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本編 燦聖教編
気になるスキル ①
しおりを挟む「パール!聞いてくれよ。俺、聖人族になってたんだよ」
「何じゃ?今さら、大分前から聖人族じゃろうて?」
「えっ?はっ?知ってたのか?」
「ワシは神眼でいつでもステータス見れるしのう。ティーゴこそ何で今までステータスの確認しなかったんじゃ?」
「いやっ……それがステータスの事気にしてなかった」
「まぁティーゴらしいのう」
「それでだよ!俺気になるスキルが山ほど増えてたんだよ」
「ほう……確かにのう」
パールは俺を神眼で確認しスキルを見ている。
「この神々の声とは……こんなスキル初めて聞いたのじゃ。これは誰をテイムした時に貰ったんじゃ?」
「そっ……それがその……分かんないんだよな」
「なんじゃそれは!」
パールが呆れた目で俺を見る。
「だって急にいっぱいテイムしたからさぁ」
俺がパールと神々のスキルについて悩んでいたら、カーバンクルのパティが肩に乗って来た。
『あにょね?しょのシュキリュはにぇパティのなの!でぇもパティちゃんとしゃべりぇないかりゃ……』
「えっ?パティ?何て?」
『オイラが説明するよ!』
ユパもぴょんっと肩に乗って来た。
『オイラ達カーバンクルは神獣だからな、一番神様に近い聖獣って言われてるんだ。
稀に神様と話しが出来るカーバンクルが誕生し、そのカーバンクルだけが神託を受けれるんだ。【神々の声】のスキルが正にそれだ!
パティは神様の声が聞こえるんだよ。でもまだ幼くてこのスキルが上手く使えないんだ』
「それは面白いのじゃ。ではティーゴがそのスキルを使えると言う事は、神の声が聞こえるやもしれんと!?」
「ええっ!本当に?」
「ユパよ?その神と交信するにはどうするんじゃ?」
『神様に貢物をして祈るだけだよ』
「なっそんな簡単なのか?」
『そうだよー。でもまだパティは成功した事ないけどね』
「ティーゴちょっと面白そうじゃ。やってみんか?」
パールが瞳をキラキラさせ、スキルを試そうと言って来る。そんなノリで試して良いのか?神様だぞ。
「貢物は何が良いんじゃ?」
「何でも。食べ物でもお酒でも……」
「ではティーゴの飯が美味いからのう。貢物はそれじゃの。何かあるか?」
「うーん……ジュエルフラワーの蜜漬けトウカパイなら沢山あるぞ?今日のオヤツにしようと思ってな」
「よしっ!じゃあそれで行くのじゃ!」
パールよ……簡単に言うなぁ。
「このパイを何処に置くんだよ」
「ふぅむ。それもそうじゃの」
パールは魔法を使いパパッと、白が基調の美しい祭壇を作った。
「これで良いじゃろ?」
「凄すぎて何も言えないよ」
『すっ凄い!こんなに綺麗な祭壇があっという間に出来た。パールは天才だ!』
ユパは美しい祭壇に大興奮だ。神獣だし、神様にお祈りする祭壇が嬉しいのかな。気付かなかったな。
「さて?これでどうするのじゃ?」
『後は手を合わせて神様、女神様ってお祈りするだけ』
そんな簡単で良いのか?
デミウルゴス様、ヘスティア様、女神様これは貢物です。どうかお納め下さい。
ーーやったー!私が一番のりぃ。もう。ずっと呼んでくれるの待ってたんだから!
祭壇に女神ヘスティア様が降臨した。
『わぁ!女神様』
『めがみしゃま』
ユパとパティが慌てて平伏した。
「ちょっ!何でスキルの事……」
ーーだっていつも見てっゲフンゲフンッ。たったまたま覗いた時にぃ、カーバンクルをテイムして神々の声を手に入れたのを見たの!
なのに……ティーゴ君全くスキルに気付かないしさぁ……。
たまたまって言ってるけど嘘だな。絶対女神の仕事サボってしょっ中覗いてるに違いない。
ーーわぁっ!貢物ってティーゴ君のパイじゃん!気になってたのよね~。!あっヤバっデミウルゴス様が来たっ。見つかったらパイ取られちゃう!またね。次も直ぐよんでね?絶対よ?
慌ただしく慈愛の女神ヘスティアは帰って行った。
「なんじゃったんじゃ……」
「神託はよ?」
女神ヘスティア様?パイ持ってっただけじゃないか。
俺とパールは思った。このスキルは別に使わなくても良いかなと。
⭐︎★⭐︎★⭐︎★⭐︎
ー神界のとある女神の部屋ー
フンフフフーン♪♪
「はぁぁ久々に近くで見れたわ。幸せ」
このパイ気になってたのよね。聖獣達が皆美味しそうに食べてて……はぁどんな味がするのかしら?
サクッ
「はわっ……何って美味しいのっ!こんな甘味は初めてよ。それに幸せな気持ちが……」
こっこれは慈愛の力……!
慈愛の女神まで、幸せな気持ちで癒すなんて……このパイ恐るべし。
あっしまった!
気付いたらパイが後もう五個しか残ってない。
ああ……大事に食べないと。
でも大丈夫よね?
だってまた呼んでくれるもの!ふふふっ
この後、待てども待てどもスキル神々の声は使われないのであった……。
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