって行く。

「これって……」
「ああ……スラムがあったであろう場所じゃな」

パールが元スラム街だと言うその場所は、ボロ布で簡易な屋根が作られた、家らしき同じような建物が犇めき合い並んでいた。
人の気配は全くない。
この場所で何があったのだろう……。
よく見ると、至る所に血痕があった。

「この場所に住んでいた者達は、殺されたか?何かの目的用途の為に連れ去られたか?じゃな」

「何があったのか分からないけど、すごく嫌な空気だ」

俺はさっきまでの楽しかった気持ちが、少し下がり大きな溜め息を吐くと、異空間の扉を出そうと鍵を持ったその時。
不意に背後から声をかけられる。

「おいおい?こんな人気のない場所に集まって何をする気だ?」

「俺達からしたらありがてぇけどな?」

「ガハハハッ」といきなり現れた男達が下品に笑う。
こいつら俺達の後をついて来てたのか?

『虫がついて来ておるとは思ったけど、お主らか』

えっ……銀太?

『本当だぜ!いつ姿を表すのかと待ってたらこのタイミングとか、イラッとするぜ!』

スバルも?!

『そうじゃ!ワシはもう甘味パーティーの口なんじゃ!』

パールまで!みんなコイツらの事に気付いてたのかよっ。
俺だけ気付かずに偉そうに先導して……ううっちょっと恥ずかしい。

後をついて来ている男達は、ざっと数えて十人弱か……。

「俺達の目的は、お前らがデカい声で自慢してた掛け金さ!さっさとよこしたら怪我くらいに済ませてやるが、抵抗するようなら殺すまで!」

殺気立った男達が、賭け金を寄越せと言ってきた。
俺が大声で叫んだせいだよな?
はぁ……本当ゴメンな。

「黙ってねーでなんとか言えよ!」

男が苛立ち、持っていた大剣を引き抜いた。

『うるせーんだよ!黙りやがれ!』

早く甘味が食べたいスバルは、邪魔をされたのが気に食わず元の姿に戻ってしまった。

いきなり目の前に、五メートルはある体躯のグリフォンが現れたのに、男達は微動だにせずに固まったままスバルを見つめている

あれ?怖くないのか?

次の瞬間……!

「ヒィャァァァァァ!ばばばっ化け物っ!」
「ヤバイヤバイヤバイ!なんでこんな伝説の魔獣がっ」
「グッグリフォンだぁぁっ!」

半分の男達が、声を張り上げ震えながら後退りしようとするも、足が思う様に動かずもつれてそのまま尻餅をついた。
残りの半分は既に立ったまま気絶していた。

スバルは翼を広げ一度だけ大きく羽撃かせた。

すると大きな突風が起こり男達は空高く何処かへ飛んで行った。

『さっ……これで邪魔者はいなくなったな。異空間に帰ろうぜ』

スバルはいつもの可愛い姿に再び戻ると俺の頭に飛んで来て座る。

「……かっ帰るか」

どこかに飛んで行った男達はどうなったのか少し気になるが帰るとするか。


この時、遠方からサーチにギリギリ引っかからない場所で燦聖教の男達が見ていたのだが。
俺たちはその事に気付かずに異空間へと戻った。


★   ★    ★



「はえ?急にグリフォンの気が消えた!」
「なっ?あんなに大きな気が?」
「グリフォンがいた所に急いで走れ!」

バタバタバタバタバタバタッ

黒いローブを羽織った男達が、スラム街だった場所に慌て走り込んだ。

「いない……」

「どこに消えたのだ?この先は行き止まりなのに……?!もしや転移の魔道具を使ったのか?」

男達が必死に気配を探るも、ティーゴ達は異空間に帰ったので見つける事など不可能なのだが。

「急いでマーク司教に連絡だ!」

「はいっ!」



★     ★     ★


ーお知らせー

12月中旬に書籍発売が決まりました。
詳しい日程などは近況報告やアルファポリスの『今後の書籍刊行予定』にて随時更新されます。
絵姿などはいち早く近況報告にてお見せ出来ればと。(*´꒳`*)♡
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