上 下
156 / 314
本編 燦聖教編

異世界人召喚

しおりを挟む

ジャバネイル王国王都にある青色の塔にて、黒い服を着た男達が何やら慌ただしく動いていた。

「結界チーム。魔力をもっと強めて、強力な結界を!」

「はっ!」 

「魔法陣チーム。一ミリでも間違いは許されない、気合いを入れて描きなさい!」

「はっ!」

男達がバタバタと走り回る中、部屋に一人の男が入って来た。
途端にピリッと緊張が男達に走る。
部屋にいた全ての者が入って来た男に注目した。

「ああ……手を止めないでくれ。そのまま仕事を続けてくれ」

男はそう伝えると部屋の中央に描いてある魔法陣を避けて歩き、奥に置いてある椅子に座った。

男は少し溜め息を吐き、用意された果実酒を一口飲むと一人の男を呼んだ。

「マーク司教、後どれ位で魔法陣は完成するんだ?」

「後、三十分程で魔法陣は完成し、召喚の儀式へと進めると思います」

「そうか……分かった。仕事に戻ってくれ」

「はっ!」

クククッ、これで世界は私のものだ!誰かが言った、私では力不足だと!何も出来ないと!
だがどうだ、今の私は全てを手に入れる力を成し得たのだ。
私を馬鹿にした者達よ、皆平伏すが良い。

異世界人がどの様な強大な力を持ちこの世界に転移して来ようが、新たに開発し改良を加えたこので、私の言う事をだけを聞き、忠実に動く都合の良い犬に躾けるだけだ。

大司教グリモワールは不敵な笑みを浮かべ、果実酒をゴクリッと飲みほすと、美しく描かれて行く魔法陣を愛おしそうに眺めていた。

「大司教グリモワール様!全ての準備が整いました」

「よし、召喚の儀式を始めよ。魔導士達よ魔法陣に魔力を注げ」

魔法陣の周りを二十人の男達がグルリと囲い魔力を送っていく。
魔法陣が禍々しい光を放ちだした。
魔法陣の禍々しい光は、生き物の様に動き出すと、陣の周りに立つ魔導士達の魔力を自ら吸い取りだした。

「あっぐ…あっ……魔法陣に全ての魔力が吸われっ……あがっ」

「やめっ……ぐはっ」

魔法陣の周りに立っていた。男達は魔力が枯渇し次々に倒れ死んで行く。
二十人の居た全ての魔導士が倒れると、まだ魔力が足りないのか光が近くに居た男達を襲う。

これを見たマーク司教が慌ててグリモワール大司教の所に駆け寄り、後ろに下がれと庇う様に前に立った。

「大司教グリモワール様!離れて下さい。光が魔力を求めて動き回ってます」

「くははっ面白いっ!私の魔力を吸い取れるものなら取るが良い!」

グリモワールはワザとマークを押し退け前に出た。

魔法陣の光はグリモワールを襲い、どんどん魔力を吸っていく。
グリモワールの膨大な魔力を吸い取り納得したのか、今度は光が溢れ出し目が開けられ無い程の光に部屋中が包まれる。



