3 / 314
1巻
1-3
しおりを挟む
フェンリル騒動がやっと落ち着いたので、改めて【深緑の牙】とどんなことがあったのかみんなに詳しく話す。
銀太が俺を追いかけてダンジョンに来たって件は誤魔化して、偶然居たことにしたけど。銀太の名誉のためにもね。
「すげえな! そんなことがあるんだな! 普通なら一瞬で殺されて終わりだぞ」
「しっかしティーゴは規格外だな! 今まで一匹もテイム出来なかったのによぉ。初めての使い獣がフェンリルとか! 意味分かんないぜ」
「「「ワハハハハハハッ」」」
「「「それな!」」」
ここら辺の警備隊や冒険者はみんな大雑把だからか、俺の話を疑うことなく受け入れてくれた。有難いけど、なんとなく拍子抜けだな。
「俺は【深緑の牙】のやり方は初めっから気に入らなかった。ティーゴを奴隷のように扱っているとしか思えなかった」
「アルト……!」
アルトはずっと俺のことを心配してくれていた冒険者仲間だ。
「だからな、ティーゴがフェンリルなんてすげえ魔獣をテイム出来て、俺は嬉しいよ!」
「ありがとうな、アルト」
自分のことのように心配してくれる仲間が居たのに、俺は気持ちに余裕がなくて、何も見えてなかったんだな。
「しっかしアイツ等、最低だな! 仲間を捨て駒にして自分達だけ逃げるとか」
「冒険者としてあるまじき行為だ!」
みんながいきり立っていると、一人の男性が側に来た。
「ティーゴ、ちょっといいか?」
この中で一番偉い警備隊長シルクだ。
「今回の話は色々と事が大き過ぎる。冒険者ギルドに行ってギルドマスターに報告しないといけない。今から一緒に行ってくれるか?」
「ハイ、分かりました」
こうして俺と銀太は、冒険者ギルドに行くこととなった。
ここはドヴロヴニク街。
城下街ということもあり、ヴァンシュタイン王国一繁栄している街だ。
この街は建物の屋根が煉瓦造りなのが特徴で、朱色に統一された屋根が珍しく、観光の名所にもなっている。冒険者ギルドも国で一番大きく、商店街通りには何でも揃っている。住みたい街として、人気ナンバーワンだ。
そんな凄い街の入り口で立ち止まり、俺達は中に入れず困っていた。
理由は簡単だ。門番が銀太を見て気絶し、街に入るための受付が出来なくなってしまったのだ。
「うーむ、ちょっと待っててくれよ! 俺が直接ギルドマスターを呼んでくる。その時に許可証も貰ってくるから!」
警備隊長のシルクさんが、ギルドマスターを呼びに行ってくれた。観光の名所なだけあり、街を出入りする時に、毎回許可証が必要なのだ。
『主~。早く街に入りたいのう! 我は人族の街になど入ったことがないからの! ワクワクするのだ』
銀太はウロウロと歩いて落ち着かない様子だ。街に入るのが楽しみで仕方ないって感じだな。
「フフッそうか、それは良かった」
何だろう。銀太と話していると、妹のリムのことを思い出す。
魔物使いの修業で家を出てから今まで、俺は一度も家に帰ってない。魔獣をテイム出来るまでは帰らないとか、俺が勝手に意地になってたせいだけど。
父さんには凄く怒られるだろうな。もしかしたら殴られるかもな。
母さんは泣かせちゃうかな。
でも、今は凄く会いたくて仕方ない。
よし! 家に一度帰ろう。素直に全部話して怒られよう。
俺がこれからのことを考えていたら、大きな足音と共にシルクさん達が走ってきた。
「ティーゴ、待たせたな!」
シルクさんが、ギルドマスターと新しい門番を連れてきた。
「…………………………」
銀太を見た男性が固まってしまった。
「本当にフェンリルがいる。初めて見たよ……」
この人がギルドマスターなのかな? 彼は銀太を見て、口をポカンって開いたままだ。
「…………はっ! あっこんにちは。僕がギルドマスターのシェンカーだよ。よろしくね」
我に返ったシェンカーさんが手を差し出してきたので、それを握り返して挨拶をする。
「魔物使いのティーゴです。よろしく」
「今すぐティーゴ君達にギルドに来てもらい、話を聞きたいんだけど……。街の人達がフェンリルを見て怖がって、この門番のように気絶するかもしれない」
ギルマスのシェンカーさんが、顎に手を当てて難しそうな顔をした。
「なるほど、確かにそれは困りますね」
うーむ、とシェンカーさんとシルクさんが困っている。
確かに街のみんなが気絶するとか、やば過ぎるよね。どうにか銀太が怖くないとアピールする方法を考えないと。
三人で色々と考えた結果。
何だろう……一番目立つことになっている気がする。正解なのか、これは?
