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本編 燦聖教編
異世界人召喚
しおりを挟むジャバネイル王国王都にある青色の塔にて、黒い服を着た男達が何やら慌ただしく動いていた。
「結界チーム。魔力をもっと強めて、強力な結界を!」
「はっ!」
「魔法陣チーム。一ミリでも間違いは許されない、気合いを入れて描きなさい!」
「はっ!」
男達がバタバタと走り回る中、部屋に一人の男が入って来た。
途端にピリッと緊張が男達に走る。
部屋にいた全ての者が入って来た男に注目した。
「ああ……手を止めないでくれ。そのまま仕事を続けてくれ」
男はそう伝えると部屋の中央に描いてある魔法陣を避けて歩き、奥に置いてある椅子に座った。
男は少し溜め息を吐き、用意された果実酒を一口飲むと一人の男を呼んだ。
「マーク司教、後どれ位で魔法陣は完成するんだ?」
「後、三十分程で魔法陣は完成し、召喚の儀式へと進めると思います」
「そうか……分かった。仕事に戻ってくれ」
「はっ!」
クククッ、これで世界は私のものだ!誰かが言った、私では力不足だと!何も出来ないと!
だがどうだ、今の私は全てを手に入れる力を成し得たのだ。
私を馬鹿にした者達よ、皆平伏すが良い。
異世界人がどの様な強大な力を持ちこの世界に転移して来ようが、新たに開発し改良を加えたこの隷属の腕輪で、私の言う事をだけを聞き、忠実に動く都合の良い犬に躾けるだけだ。
大司教グリモワールは不敵な笑みを浮かべ、果実酒をゴクリッと飲みほすと、美しく描かれて行く魔法陣を愛おしそうに眺めていた。
「大司教グリモワール様!全ての準備が整いました」
「よし、召喚の儀式を始めよ。魔導士達よ魔法陣に魔力を注げ」
魔法陣の周りを二十人の男達がグルリと囲い魔力を送っていく。
魔法陣が禍々しい光を放ちだした。
魔法陣の禍々しい光は、生き物の様に動き出すと、陣の周りに立つ魔導士達の魔力を自ら吸い取りだした。
「あっぐ…あっ……魔法陣に全ての魔力が吸われっ……あがっ」
「やめっ……ぐはっ」
魔法陣の周りに立っていた。男達は魔力が枯渇し次々に倒れ死んで行く。
二十人の居た全ての魔導士が倒れると、まだ魔力が足りないのか光が近くに居た男達を襲う。
これを見たマーク司教が慌ててグリモワール大司教の所に駆け寄り、後ろに下がれと庇う様に前に立った。
「大司教グリモワール様!離れて下さい。光が魔力を求めて動き回ってます」
「くははっ面白いっ!私の魔力を吸い取れるものなら取るが良い!」
グリモワールはワザとマークを押し退け前に出た。
魔法陣の光はグリモワールを襲い、どんどん魔力を吸っていく。
グリモワールの膨大な魔力を吸い取り納得したのか、今度は光が溢れ出し目が開けられ無い程の光に部屋中が包まれる。
「……やっと光が落ちついたか」
数分後やっと光が落ち着き目が開けれる様になって来た。
グリモワールは目を凝らすと目の前にある魔法陣の上には見た事の無い風貌をした三人の男達が立っていた。
男達は何が起こったのか分からないって表情をしているが、周りを見渡し自分達の足元に倒れ死んでいる男達の姿に気付くと、真っ青な顔になり騒ぎ出した。
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