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本編 燦聖教編

貴族街 ミナトゥーク

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「よしっこれで全部やり終わったな」

毎朝の日課である朝の水やり、畑にある野菜や果実達に栄養のある慈愛の水をあげる事。
今の所この仕事が俺の重要な任務である。
この前は小麦が黄金に輝き二倍の大きさの新種が誕生した。
この小麦で作ったパンやケーキはいつもの二倍ふわふわで濃厚な旨味のある甘味となった。

さてと……ユグドラシルの所に行って水をあげるか。まだ回復したばかりだから美味しい水が必要だろう。

といってもユグドラシルの大樹がある場所分からないんだよな。
う~んどうしようかな?などと考えてたら、トレントがオーちゃんのお店カウンターに座ってるのを見つけたので案内を頼む。

何でいつもカウンターに座ってるんだろうな。

「トレ~ント♪」

俺に気付いたのか手らしき枝を上に挙げる。

「トレントお願いがあるんだよ。ユグドラシルの大樹がある場所に案内してくれないか?」

「トレント♪」

トレントはカウンターから飛び降りると手の様な枝をクイックイッっとまるでついて来いとでも言う様に動かした。

「おおっ!ありがとうなトレント」

「トレ~ント♪」

トレントは森を勝手知ったる庭かの様に広い森をスイスイ歩く。

「トレ~ント♪」

トレントが立ち止まり何やら木の上を見ている。

「何だ?」

トレントの視線の先には黄色い三日月の形をした果実がたわわに実っていた。

「アレが欲しいのか?」

「トレント♪」

トレントは体を揺らしピョンピョンと飛び跳ねた。

「ふふっ分かったよ」

ティーゴは風魔法を使い果実を十個程落とした。

『トレント♪』

トレントは嬉しそうに果実を拾った。

「そんなに美味いのか?」

【バナーナ】

濃厚でネットリとした舌触り。甘くて栄養価も高い。
子供のオヤツに最適。
パンケーキに入れて焼いても美味しい。

おおっ!凄く良いじゃん。沢山実ってるし獣人達の子供にオヤツとしてあげても良いな。これはアレクに報告しないと。

などと考えてたらトレントが大分先にスタスタと歩いている。

「ちょっと待ってくれよー」

ティーゴは必死に追いかけて行くとまた立ち止まっている。その視線の先には……丸くて黒い果実?が三個なっていた。

「あの黒いのが欲しいんだよな?分かったよ」

ティーゴは丸い実を三個落とした。近くで見るとかなり大きく五十センチ位の大きな玉だった。

これも食べれるのか?

【カカオ玉】

薄皮を剥いてそのまま食べるとかなり甘い。チョコに味が似ている

チョコに似ているだって?チョコソースは聖獣達みんな大好きだからな。これは一つ貰おう、アレ?一個で良いのかトレントは二つ残してまたスタスタと歩いて行く。

慌てて二個をアイテムボックスに入れ後をついて行くも……トレントはユグドラシルの所に中々行かずティーゴを連れ回し、結局昼前にユグドラシルの大樹に水をあげ帰って来たティーゴであった。

「もう絶対にトレントに頼まない」

そう心に誓ったティーゴだった。





⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎





「ティーゴよ、どこに行ってたのじゃ?今日は朝からミナトゥークに出発すると張り切っておったのに」

「いやな……色々あって」

肩を落とし少し疲れた様子のティーゴに、はて?と首を傾げるパールだった。

「じゃっお昼を食べてから出発しよう」

外のテーブルで美味しい昼食を食べる。旨い旨いと食べてくれる仲間達を見てこの時が一番幸せだなとティーゴは毎回思う。
トレントに連れ回された心の疲れも少し吹き飛んだ。


さあて食事の後はミナトゥークに向けて出発だな。


ティーゴが異空間の扉を出すと、銀太とスバルそれにティアがやって来た。
ステージがあるなら俺達が必要ジャイとハクとロウも扉に歩いて来た。

ミナトゥークにはこのメンバーで行くか。

扉から出ると「昼からの出発じゃし、スバルや銀太に乗って少し急いで行こう」とパールが言うので俺は銀太の背中に乗った。

「うわっ相変わらず早いなっ」

『もっと早く走れるのだ。フンスッ』

意外だったのはジャイコブ達、銀太のスピードについて来てる。
やるな、さすがSランク魔獣だ。ついつい忘れそうになるけど。

二時間程街道を走ったら、ミナトゥークについてしまった。
早すぎないか?スバルはもう先に着いていてミニサイズに戻っている。

近づくと、ミナトゥーク街は二十メートル以上ある白亜の壁で囲われ、入り口の門は華美な装飾が施されていた。

「門がキラキラしてるって……凄いな」

「何て言うか……ワシは趣味じゃないのう」

「だな……」

ティーゴとパールは門の前で入るのを少し躊躇っていた。
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