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本編 燦聖教編

オーガキング

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俺達が一番初めに助けたライオン獣人の子供ダイナが、ダナ司祭とダラァー侯爵の下へ走って行く。

「お前達のせいで!オレは……絶対にゆるさない!」

ダイナは飛び蹴りをした。

ドゴォ!

「ギャッ!いっ痛っい……」  

子供であっても流石獣人族、蹴りの威力が半端ない。今の蹴りだけで内臓破裂したんじゃないか?

「お前達の所為で俺達の仲間が何百人と死んだ!簡単に死ねると思うなよ!」

「やっ…やめっ…へブッ」

ダラァー侯爵の腕が千切れた。

「やめて下さい!痛いっあがっ」

獣人達が一斉に殴りかかった。

二人は縛られて身動きが取れないのでただ殴られっぱなしだ。

数分もすると……ダナ司祭とダラァー侯爵らしき肉塊が散らばっていた。

  《リザレクション》

二人を三号が甦らせる。

「ヒアッ!」

二人は突然生き返り自分達に何が起こったのか理解が追いつかないみたいだな。
ただ先程までの恐怖は脳裏に焼き付いている。
真っ青を通り越して真っ白な顔をして震えが止まらない。

「獣人達よ?此奴らにまだ怒りが収まらないのなら好きにして良いんじゃよ?」

「ヒィッ」

パールのその言葉に二人は震えながら抱き合った。真っ裸のおっさんが。
リザレクションで破れた服までは元に戻らないからな。

ライオン獣人のグレンさんが前にでて来た。

「ありがとう。だか……もういい!
十分だ……コイツらを殴った所で俺達の死んだ仲間は生き返らない。俺達はこれから先の事を……未来に向けて気持ちを切り替えて行くよ」

続いて猫獣人の男性も前に出て来た。

「俺達に復讐の機会を与えてくれた事感謝します!ありがとうございます。これで少しは前に向けて進んで行けます」

他の獣人達も口々に感謝を述べた。

「そうか……そうじゃの。確かに殴る価値も無いのう。後はワシらに任せるのじゃ」

獣人達は深々とお辞儀をし異空間へと帰って行った。

こいつ……オーガキングはどうしようかな。

「なぁ?お前は帰りたい場所はあるのか?」

ーーない。アイツらにオーガが住む村は滅ぼされた……。村の仲間は皆死んだ。オレは生捕りにされ改造された。

オーガキングは俯いてしまった。

「そっそうだったのか、辛い事を思い出させてゴメンな」

オレはオーガキングの肩にのり頭を撫でた。

ーーお前の手は気持ちが良い。何だろう……心が満たされていく様だ。

オーガキングは涙を流した。

(オレは泣いているのか?悲しくもないのに?何故だ?)

「なぁ?行く所がないんなら俺達の仲間にならないか?」

ーーおっオレを仲間に……?良いのか?

「ああ!大歓迎だ!」

ーーありがとう……。
(まただ…涙が止まらない…俺はどうなってるんだ?)

「よし!そうと決まれば……ちょっと待っててくれよ?」

俺はパールの所に走って行く。

「パール!俺このオーガキングを連れて少しの間異空間に行って来て良いか?」

「良いぞ!此奴らの事はワシに任せておくのじゃ!」

「頼りにしてます!パール様」

「茶化すで無い!」

俺はオーガキングの肩に再び乗って、異空間の扉を出した。

ーーなっ?これは?

「これが俺達の家だ!さぁ扉を開けてくれ!」

オーガキングは恐る恐る扉を開けた。

ーーなっ何だこれは?どうなってるんだ?楽園がこんな所に……。

オーガキングはキョロキョロと異空間を見渡している。

ーーこっこんな場所があるなんて……!信じられない!

俺は人族の姿に戻り、改めて挨拶をした。

「オーガキング!オレはティーゴだ!この異空間は俺の仲間が住む場所だ。これからヨロシクな」

ーーお前は……そんな姿をしてたんだな。よろしくティーゴ!

『ティーゴ!また馬鹿でかい奴連れて来てきて?どしたん?』

ーーベベッベビーモス⁉︎

『ティーゴ…お帰り…』

ーーミミッミスリルドラゴン?イヤッ?ジュエルドラゴン⁉︎

「ベヒィ!キラ!丁度良い。今日から俺達の仲間になったオーガキングだ。仲良くしてくれよ」

『そうなん?よろしくな。ワイはベヒィや!』
『よろしく…オデ…キラ』

ーーよっ…ヨロシク。

オーガキングは突然現れたSランク達に驚きを隠せない。

『ティーゴ!お帰り!』

「二号!ナイスタイミングだよ。今から会いに行こうと思ってたんだ!」

『俺に?って事は何か作って欲しいのか?』

「流石だな!このオーガキングの家を建てて欲しいんだ!」

『家か、任せとけ!場所は何処に建てようか?』

「そうだな……」

『それなら!ワイの家の隣に立てて!コイツ力ありそうやから、ミルク運ぶんとか手伝って欲しいんや!』

なるほどな!ベヒィの家は畑も近いし……色々な仕事を手伝ってたら皆とも仲良くなりやすいかもな。

「それ採用だ!」

『やったー!』

ーーなぁ?ティーゴよ……お前達は何を……?家って。

「まぁ付いて来てよ?」

『この辺に建てるか……』

場所が決まるとあっと言う間にオーガキングの家が完成した。
相変わらず二号は仕事が早い。

「良かったな?今日からここがお前の家だ!」

ーー……………。

「オーガキング?どした?」

オーガキングは固まって動かない。

フウッ……ウワァァァァー!

オーガキングは泣き崩れた。

「オオッオーガキング⁉︎どうしたんだよ!何で泣いてんだ?」

『この家のデザインが気に入らなかったのか?』

『大丈夫…?…痛い?』

俺達はどうしたら良いのか分からず、泣いているオーガキングの周りでワタワタしている。

やっと落ち着いたのかオーガキングが話してくれた。

ーーすんっ……すまない。嬉しくて幸せで涙が出るなんて……知らなかったから…すんっ……嬉しいって思うとまた涙が出て……止まらなくて。すんっ
皆が…泣いてるオレに優しくて…嬉しくて…涙が出て。
泣き止み方が分からなかった……すんっ……すまん

『…分かる…オデも…そう…幸せで…涙でる…ティーゴ達と…出会って…知った』

ーーこんな幸せな場所。優しい仲間……オレは…すんっ……幸せだ。ありがとう。

『もうー!もらい泣きしてしまうやろ!すんっ…これからもっとアンタには幸せがあるんやで!』
『……そうだ』

皆でオーガキングを囲み抱き合った。
オーガキングはまた泣き出してしまった。

『何じゃい?新しい仲間じゃい?』

ジャイコブ達がオーガキングに気付いてやってきた。

『これは歓迎ダンスの出番コブって?何で皆泣いてるコブ⁉︎』
『本当ジャイ!元気になる面白ダンス見せるジャイ』

『新作のアレを踊るコブね?』
『そうジャイ♪アレジャイ』

ジャジャーイ♪コブコブコブ♪
ジャジャーイ♪コブコブコブ♪

ジャイコブ達による変な動きのダンスが始まった……。

感動の場面が……ジャイコブ達の登場により……。

あはははっ

ブァッハハハハッ!

台無しだ!

でもこれが俺達だよな。俺の仲間達は強くて優しい奴らばっかりだ!
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