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本編 燦聖教編
不穏な動き
しおりを挟む「飛んで行っちゃったな……」
「うむ……すぐ戻るとは言うておったが……」
このまま俺が異空間に戻ったら、ユグドラシルがこの場所に戻って来た時に困るよな。
異空間に戻るには、俺がいないと扉が出せないんだから。
この世界にいたなら俺達の事は探せるだろうし。
ボーっとこの場所で待ってるのもつまらないし、次の街までプラプラ歩いてくとするか。
パールはどうするのかな?
「なぁパール、俺はユグドラシルが帰って来るまで、次の街ミナトゥークに向けて街道をプラプラと歩いて行こうと思ってるんだけど、パールはどうする?」
「ふむっ?確か次の街は貴族街じゃったか?この国で王都の次に栄えている街なんじゃよな?」
「そうそう貴族しか住んで無い街って、ギルマスのベイカーさんが言ってたな。
良い貴族もいるし、平民を見下してる貴族もいるんだよな。そー聞くと平民の俺は苦手意識が……」
「まぁそこまで畏まらんでも良いじゃろ?」
「そっそうだよな。燦聖教スターセブンだっけか?に魅了されてて普通の街じゃ無くなってるかもだしな」
「そう言う事じゃ。一人は寂しいじゃろう?ワシも一緒に散歩するかのう」
パールも一緒にミナトゥークに向けて歩いてくれると言ってくれた。
パールと二人で色々と話しながら歩いていると、ふと思う。こんなにも凄い人が俺の側に当たり前の様に居てくれる事。
パールは大賢者様の記憶をもつ凄い人なのに、偉ぶる訳でもなく分け隔て無く皆に優しい。
俺にとっては頼れる兄貴の様で、父さんであり、爺ちゃんでもある。俺にとってはもう欠かせない大切な人だ。
「何じゃ?人の顔見てニマニマしおって」
「ふふっ何でもないよっ」
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
ティーゴが幸せを噛み締めながら街道をプラプラと歩いて居た時、ジャバネイル王国の王都にある、とある秘密の研究室で雄叫びを上げる男が居た。
「やったーー!やっと全ての古代文字の解読に成功した。早くお見せしないと!」
何かを成功したらしい男は解読したと言う紙を持ち、慌てて何処かへと走って行く。
男は息急き切りながら大きな扉を開け中に入る。
その部屋は日中なのに夕暮れ時の様に薄暗い。窓と言う窓全て分厚い真っ黒のカーテンで覆われ光など一切入ってこない。
そんな外の光が全く入らない部屋に一人の男がソファで果実酒を飲み寛いで居た。
「大司教グリモワール様!遂にっ遂にやりましたぞっ」
「……マーク司教。ほう……もしやその手に持っているのは例の魔法陣か?」
「はいっ!異世界転移の魔法陣です」
「よくやった!褒めてつかわす」
「はっ!有り難き幸せ」
大司教グリモワールの言葉に、喜びを噛み締めるマーク司祭。今にも泣きそうな顔をしている。
「ではマーク司祭。早速魔法陣の準備に取り掛かるのだ。魔導士達を青色の塔に集めろ!今すぐにだ」
「はっ!」
マーク司祭は急いで部屋を出て行った。
「クククッ……やっと!やっと完成か!」
(封印されし禁忌の魔導書を探し出し、解読に二年もかかってしまったが……これでやっと!
異世界人とやらを召喚出来るのだ。
異世界人とやらは、物凄いステータスを持ち転移してくると禁忌の文献に書いてあった。
其処には倭の国を一代で築き上げた人物も異世界人だと記されてあった。
フハハッ!その異世界人を上手く使い、我が燦聖教に世界中の国が平伏すのだ。
大司教グリモワールは不敵な笑みを浮かべ部屋から出て行った。
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