銀太の首には大きな赤いリボン。
俺はそんな銀太の上に乗っている。さらに銀太の両脇をシルクさんとシェンカーさんが挟み込むように歩く。
まるで何かのパレードだ。
みんなが端に避けるので、必然的に道の真ん中を歩くことになり、余計にパレード感が増し増しだ。
街の人達が俺達を見て口々に何かを話している。
「凄い! フェンリルに乗ってる」
「ギルドマスターのシェンカーさんと隊長のシルクさんまで一緒だ!」
「あの少年は何者なんだ⁉」
何を言っているか少し聞こえてきて、さらに恥ずかしくなる。
俺は何者でもないよ、一般人だ。
あまりの注目に、俺は耐えられず赤い顔で俯いてしまう。頼むから早くギルドに着いてくれ、と願いながら。
一方の銀太は尻尾を左右に動かし、嬉しそうだな。顔もちょっと得意げだ。
銀太の奴、本当に面白いな。
でも、あー……早く冒険者ギルドに着かないかな。
★ ★ ★
「よし! やっと着いたね。二階の特別室を使おう。さあ行こう」
シェンカーさんに促され、ギルドの大きな扉を押し開けた。
銀太を連れて足を一歩踏み入れると、中に居た冒険者達が一斉に騒ぎ出す。
ダンジョンの時とは逆で、俺の周りに人が集まってきてギルドの二階に行けない。みんな銀太のこと、怖くないのかよ?
「フェンリルをテイムしたって本当か!」
「ティーゴすげぇな!」
「おめでとう」
「Aランクダンジョンクリア」
みんな思い思いのことを喋っていて、収拾がつきそうにない。
シェンカーさんが、ギルド中に響き渡る大声で叫んだ。
「おい! お前達、話は後で聞くから、今は道を空けてくれ!」
冒険者達をかき分け、俺達はどーにかこーにか、やっと二階の特別室で落ち着くことが出来た。
「ふぅ~っ。凄い騒ぎだった」
「本当にな! 当分この騒ぎは続きそうだがな」
俺とシェンカーさんは向かい合わせでソファに座る。シルクさんはシェンカーさんの横に座った。
銀太は俺の近くで寝そべっている。
ギルドで一番広い部屋のはずだが、大きな銀太がいるせいか少し狭く感じる。
「こちら紅茶とクッキーです。召し上がってください」
ギルド職員さんが紅茶とクッキーを用意してくれた。
さすがギルドの特別室だな。この建物には何度も来たけど、こんなことされたの初めてだよ。
フンスフンスッと、銀太がテーブルの上を嗅ぐ。
『主~? この丸いのとか四角いの、いい匂いする~』
ん? 丸いの? あっ、クッキーのことだな!
銀太の目がクッキーに釘付けだ。
「これ、銀太にあげていいですか?」
職員さんに聞くと笑顔で頷いてくれた。
「もちろん。どうぞどうぞ、銀太様、お食べください!」
「銀太。これはな、クッキーというお菓子だよ。食べていいよ? どうぞ」
クッキーを差し出すと、銀太は恐る恐る口に入れて噛み締める。
『うっ、美味いのだ! この【クッキー】とやら! 我はもっと……もっとクッキーを所望する!』
銀太の尻尾が弧を描くようにして激しく振られる。何だその動きは。
そうか、銀太は甘党なんだな。
ギルド職員さんが追加でクッキーをいっぱい持ってきてくれた。それが嬉し過ぎるのか、銀太の尻尾ブンブンが止まらない。
「アハハッ」
可愛いな銀太。俺、銀太と出会えてからずっと笑ってるよ。
銀太のクッキー熱も落ち着き、俺はシェンカーさんとこれからのことを決めていた。
「まずは、ティーゴ君が所属していたパーティ【深緑の牙】についてだね。ティーゴ君が【深緑の牙】からされたことは犯罪行為だ。ギルドから何らかの厳しい処分を下すことになるだろう」
シェンカーさんがそう話してくれた。
「ただ、ティーゴ君を疑うわけではないが、ギルドの規約で、【真実の水晶】に触れてもらい、嘘をついてないか調べないといけない。嫌かもしれないが調べさせてもらえるかな?」
シェンカーさんは凄く良い人だ。俺はそんなことなど気にしないのに、そこまで気を使ってくれて嬉しかった。
「大丈夫です。そんなこと、気になりません」
「良かった。では、今からティーゴ君の話に嘘がないか、真実の水晶にて判断させてもらう。嘘がある場合は水晶が赤く光る。これらの会話や映像は全て魔道具にて記録する。以上、良いかな?」
「ハイ。了解しました」
「では質問。聖獣フェンリルが目の前に現れた時、ティーゴ君は【深緑の牙】からどんな仕打ちを受けた?」
「麻痺の魔法をかけられて俺は囮にされ、その間に【深緑の牙】のメンバーは逃げました」
この時に赤く光れば、俺は嘘をついたことになる。
「……」
「何も起こらないね。これで、ティーゴ君が【深緑の牙】にされたことが事実として記録された」
「良かったなティーゴ! 【深緑の牙】の脱退の手続きはすでに済ませてある。また一からのスタートになるが頑張れよ!」
警備隊長のシルクさんがそう言って、ガッツポーズをする。
「ありがとうございます」
「あっ! そうだ。一からスタートするソロランクだけど、伝説のフェンリルをテイムしている人を一番下のFランクからスタートさせるわけにはいかない。Aランクとさせてもらったよ」
そう話し、シェンカーさんはニコリと笑った。
今とんでもないことを言わなかった? 何だって? Aランクって言わなかったか?
