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本編 燦聖教編
獣人族の奴隷達
しおりを挟む「私共に何があったか?ですね……代表して私が説明致します。私はライオン獣人のグレンと言います」
一際大きく目立つライオン獣人が前に出てお辞儀をした。
小さなアライグマの姿だと余りの大きさに迫力が凄い。
「俺はティーゴだ!今はアライグマの姿をしてるけど人族だ!
そしてコッチの猫がパールでこの鳥がスバルで黒犬が三号。
銀色の髪の奴が銀太そしてその横にいるのがティアだ!よろしくな!」
「何と!変化の魔法ですか?この様な高ランク魔法初めて見ました。皆様素晴らしいですね」
「そっ…そうか?ありがとう」
アライグマ姿を褒められてティーゴは少し照れている。
「では、語らせて頂きます。
我々はジャバネイル王国にある、このシャウエンから一番近い街ローテンブルクに住んでいました。
この街では多数の獣人族が生活をしており、街の八割が獣人族と言うくらい獣人族が多い街です。
街は平和で、人族と獣人族が仲良く暮らしておりましたが、ある日を境に変わってしまったのです」
「ある日を境に?」
「はい。街に燦聖教と言う集団がやって来たのです。
それからです街が変わってしまったのは……燦聖教は見た事もない魔道具を使い街の領主様に取り入りました。
領主様は燦聖教にどんどん夢中になり、我らが気付いた時にはローテンブルクの街は、燦聖教が牛耳っていたのです。
そして、燦聖教の奴等は人を集めこの首輪の魔道具を使い我ら獣人族狩りを始めたのです!」
「何だって!そんな……酷すぎる」
「我ら獣人は皆散り散りに必死に逃げました。
それでも街にいた獣人の半分は首輪をつけられて……クソッ。
我らは道具として扱われ、魔獣討伐や戦争の最前線で捨て駒の様に戦わされ、傷を負って役に立たない獣人や小さな子供達は奴隷商を使ってこの様に貴族達に売られました」
燦聖教の奴等は何て事してるんだ!
それに戦争だって?ジャバネイル王国は戦争をしてるのか?
じゃあこのシャウエンにいる燦聖教の奴らはヴァンシュタイン王国に次は戦争しかけようとかしてるんじゃ……。
「戦争じゃと?ジャバネイル王国と、どの国が戦争をしとるのじゃ?」
パールが身を乗り出しグレンさんに質問する。
「我が国ジャバネイル王国を中心とすると、ヴァンシュタイン王国と反対側に位置する国、ランプシ王国に今戦争を仕掛けています。私はその戦争に駆り出され負傷し奴隷として売られて来ました」
「ふうむ……燦聖教が考えとる事色々と分かったのじゃ!
奴等はランプシ王国の次はヴァンシュタイン王国に戦争を仕掛けようと考えておる!
じゃから……あの様な魔獣兵器や蠱毒を密やかに国の端で秘密裏に計画し作っておったのじゃ!やっと謎が解けた!」
何て事を!はぁ良かった……魔獣兵器も蠱毒も全て壊したからな!
残るはこの街シャウエンだ!
「パール!次に俺達がする事分かったよ!この街シャウエンにいる燦聖教をぶっ潰す!」
「正解じゃ!シャウエンの街を燦聖教から取り戻すのじゃ!」
「でもその前に貴族達に売られた獣人達を皆助けたい!」
「ーーちょっ!ティーゴよ……お前は人族だろ?何でそこまで俺達獣人にしてくれるんだ?俺達は何も返せない……」
「見返り何ていらないよ!只許せないだけさ!なぁ?」
ティーゴはパールや銀太を見る。
「そうじゃ!ワシらはムカつく奴らを成敗してるだけじゃからの?お主らが気にする必要は、何もないんじゃよ」
「……あっありがとうございます」
獣人族の人達は声を殺して泣いていた。今までどんな酷い扱いを受けていたのかが分かる……。
黙らせていた奴隷商の男に、パールはお喋り魔法をかけ、知ってる事全てを話させた。
「わっ私は何も知りませんよ?」
「ほう?そうかの?今までに販売した奴隷達の行き先は分かるかの?」
「そんな事知りま……ペラペラーもちろん分かりますよ!どの貴族様に販売したのかは書類に全て記載してありますからね!あわっ?」
「ほう……?それでこの奴隷商の黒幕は誰じゃ?」
「それはっ…ペラペラーこの街シャウエンの領主様ダラァー侯爵様ですよ!あわっ口が勝手に…何でっ⁉︎」
「其奴は何処におるのじゃ?」
「ペラペラ…シャウエンの1番目立つ塔燦聖教の塔【燦聖塔】に、司祭様と一緒に居ますね」
「なるほどのう……分かったのじゃ!お主はまだ聞きたい事が山の様にあるが今は邪魔じゃ!とりあえず眠れ!」
パールは奴隷商の男を眠らせた。
「ではティーゴよ。ワシらがする事は沢山あるが先ずは奴隷にされた獣人達の救出じゃの?」
「そうだな!」
ぐぅぅ~
銀太の腹の音が激しく鳴る。
「お腹空いたのじゃ……」
銀太が少し恥ずかしそうに耳をペタンと下げ頬をピンクに染めてモジモジしている。
ブハッッ‼︎
人化してたら表情が分かりやすくて良いな!
「お腹空いたよな!皆で肉祭りだな!」
奴隷商にいた獣人族を異空間に連れて行った。
「なっ?ここは?楽園か?」
ライオン獣人のグレンさんが異空間をキョロキョロと見渡す。
他の獣人達も驚きを隠せないのか、感嘆の声があちこちから聞こえてくる。
「父ちゃん?」
先に助けていたライオン獣人の子供が、グレンさんに走り寄る。
「ーーなっ!ダイナ!生きて……ふぅっ」
「このアライグマさん達がオレを助けてくれたんだ!父ちゃん!オレ怖かったっ…いたいっ…ことっ…いっぱいされて…っうう」
「ーーそうかっ……よく…よく頑張って生きて居てくれた!」
グレンさんが、子供ライオン獣人と泣きなら抱き合っている。
そうか……親子だったのか。
良かった助けられて。
今からはもう辛い思いは絶対にさせないからな!
さぁ!辛い思いをした獣人族達に少しでも楽しい気持ちになって欲しい!
肉祭りの始まりだー!
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