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本編 燦聖教編
コンの秘密
しおりを挟む『……妾は……妾はっううっ』
尻尾を抱きしめ泣きじゃくるコン、その姿を優しく見つめ頭を撫でるティーゴ。
「ふふ良かったなぁコンちゃん」
ティーゴは一頻りコンの頭を撫でると、アグライアを見る。
「あのさ?コンのステータスなんだけど、スキルの横に✖︎があるけどそれってどんな意味が?」
ーー✖︎は封印されて使えないスキルって事よ。尻尾の封印が解ける度に使えるスキルも増えるわね。ステータスが下がっているのもそれと同じね。
なるほどな……ランクもAランクに下がってたし、今は問題を起こしても俺でも止めれそうだな。
「俺がこのコンと一緒に善行をしたら良いんだよな?例えばどんな?」
『妾と主殿が……』
コンもその話を耳をピクピクと震わせ真剣に聞いている。
ーー例えば?うーん……難しい事聞くわね。そうね、分かり易く言うと人に感謝されたり、喜ばれたりの徳を貯めれば良いのかな。ティーゴ君ならいつも通り行動したら大丈夫だと思うよ……でも!
「でも?」
ーー逆に前と同じ様にコンちゃんが人の嫌がる事をすると、折角貯めた徳が減るからね?気をつけてね。
「減る事もあるのか!コンちゃんもう悪戯は辞めような?」
『ぬうう……妾は悪戯したつもりは無いのじゃっ』
コンは悔しそうに尻尾をぎゅっと抱きしめる。
「だって街を滅ぼしたり、国を消滅させたりしたんだろ?」
『じゃって!アグライア様が国王に加護を与えたのに、その力を悪い事に使ってばかりおるって毎日妾に悲しそうに言うとったんじゃ!じゃからアグライア様を困らせるそんな王など要らぬと思って、王を殺しに行ったら王が魔導兵器や兵士達を率いて妾に応戦して来て……気が付いたら王都は無くなってたのじゃ』
えっそれって……アグライア様の愚痴を毎日聞かされてた所為もあるんじゃ……。
『それに街じゃって……アグライア様の加護を貰った賢者が……あの時はアグライア様が……そんでアグライア様が……』
おいおい全部アグライア様絡みじゃねーか。
ティーゴはアグライアを目を細めじっと見る。
ーーえっ?なっ何?ティーゴ君。何でそんな目で私を見るの?
「……コンちゃんの悪戯ってアグライア様にも原因あると思うけど?」
ーー私にっ?そんなっ?!
「アグライア様がコンちゃんに愚痴を毎日言わなかったら、コンちゃんは何もしてないと思うよ?アグライア様の事大好きだから、した事じゃないのかな?まぁ……やり過ぎだけどね」
ティーゴは少し呆れた様に話す。
ーーわっ私はそんな毎日コンちゃんに愚痴ばっかり言ってないわよ!そりゃ……少しは言ったかもだけど?
アグライアは気不味いのか、じっと自分を見つめるティーゴと目を合わせようとしない。
『アグライア様は悪くないのじゃ!妾が勝手にした事』
ーーコンちゃん。
アグライアはコンを愛おしく見つめる。
「あっそうだ。ヘスティア様にさっきあげたし。アグライア様にもこのお酒セットを奉納するね」
ティーゴは祭壇にレインボーマスカッシュとリコリパイを並べた。
ーーわぁ!これってヘスティアが騒いでたお酒ねっわあ!嬉しいっ。ありがとうティーゴ君。
アグライアは酒瓶を抱きしめウットリしている。
ーーそれじゃあ頑張ってね?コンちゃんの事頼みます。コンちゃんは早く元の姿に戻れるようにティーゴ君の側にいて人族の事もっと知ってね。知ったらきっと好きになる筈だから。またね?
ヘスティアは、ティーゴ達に手を軽く振ると姿を消した。
消えた後もコンはアグライアがいた空をじっと見つめていた。
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