一からスタートなのに、前よりランク上がってるじゃん‼ どう考えてもおかしいだろそれは。
「あっあの、Aランクって……」
「本当はSランクでもSSランクでも良かったんだけど。あまりにも目立ち過ぎるのでAランクスタートにしたんだ」
いやいやシェンカーさん? Aランクスタートも十分目立ちますよ? 分かってます?
「それと、大事なお願いがある。聖獣フェンリル様をテイムしたとなれば、この国始まって以来のこと! このことは国王陛下に報告が行くから、いずれ陛下からの呼び出しがあると覚悟しておいてね」
「えっ? 王様? 田舎村出身の俺が?」
「うん! そうなると思うよ」
無理無理無理無理無理無理無理無理!
絶ッッ対に無理だ! 変なことして不敬罪とかになったらどーすんだよ。
マナーとか何も知らないし!
「やっハッハハ……」
どーにか拒否出来ないかと悶々として、この後の話が全く耳に入ってこなかった。
閑話 深緑の牙――メリーの苦悩
何で? 私達はこれからAランクになるんじゃないの? あー嫌だ! もう無理。
ティーゴを囮にして逃げてから三日が経った。
まだ私――メリーと仲間達はダンジョンにいる。
お風呂に入りたい。
お腹が空いた。
髪を洗いたい。
フカフカのベッドで寝たい。
何で私がこんな目に遭わないといけないのよ。いつもならもうみんなで祝杯して盛り上がってる頃なのに。
クソッ!
私達は十五階層で下に落ちた。
記録は十五階層攻略の時点で終わっている。攻略した階層以外からは地上に上がれない。だから私達が地上に上がるためには、最低でも十五階層まで戻らないとならない。
今は何階層なの?
こんな時にティーゴが居たら、すぐに教えてくれるのに。
ティーゴが居たら、優しい言葉で安心させてくれるのに。
ティーゴが居たら、こんな荷物は全部持ってくれるのに。
ティーゴが居たら、美味しいご飯だって用意してくれるのに。
ティーゴが居たら、フカフカの寝る場所だって。
あーーーーっ。
そう思ったところでフェンリルに殺されたティーゴは戻ってこない。戦闘では役に立たなかったけど……今思えばそれ以外は、全てティーゴに頼りっきりだった。
ああ! 今日は水しか飲んでない。私達いつ地上に戻れるの?
「ねぇ! ガストン! お腹が空いて何も出来ない。何か食べ物頂戴!」
「うるせえな! 何もないんだよ! 早くダンジョンから出ないと俺達は死ぬだけだ。ぐずぐずしねぇでサッサと歩け!」
頼りになると思っていたガストンは、ティーゴが居なくなったらずっと怒ってばっかり!
はぁぁ……何なのよ!
何で私がこんな目に遭わないといけないの?
4 デボラのお店
「…………ということで、分かった?」
え? やばい、途中から王様のことばかり考えてて、シェンカーさんの話を全く聞いてなかった。
「あの……そのう? 王様に会うってことですよね?」
俺が不安になりながら質問すると、シェンカーさんはクスリと笑い、教えてくれた。
「そうだよ。後は銀太様がティーゴ君の使い獣だと街の人達に分かるように、何かアイテムを付けてね? 使い獣用の装備や武器、アイテムなどは【デボラのお店】がお勧めだ。少し変わった店主だけど、物は全て一級品だ。紹介状がないと入れないので僕が書いとくね」
銀太用の装備……。
魔物使いはみんな、使い獣に色々な装備やアイテムを付けたり、服を着せたりして個性を出している。使い獣が居なかった時は、そういうお店に行くのが憧れでもあった。
しかも【デボラのお店】に入れるなんて‼
俺だけじゃない、この辺りの魔物使い全員が憧れる有名店だ。
「やったー! ありがとうございます。早速お店に行ってきます」
「買い物が終わったら、またギルドに帰ってきてよ? まだ伝えたいことがあるから」
「了解!」
シェンカーさんがさらさらと書いてくれた紹介状を持って、俺は銀太と意気揚々と特別室を出た。階段を下り一階の広間に行くと、さっきと打って変わってかなり人が少なくなっていた。
俺が「?」って顔をしていたら、受付のお姉さんが教えてくれた。
「先程、大量の魔獣討伐依頼があって、皆様その討伐に行かれました」
なるほどな。ナイスタイミングだったな。
よしっ、今の内にデボラのお店に買い物に行こう。
銀太には申し訳ないけど、大きな目立つリボンは付けたままだ。使い獣だとアピールする必要があるからな。
「銀太、嫌だと思うけど、デボラのお店に入るまでは、そのリボン付けたままでいい?」
『んっ? むう……? この赤いやつは後で取るのか?』
あれ……? 何か不満そうだな。まさか、リボン取るのが嫌なのか?
そう聞いてみると、銀太はもじもじする。
『えっ……? んん⁉ 嫌というか……でも、そのう。主が付けてくれたから取らなくても……赤いのも中々カッコいい!』
ブッッ……!