「……やっと光が落ちついたか」

数分後やっと光が落ち着き目が開けれる様になって来た。

グリモワールは目を凝らすと目の前にある魔法陣の上には見た事の無い風貌をした三人の男達が立っていた。

男達は何が起こったのか分からないって表情をしているが、周りを見渡し自分達の足元に倒れ死んでいる男達の姿に気付くと、真っ青な顔になり騒ぎ出した。


しおりを挟む
感想 1,508

あなたにおすすめの小説

異世界もふもふ召喚士〜俺はポンコツらしいので白虎と幼狐、イケおじ達と共にスローライフがしたいです〜

大福金
ファンタジー
タトゥーアーティストの仕事をしている乱道(らんどう)二十五歳はある日、仕事終わりに突如異世界に召喚されてしまう。 乱道が召喚されし国【エスメラルダ帝国】は聖印に支配された国だった。 「はぁ? 俺が救世主? この模様が聖印だって? イヤイヤイヤイヤ!? これ全てタトゥーですけど!?」 「「「「「えーーーーっ!?」」」」」 タトゥー(偽物)だと分かると、手のひらを返した様に乱道を「役立たず」「ポンコツ」と馬鹿にする帝国の者達。 乱道と一緒に召喚された男は、三体もの召喚獣を召喚した。 皆がその男に夢中で、乱道のことなど偽物だとほったらかし、終いには帝国で最下級とされる下民の紋を入れられる。 最悪の状況の中、乱道を救ったのは右ふくらはぎに描かれた白虎の琥珀。 その容姿はまるで可愛いぬいぐるみ。 『らんどーちゃま、ワレに任せるでち』 二足歩行でテチテチ肉球を鳴らせて歩き、キュルンと瞳を輝かせあざとく乱道を見つめる琥珀。 その姿を見た乱道は…… 「オレの琥珀はこんな姿じゃねえ!」 っと絶叫するのだった。 そんな乱道が可愛いもふもふの琥珀や可愛い幼狐と共に伝説の大召喚師と言われるまでのお話。 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

もふもふ転生!~猫獣人に転生したら、最強種のお友達に愛でられすぎて困ってます~

大福金
ファンタジー
旧題:【もふもふ転生】病弱で何も出来なかった僕。森で猫カフェをオープンすると大好評♪最強種のお客様ばかり遊びに来ます  生まれた時から奇病を患い、病院から一歩も出たことなかった主人公(大和ひいろ)夢は外を走り回る事だったが、叶う事なく十二歳で他界したのだが……。  気がつくと見たこともない場所に立っていた。  そこには創造神様と女神様がいて、前世でいっぱい頑張ったご褒美に、好きなスキルや見た目にしてくれると言ってくれる。 「ご褒美を決めろって……急に言われてもっ」  ヒイロは慌てて猫獣人の姿、鑑定やアイテムボックス等のチート能力をお願いし、転生を果たすが。  どうやら上手く説明出来て無かったらしく。何もない謎の森に、見た目普通の猫の姿で生まれ変わっていた。 「これって二足歩行する普通の猫!?」  その謎の森でドラゴンの親子に出会い、料理を作ってあげる事になったり。  さらには猫獣人の村で、忌み子と虐げられていた猫獣人の子供を助けたり。  家を作ったら、いい匂いにつられて最強種ばかりが度々遊びにきたり。  だがそれだけではなかった。ヒイロには隠された力が……!?    このお話は、ヒイロが毎日を楽しく生きている内に、良きせぬハプニングに巻き込まれたりするお話。 ※ハプニングのせいで、なかなかカフェはオープンしません。 ※二章カフェ編がやっとスタートしました。 ※毎日更新がんばります!

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・

青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。 婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。 「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」 妹の言葉を肯定する家族達。 そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。 ※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

大賢者カスパールとグリフォンのスバル

大福金
ファンタジー
この世界で誰も届く事がない領域まで達した大賢者カスパール。 彼が得れる魔法は全て修得した。 そんなカスパールを皆が神様の様に崇め奉る ウンザリしたカスパールは一人山奥でひっそりと好きに暮らす事に。 そんなカスパールがひょんな事からグリフォンの赤子を育てる事に… コミュ障でボッチの大賢者カスパールが赤子を育てながら愛情を知っていく出会い〜別れまでのストーリー。 このお話は【お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちとモフモフ無双する】のサイドストーリーになります。 本編を読んでいなくても内容は分かります。宜しければ本編もよろしくお願いします。 上記のお話は「お人好し底辺テイマー…………」の書籍二巻に収録されましたので、スバルとカスパールの出会いのお話は非公開となりました。 勇者達との魔王討伐編のみ公開となります。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。