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第1章 龍王様の番

龍王の思い

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「そうか……そんな偶然が……まさか前龍王の番どのと繋がりがあったとは……」

 飛龍様が顎に手を置き、ぶつぶつと独り言を言っている。
 横にいる私をほったらかして。
 確かに私もびっくりしたけど。
 まさかご先祖様が前龍王様の番とか……そしてその血をひく私も……はうっ!

 やばいやばいやばい。

 今更自分が飛龍様の番(かもしれない)ということを思い出してしまった。
 病気を治すことに必死で、番審査の出来事をまるっと忘れていた。
 今更いろいろ思い出してきて、顔に熱が集中する。

「ん? 翠蘭よ、本当に大丈夫か? さっきから顔がずっと赤いぞ?」
「だ……大丈夫です」

 私が顔が赤い原因は全てあなたが元凶ですが。

 番審査で見た、飛龍様の首元で宝石のように煌めく赤い石が龍心だったなら……
 真紅に煌めく色で正解だったなら……私は番なわけで。

「あわわ」

 落ち着け私。

 一人で勝手に色々想像し、パニックになっていたのが落ち着いたら、飛龍様が切そうな顔で私を見ている事に気づく。

「あの……飛龍様? どうかしましたか?」

「……んん。自分の都合のいいように思いたくての」

「都合のいいように?」

「うむ。我はのう……番とか関係なく翠蘭のことを好ましいと思っておる、この感情は今まで生きてきて初めてなのだよ」

「ひぁっ!?」

 えええ!? 急に何を言い出すんですか!
 これ以上私をパニックにさせてどうする気なの?

 そんな艶っぽく好ましいと言われて、ドキドキしない人がいたら教えて欲しい。
 この空気、耐えられないです。

「前龍貴妃にもこんな感情は抱けなかった。あやつとは友としていい関係だった」
「……はい」

「だが……翠蘭、其方に対しての感情は友としてのそれと違うと分かる。我はもう番などどうでもいい……だが、もしかしたら翠蘭が番なのかもしれないと期待してしまう我もおる」

ちょっと待って……情報が処理できない。
その話だけ聞くと飛龍様は私の事が好きって言っている訳で……。

あぐっ!

落ち着け私!
深呼吸だよ。

「翠蘭? 龍の姿の我を見たのだろう?」
「……はい」
「その時に我の龍心が見えたのか……聞くのが怖いのだよ」
「え……」
「我は其方が番であってほしいと思っておる。前龍王の番が翠蘭の先祖だと思うと期待してしまうのだよ、だから聞くのが怖い」

 泣きそうな顔をして私を見つめる飛龍様。
 どうしよう……そんなことを言われると、龍心の色が言えなくなる。

「だが……先延ばししたところで答えは同じ」

 飛龍様がスゥッと大きく深呼吸し。

「我の龍心は見えたのか?」

 と質問してきた。

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