何コイツ……本当可愛い。
でもな。その赤いリボンは可愛過ぎて、少し似合ってないからな。もっと似合うやつを今から買いに行こうな。
「今から行くお店は、銀太の装備を選ぶために行くんだ。だから、ちゃんと使い獣のお店で、銀太に似合うのを選ばせてくれよ?」
『なっ? わわっ……我のためのお店‼ 行きたいのだ、スバルが言っておったのだ! 使い獣のお店にはカッコいいのがいっぱいあるって! スバルがいっぱいカッコいいのを持っておって、毎回我に自慢してきて……我がどれだけ悔しかっゲッゲフンゲフン! とっ! とにかく早く我のお店に行きたいのじゃ!』
銀太が興奮気味に尻尾をブンブンと回しながらお店について語る。
……友達のスバルは変な風に、使い獣のことを銀太に色々と教えてないか?
街を銀太と一緒に歩いていると何だろう、街の人達の対応が少し変わった気がする。
先程の恥ずかしいパレードの効果なのか?
俺達は街の人達に気絶されることなく、デボラのお店まで来られた。
『ここが我のお店……やっと我もカッコいいになれるのだな』
銀太がウットリとデボラのお店を見つめている。
銀太の『カッコいい』の定義が、友達のスバルのせいで色々とおかしい気がするが、今はつっこまないでおこう。
「じゃあ、入るか! デボラのお店!」
デボラのお店は、白亜の壁が建物を上品に見せ、高級な印象を与える外観だ。
俺は店の入り口に立っている、少し強面の黒い服を着た店員に紹介状を見せる。
「ご来店ありがとうございます。お客様。中にお入りくださいませ」
店員の男はそう言って扉を開ける。
ヤバイ! 急に緊張してきた。心臓の音がうるさい。落ち着け、俺。
店内には、一人の女性がカウンターの前に立っていた。
「デボラのお店へようこそ。私が店主のデボラさ」
「あっよろしくお願いします」
俺はぎこちない返事をして頭を少し下げた。
「こりゃ驚いた! フェンリルを使役した子がいるって街が大騒ぎになってたけど、まさか本当にいたとはねっ」
そう言ってデボラさんは無邪気に微笑んだ。
デボラさんは、一度見たら忘れられないくらい綺麗な人だった。真っ赤な髪に金色の瞳。そして大きな胸…………。
「ちょっと坊や? いくら私が魅力的でもね? 胸ばっかり見たらダメよ?」
「はわっ! すみません……」
やってしまった……こんなに綺麗な人初めて見たから、つい見惚れちゃったよ。決して胸ばかり見てたわけじゃないからな。
『ふうむ? お主はエルフか? 何で姿を偽っておる?』
デボラさんに銀太が話しかけ、エルフだと言っている。何だって? 嘘だろ? エルフなんて俺見たことないぞ⁉
「なっ? さすがフェンリル様。私の変身を見破るなんて……そうだよ、エルフさ」
本当にエルフなのか⁉ 噂でしか聞いたことがないぞ。エルフは実在していたのか。
「仕方ないね、特別サービスだよ? これが私の本当の姿さ!」
そう言うとデボラさんは突然、本来のエルフの姿に戻った。
エルフの姿になったデボラさんも綺麗だった。
プラチナブロンドの髪色に、宝石のようにキラキラと輝く瞳、陶器みたいに透き通った白い肌。耳は長くて尖っている。胸は……? あれ? 大き……くない?
思わず胸を凝視する俺に気付いたデボラさんは、口を尖らせ怒った。
「だーかーらー! 胸ばっかり見ない! 悪かったわね。本当は胸が小さくて!」
「いっいや……そういうわけではなくて……あの、そのっ、どっちの姿も綺麗です」
恥ずかしくてどうして良いか分からず、少しパニックになってしまう。
『なるほどのう、主は胸の大きな女子が好みなのだな』
追い討ちをかけるように、銀太まで胸の話をする。
もうやめてください。恥ずかしくて倒れそうです。
銀太が俺を追いかけてダンジョンに来たって件は誤魔化して、偶然居たことにしたけど。銀太の名誉のためにもね。
「すげえな! そんなことがあるんだな! 普通なら一瞬で殺されて終わりだぞ」
「しっかしティーゴは規格外だな! 今まで一匹もテイム出来なかったのによぉ。初めての使い獣がフェンリルとか! 意味分かんないぜ」
「「「ワハハハハハハッ」」」
「「「それな!」」」
ここら辺の警備隊や冒険者はみんな大雑把だからか、俺の話を疑うことなく受け入れてくれた。有難いけど、なんとなく拍子抜けだな。
「俺は【深緑の牙】のやり方は初めっから気に入らなかった。ティーゴを奴隷のように扱っているとしか思えなかった」
「アルト……!」
アルトはずっと俺のことを心配してくれていた冒険者仲間だ。
「だからな、ティーゴがフェンリルなんてすげえ魔獣をテイム出来て、俺は嬉しいよ!」
「ありがとうな、アルト」
自分のことのように心配してくれる仲間が居たのに、俺は気持ちに余裕がなくて、何も見えてなかったんだな。
「しっかしアイツ等、最低だな! 仲間を捨て駒にして自分達だけ逃げるとか」
「冒険者としてあるまじき行為だ!」
みんながいきり立っていると、一人の男性が側に来た。
「ティーゴ、ちょっといいか?」
この中で一番偉い警備隊長シルクだ。
「今回の話は色々と事が大き過ぎる。冒険者ギルドに行ってギルドマスターに報告しないといけない。今から一緒に行ってくれるか?」
「ハイ、分かりました」
こうして俺と銀太は、冒険者ギルドに行くこととなった。
