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本編 燦聖教編
キノ小人達のその後
しおりを挟む『主殿……キラーウルフ達が言ってるジャイが、このキノ小人の村を、百匹以上からなるキラーウルフの群れが探し回っているみたいジャイ』
『キラーウルフ達は以前にキノ小人達が作るキノコやキノ小人を食べて味を占めたらしいコブ』
「何だって!」
たまたまキラーウルフが襲って来たんじゃなかったのか。
『キラーウルフは三グループに分かれていて、コイツらのグループが一番少ないグループらしいジャイ』
「やはりそうでしたか……」
俺達の話を一緒に聞いていたキノ小人族の長老が、肩をガクッと落とし大きな溜息をはいた。
「実はキラーウルフ達に村が襲われたのは、これで四回目になるんですよ。
その度にキノ小人が食べられ、今では以前居た人数の半分以下になってしまった。
私の妻もその時に食べられてしまった……はぁ」
「そんなっ……!」
楽しく生きていると思ってたのに、キノ小人達にそんな辛い過去があったなんて……。
「見つかる度に村を移動して逃げ回っていたのですが、キラーウルフ達にはどうも隠蔽魔法をかけ隠れ住んでいても、私共の特殊な胞子の匂いを辿り住処が見つかってしまう事が分かりました……。
隠蔽魔法で隠れる事が出来ないなんて!
それなら私共キノ小人族は、キラーウルフに食べられる死を待つだけじゃないですか……」
長老のマッタケさんは項垂れ何も話さなくなってしまった。
「なぁパール……」
「ふむ?ティーゴも同じ事考えておるのじゃろう?」
「ああ。良い住処が見つかるまで、キノ小人達を異空間で一時的に避難させようと思ってる」
「ワシも同じ考えじゃ」
パールと俺は目を合わせてニヤリと笑う。
「マッタケさん、これは提案なんだけど魔獣から全く襲われない安全な場所があるんだ。
その場所は今すぐにでも移住出来るんだ。
キノ小人達皆で移住しないかい?」
「えっ!?全く襲われない場所?」
項垂れていた長老は、顔を上げ瞳を輝かせてティーゴの話に耳を傾ける。
「見て貰った方が早いかな?」
ティーゴは鍵を出し異空間の扉を開ける。
「ここが移住してもらう場所です。中にいる魔獣達は皆俺の仲間なのでキノ小人族を襲ったりする奴はいない」
長老は異空間の扉入り口で、口をポカンと開け何も言わず立っていた。
「……あの?マッタケさん?」
何も話さない長老にティーゴは不思議に思い話しかける。
「ああっ……ティーゴさん、いやっティーゴ様……この様な楽園に私共が住んでも良いと?」
「もちろん!なぁ皆?」
『…オデと…仲良し…よろしく』
『ティアも大歓迎なの!あの甘味キノコ大好きなの……ふふ』
『うむ……あのキノコは美味かったのだ。我も賛成なのだ』
銀太とティアよ?それはキノ小人じゃなくて完全にキノコ目当てだろ。食いしん坊達め。
「ありがとうございます」
マッタケさんは涙を流し喜んでくれる。
今までずっと不安だったんだ、これからは安心して異空間で過ごしてほしい。
「さてと移動するかのう?」
パールが異空間への移動準備を始めた。
先にキノ小人達全員に異空間の中に移動してもらい、住んでいた場所を丸々パールが移動させた。
「キノ小人の住処はスパイダーの森で良いじゃろう」
パールはキノ小人達の住処をスパイダーの森へ置いた。
自分達の住処まで移動してくると思ってなかったキノ小人達は、パールに集まり皆涙ながらにお礼を言っていた。
パールは、少し照れ臭そうにして困っている。
クスッ……良かった。
パールとキノ小人達の事を見ていたら、長老のマッタケさんと目があった。
長老はティーゴの所に走って来た。
「ティーゴさん本当に何から何までありがとうございます。
それで、皆と話あったんですが一時的ではなくこの楽園で私共が住むのは難しいでしょうか?」
「ここに?俺は別に構わないよ。本当に良いのか?」
「もちろんです!ここが良いのです。
この楽園は空気まで澄んでいて、ここならもっと素晴らしいキノコが作れる気がします」
何やらマッタケさんは、メラメラと闘志を燃やし張り切っている。
まぁ……楽しそうならそれで良い。
また住人が増えたな。
ピコン!
異空間ランク【C】↑up
異空間の住人が五百人を超えました。
ランクアップにより異空間に森が現れます。
この森には未知なる果物の木や薬草、野菜など沢山生息しています。
次のレベルアップは千人です。
なっ……何だって?キノ小人達が住むと言ったら。
森が現れた!そうか五百人超えたのか。
小さかったスパイダーの森が何十倍もの大きな森に変わった……。
「この森……どこまで広がってるんだよ」
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