ここはドヴロヴニク街。
城下街ということもあり、ヴァンシュタイン王国一繁栄している街だ。
この街は建物の屋根が煉瓦造りなのが特徴で、朱色に統一された屋根が珍しく、観光の名所にもなっている。冒険者ギルドも国で一番大きく、商店街通りには何でも揃っている。住みたい街として、人気ナンバーワンだ。
そんな凄い街の入り口で立ち止まり、俺達は中に入れず困っていた。
理由は簡単だ。門番が銀太を見て気絶し、街に入るための受付が出来なくなってしまったのだ。
「うーむ、ちょっと待っててくれよ! 俺が直接ギルドマスターを呼んでくる。その時に許可証も貰ってくるから!」
警備隊長のシルクさんが、ギルドマスターを呼びに行ってくれた。観光の名所なだけあり、街を出入りする時に、毎回許可証が必要なのだ。
『主~。早く街に入りたいのう! 我は人族の街になど入ったことがないからの! ワクワクするのだ』
銀太はウロウロと歩いて落ち着かない様子だ。街に入るのが楽しみで仕方ないって感じだな。
「フフッそうか、それは良かった」
何だろう。銀太と話していると、妹のリムのことを思い出す。
魔物使いの修業で家を出てから今まで、俺は一度も家に帰ってない。魔獣をテイム出来るまでは帰らないとか、俺が勝手に意地になってたせいだけど。
父さんには凄く怒られるだろうな。もしかしたら殴られるかもな。
母さんは泣かせちゃうかな。
でも、今は凄く会いたくて仕方ない。
よし! 家に一度帰ろう。素直に全部話して怒られよう。
俺がこれからのことを考えていたら、大きな足音と共にシルクさん達が走ってきた。
「ティーゴ、待たせたな!」
シルクさんが、ギルドマスターと新しい門番を連れてきた。
「…………………………」
銀太を見た男性が固まってしまった。
「本当にフェンリルがいる。初めて見たよ……」
この人がギルドマスターなのかな? 彼は銀太を見て、口をポカンって開いたままだ。
「…………はっ! あっこんにちは。僕がギルドマスターのシェンカーだよ。よろしくね」
我に返ったシェンカーさんが手を差し出してきたので、それを握り返して挨拶をする。
「魔物使いのティーゴです。よろしく」
「今すぐティーゴ君達にギルドに来てもらい、話を聞きたいんだけど……。街の人達がフェンリルを見て怖がって、この門番のように気絶するかもしれない」
ギルマスのシェンカーさんが、顎に手を当てて難しそうな顔をした。
「なるほど、確かにそれは困りますね」
うーむ、とシェンカーさんとシルクさんが困っている。
確かに街のみんなが気絶するとか、やば過ぎるよね。どうにか銀太が怖くないとアピールする方法を考えないと。
三人で色々と考えた結果。
何だろう……一番目立つことになっている気がする。正解なのか、これは?
銀太の首には大きな赤いリボン。
俺はそんな銀太の上に乗っている。さらに銀太の両脇をシルクさんとシェンカーさんが挟み込むように歩く。
まるで何かのパレードだ。
みんなが端に避けるので、必然的に道の真ん中を歩くことになり、余計にパレード感が増し増しだ。
街の人達が俺達を見て口々に何かを話している。
「凄い! フェンリルに乗ってる」
「ギルドマスターのシェンカーさんと隊長のシルクさんまで一緒だ!」
「あの少年は何者なんだ⁉」
何を言っているか少し聞こえてきて、さらに恥ずかしくなる。
俺は何者でもないよ、一般人だ。
あまりの注目に、俺は耐えられず赤い顔で俯いてしまう。頼むから早くギルドに着いてくれ、と願いながら。
一方の銀太は尻尾を左右に動かし、嬉しそうだな。顔もちょっと得意げだ。
銀太の奴、本当に面白いな。
でも、あー……早く冒険者ギルドに着かないかな。
★ ★ ★
「よし! やっと着いたね。二階の特別室を使おう。さあ行こう」
シェンカーさんに促され、ギルドの大きな扉を押し開けた。
銀太を連れて足を一歩踏み入れると、中に居た冒険者達が一斉に騒ぎ出す。
ダンジョンの時とは逆で、俺の周りに人が集まってきてギルドの二階に行けない。みんな銀太のこと、怖くないのかよ?
「フェンリルをテイムしたって本当か!」
「ティーゴすげぇな!」
「おめでとう」
「Aランクダンジョンクリア」
みんな思い思いのことを喋っていて、収拾がつきそうにない。
シェンカーさんが、ギルド中に響き渡る大声で叫んだ。
「おい! お前達、話は後で聞くから、今は道を空けてくれ!」
冒険者達をかき分け、俺達はどーにかこーにか、やっと二階の特別室で落ち着くことが出来た。
「ふぅ~っ。凄い騒ぎだった」
「本当にな! 当分この騒ぎは続きそうだがな」
俺とシェンカーさんは向かい合わせでソファに座る。シルクさんはシェンカーさんの横に座った。
銀太は俺の近くで寝そべっている。
ギルドで一番広い部屋のはずだが、大きな銀太がいるせいか少し狭く感じる。
「こちら紅茶とクッキーです。召し上がってください」
ギルド職員さんが紅茶とクッキーを用意してくれた。
さすがギルドの特別室だな。この建物には何度も来たけど、こんなことされたの初めてだよ。
フンスフンスッと、銀太がテーブルの上を嗅ぐ。
『主~? この丸いのとか四角いの、いい匂いする~』
ん? 丸いの? あっ、クッキーのことだな!
銀太の目がクッキーに釘付けだ。
「これ、銀太にあげていいですか?」
職員さんに聞くと笑顔で頷いてくれた。
「もちろん。どうぞどうぞ、銀太様、お食べください!」
「銀太。これはな、クッキーというお菓子だよ。食べていいよ? どうぞ」
クッキーを差し出すと、銀太は恐る恐る口に入れて噛み締める。
『うっ、美味いのだ! この【クッキー】とやら! 我はもっと……もっとクッキーを所望する!』
銀太の尻尾が弧を描くようにして激しく振られる。何だその動きは。
そうか、銀太は甘党なんだな。
ギルド職員さんが追加でクッキーをいっぱい持ってきてくれた。それが嬉し過ぎるのか、銀太の尻尾ブンブンが止まらない。
「アハハッ」
可愛いな銀太。俺、銀太と出会えてからずっと笑ってるよ。
銀太のクッキー熱も落ち着き、俺はシェンカーさんとこれからのことを決めていた。
「まずは、ティーゴ君が所属していたパーティ【深緑の牙】についてだね。ティーゴ君が【深緑の牙】からされたことは犯罪行為だ。ギルドから何らかの厳しい処分を下すことになるだろう」
シェンカーさんがそう話してくれた。
「ただ、ティーゴ君を疑うわけではないが、ギルドの規約で、【真実の水晶】に触れてもらい、嘘をついてないか調べないといけない。嫌かもしれないが調べさせてもらえるかな?」
シェンカーさんは凄く良い人だ。俺はそんなことなど気にしないのに、そこまで気を使ってくれて嬉しかった。
「大丈夫です。そんなこと、気になりません」
「良かった。では、今からティーゴ君の話に嘘がないか、真実の水晶にて判断させてもらう。嘘がある場合は水晶が赤く光る。これらの会話や映像は全て魔道具にて記録する。以上、良いかな?」
「ハイ。了解しました」
「では質問。聖獣フェンリルが目の前に現れた時、ティーゴ君は【深緑の牙】からどんな仕打ちを受けた?」
「麻痺の魔法をかけられて俺は囮にされ、その間に【深緑の牙】のメンバーは逃げました」
この時に赤く光れば、俺は嘘をついたことになる。
「……」
「何も起こらないね。これで、ティーゴ君が【深緑の牙】にされたことが事実として記録された」
「良かったなティーゴ! 【深緑の牙】の脱退の手続きはすでに済ませてある。また一からのスタートになるが頑張れよ!」
警備隊長のシルクさんがそう言って、ガッツポーズをする。
「ありがとうございます」
「あっ! そうだ。一からスタートするソロランクだけど、伝説のフェンリルをテイムしている人を一番下のFランクからスタートさせるわけにはいかない。Aランクとさせてもらったよ」
そう話し、シェンカーさんはニコリと笑った。
今とんでもないことを言わなかった? 何だって? Aランクって言わなかったか?
一からスタートなのに、前よりランク上がってるじゃん‼ どう考えてもおかしいだろそれは。
「あっあの、Aランクって……」
「本当はSランクでもSSランクでも良かったんだけど。あまりにも目立ち過ぎるのでAランクスタートにしたんだ」
いやいやシェンカーさん? Aランクスタートも十分目立ちますよ? 分かってます?
「それと、大事なお願いがある。聖獣フェンリル様をテイムしたとなれば、この国始まって以来のこと! このことは国王陛下に報告が行くから、いずれ陛下からの呼び出しがあると覚悟しておいてね」
「えっ? 王様? 田舎村出身の俺が?」
「うん! そうなると思うよ」
無理無理無理無理無理無理無理無理!
絶ッッ対に無理だ! 変なことして不敬罪とかになったらどーすんだよ。
マナーとか何も知らないし!
「やっハッハハ……」
どーにか拒否出来ないかと悶々として、この後の話が全く耳に入ってこなかった。
閑話 深緑の牙――メリーの苦悩
何で? 私達はこれからAランクになるんじゃないの? あー嫌だ! もう無理。
ティーゴを囮にして逃げてから三日が経った。
まだ私――メリーと仲間達はダンジョンにいる。
お風呂に入りたい。
お腹が空いた。
髪を洗いたい。
フカフカのベッドで寝たい。
何で私がこんな目に遭わないといけないのよ。いつもならもうみんなで祝杯して盛り上がってる頃なのに。
クソッ!
私達は十五階層で下に落ちた。
記録は十五階層攻略の時点で終わっている。攻略した階層以外からは地上に上がれない。だから私達が地上に上がるためには、最低でも十五階層まで戻らないとならない。
今は何階層なの?
こんな時にティーゴが居たら、すぐに教えてくれるのに。
ティーゴが居たら、優しい言葉で安心させてくれるのに。
ティーゴが居たら、こんな荷物は全部持ってくれるのに。
ティーゴが居たら、美味しいご飯だって用意してくれるのに。
ティーゴが居たら、フカフカの寝る場所だって。
あーーーーっ。
そう思ったところでフェンリルに殺されたティーゴは戻ってこない。戦闘では役に立たなかったけど……今思えばそれ以外は、全てティーゴに頼りっきりだった。
ああ! 今日は水しか飲んでない。私達いつ地上に戻れるの?
「ねぇ! ガストン! お腹が空いて何も出来ない。何か食べ物頂戴!」
「うるせえな! 何もないんだよ! 早くダンジョンから出ないと俺達は死ぬだけだ。ぐずぐずしねぇでサッサと歩け!」
頼りになると思っていたガストンは、ティーゴが居なくなったらずっと怒ってばっかり!
はぁぁ……何なのよ!
何で私がこんな目に遭わないといけないの?
4 デボラのお店
「…………ということで、分かった?」
え? やばい、途中から王様のことばかり考えてて、シェンカーさんの話を全く聞いてなかった。
「あの……そのう? 王様に会うってことですよね?」
俺が不安になりながら質問すると、シェンカーさんはクスリと笑い、教えてくれた。
「そうだよ。後は銀太様がティーゴ君の使い獣だと街の人達に分かるように、何かアイテムを付けてね? 使い獣用の装備や武器、アイテムなどは【デボラのお店】がお勧めだ。少し変わった店主だけど、物は全て一級品だ。紹介状がないと入れないので僕が書いとくね」
銀太用の装備……。
魔物使いはみんな、使い獣に色々な装備やアイテムを付けたり、服を着せたりして個性を出している。使い獣が居なかった時は、そういうお店に行くのが憧れでもあった。
しかも【デボラのお店】に入れるなんて‼
俺だけじゃない、この辺りの魔物使い全員が憧れる有名店だ。
「やったー! ありがとうございます。早速お店に行ってきます」
「買い物が終わったら、またギルドに帰ってきてよ? まだ伝えたいことがあるから」
「了解!」
シェンカーさんがさらさらと書いてくれた紹介状を持って、俺は銀太と意気揚々と特別室を出た。階段を下り一階の広間に行くと、さっきと打って変わってかなり人が少なくなっていた。
俺が「?」って顔をしていたら、受付のお姉さんが教えてくれた。
「先程、大量の魔獣討伐依頼があって、皆様その討伐に行かれました」
なるほどな。ナイスタイミングだったな。
よしっ、今の内にデボラのお店に買い物に行こう。
銀太には申し訳ないけど、大きな目立つリボンは付けたままだ。使い獣だとアピールする必要があるからな。
「銀太、嫌だと思うけど、デボラのお店に入るまでは、そのリボン付けたままでいい?」
『んっ? むう……? この赤いやつは後で取るのか?』
あれ……? 何か不満そうだな。まさか、リボン取るのが嫌なのか?
そう聞いてみると、銀太はもじもじする。
『えっ……? んん⁉ 嫌というか……でも、そのう。主が付けてくれたから取らなくても……赤いのも中々カッコいい!』
ブッッ……!
何コイツ……本当可愛い。
でもな。その赤いリボンは可愛過ぎて、少し似合ってないからな。もっと似合うやつを今から買いに行こうな。
「今から行くお店は、銀太の装備を選ぶために行くんだ。だから、ちゃんと使い獣のお店で、銀太に似合うのを選ばせてくれよ?」
『なっ? わわっ……我のためのお店‼ 行きたいのだ、スバルが言っておったのだ! 使い獣のお店にはカッコいいのがいっぱいあるって! スバルがいっぱいカッコいいのを持っておって、毎回我に自慢してきて……我がどれだけ悔しかっゲッゲフンゲフン! とっ! とにかく早く我のお店に行きたいのじゃ!』
銀太が興奮気味に尻尾をブンブンと回しながらお店について語る。
……友達のスバルは変な風に、使い獣のことを銀太に色々と教えてないか?
街を銀太と一緒に歩いていると何だろう、街の人達の対応が少し変わった気がする。
先程の恥ずかしいパレードの効果なのか?
俺達は街の人達に気絶されることなく、デボラのお店まで来られた。
『ここが我のお店……やっと我もカッコいいになれるのだな』
銀太がウットリとデボラのお店を見つめている。
銀太の『カッコいい』の定義が、友達のスバルのせいで色々とおかしい気がするが、今はつっこまないでおこう。
「じゃあ、入るか! デボラのお店!」
デボラのお店は、白亜の壁が建物を上品に見せ、高級な印象を与える外観だ。
俺は店の入り口に立っている、少し強面の黒い服を着た店員に紹介状を見せる。
「ご来店ありがとうございます。お客様。中にお入りくださいませ」
店員の男はそう言って扉を開ける。
ヤバイ! 急に緊張してきた。心臓の音がうるさい。落ち着け、俺。
店内には、一人の女性がカウンターの前に立っていた。
「デボラのお店へようこそ。私が店主のデボラさ」
「あっよろしくお願いします」
俺はぎこちない返事をして頭を少し下げた。
「こりゃ驚いた! フェンリルを使役した子がいるって街が大騒ぎになってたけど、まさか本当にいたとはねっ」
そう言ってデボラさんは無邪気に微笑んだ。
デボラさんは、一度見たら忘れられないくらい綺麗な人だった。真っ赤な髪に金色の瞳。そして大きな胸…………。
「ちょっと坊や? いくら私が魅力的でもね? 胸ばっかり見たらダメよ?」
「はわっ! すみません……」
やってしまった……こんなに綺麗な人初めて見たから、つい見惚れちゃったよ。決して胸ばかり見てたわけじゃないからな。
『ふうむ? お主はエルフか? 何で姿を偽っておる?』
デボラさんに銀太が話しかけ、エルフだと言っている。何だって? 嘘だろ? エルフなんて俺見たことないぞ⁉
「なっ? さすがフェンリル様。私の変身を見破るなんて……そうだよ、エルフさ」
本当にエルフなのか⁉ 噂でしか聞いたことがないぞ。エルフは実在していたのか。
「仕方ないね、特別サービスだよ? これが私の本当の姿さ!」
そう言うとデボラさんは突然、本来のエルフの姿に戻った。
エルフの姿になったデボラさんも綺麗だった。
プラチナブロンドの髪色に、宝石のようにキラキラと輝く瞳、陶器みたいに透き通った白い肌。耳は長くて尖っている。胸は……? あれ? 大き……くない?
思わず胸を凝視する俺に気付いたデボラさんは、口を尖らせ怒った。
「だーかーらー! 胸ばっかり見ない! 悪かったわね。本当は胸が小さくて!」
「いっいや……そういうわけではなくて……あの、そのっ、どっちの姿も綺麗です」
恥ずかしくてどうして良いか分からず、少しパニックになってしまう。
『なるほどのう、主は胸の大きな女子が好みなのだな』
追い討ちをかけるように、銀太まで胸の話をする。
もうやめてください。恥ずかしくて倒れそうです。
80
お気に入りに追加
7,499
あなたにおすすめの小説
異世界もふもふ召喚士〜俺はポンコツらしいので白虎と幼狐、イケおじ達と共にスローライフがしたいです〜
大福金
ファンタジー
タトゥーアーティストの仕事をしている乱道(らんどう)二十五歳はある日、仕事終わりに突如異世界に召喚されてしまう。
乱道が召喚されし国【エスメラルダ帝国】は聖印に支配された国だった。
「はぁ? 俺が救世主? この模様が聖印だって? イヤイヤイヤイヤ!? これ全てタトゥーですけど!?」
「「「「「えーーーーっ!?」」」」」
タトゥー(偽物)だと分かると、手のひらを返した様に乱道を「役立たず」「ポンコツ」と馬鹿にする帝国の者達。
乱道と一緒に召喚された男は、三体もの召喚獣を召喚した。
皆がその男に夢中で、乱道のことなど偽物だとほったらかし、終いには帝国で最下級とされる下民の紋を入れられる。
最悪の状況の中、乱道を救ったのは右ふくらはぎに描かれた白虎の琥珀。
その容姿はまるで可愛いぬいぐるみ。
『らんどーちゃま、ワレに任せるでち』
二足歩行でテチテチ肉球を鳴らせて歩き、キュルンと瞳を輝かせあざとく乱道を見つめる琥珀。
その姿を見た乱道は……
「オレの琥珀はこんな姿じゃねえ!」
っと絶叫するのだった。
そんな乱道が可愛いもふもふの琥珀や可愛い幼狐と共に伝説の大召喚師と言われるまでのお話。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
もふもふ転生!~猫獣人に転生したら、最強種のお友達に愛でられすぎて困ってます~
大福金
ファンタジー
旧題:【もふもふ転生】病弱で何も出来なかった僕。森で猫カフェをオープンすると大好評♪最強種のお客様ばかり遊びに来ます
生まれた時から奇病を患い、病院から一歩も出たことなかった主人公(大和ひいろ)夢は外を走り回る事だったが、叶う事なく十二歳で他界したのだが……。
気がつくと見たこともない場所に立っていた。
そこには創造神様と女神様がいて、前世でいっぱい頑張ったご褒美に、好きなスキルや見た目にしてくれると言ってくれる。
「ご褒美を決めろって……急に言われてもっ」
ヒイロは慌てて猫獣人の姿、鑑定やアイテムボックス等のチート能力をお願いし、転生を果たすが。
どうやら上手く説明出来て無かったらしく。何もない謎の森に、見た目普通の猫の姿で生まれ変わっていた。
「これって二足歩行する普通の猫!?」
その謎の森でドラゴンの親子に出会い、料理を作ってあげる事になったり。
さらには猫獣人の村で、忌み子と虐げられていた猫獣人の子供を助けたり。
家を作ったら、いい匂いにつられて最強種ばかりが度々遊びにきたり。
だがそれだけではなかった。ヒイロには隠された力が……!?
このお話は、ヒイロが毎日を楽しく生きている内に、良きせぬハプニングに巻き込まれたりするお話。
※ハプニングのせいで、なかなかカフェはオープンしません。
※二章カフェ編がやっとスタートしました。
※毎日更新がんばります!
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。