【龍王様の箱庭】━━千人いるハレムの中で……私が龍王さまの運命のつがい!?

大福金

文字の大きさ
上 下
26 / 30
第1章 龍王様の番

赤い髪と番の関係

しおりを挟む

「我が生まれる何万年も前はのう? 龍人と紅赤人クシュヒトとの婚姻が多かったのだよ」
「紅赤人ですか?」

 初めて聞いた種族の名前だ。それは人族のことなのだろうか?
 クシュヒト……不思議な響きの名前。
 話しぶりからすると、もうその種族は絶滅しているのかな?

「紅赤人とはのう? 翠蘭、お主のように赤い髪色が宝石のごとく輝き、肌が陶器のように白く透き通っていたのだよ。我はお主の祖先が紅赤人だと思っておる」

 私のような見た目……今は私のような姿の人はいないけれど、ご先祖様に居たと聞いていた。
 私のご先祖様が紅赤人?

「なぜ紅赤人との婚姻が多かったかというとのう? 紅赤人たちは特別な力が使えた……それが龍術だよ。その昔は導術と言われていた」
「導術……あっ……!」
「そうじゃよ。導術が使えるのが紅赤人の証拠」
「紅赤人と婚姻し生まれた子供たちは皆導術が使えた。それは桁違いの力だった。紅赤人が使える術の何十倍も凄い能力を持って生まれて来たのだよ。だからその力を我らは導術ではなく龍術と名付けた」

 そうか……元々能力値が高い龍人だから。本来の力を超えてしまうんだ。

「だから男も女も龍人族は皆、紅赤人と婚姻した……だけど」
「だけど?」

 飛龍様は少し寂しそうに、大きく紅赤人が描かれた絵画を見た。

「紅赤人と婚姻する龍人は次第に減っていった。龍術を使える龍人と婚姻するようになっていったのだよ」
「それは……どうしてですか?」
「寿命の違いだ……人族の寿命は我ら龍人と比べると遥かに短い。紅赤人を親に持っても子が赤子の時に死んでしまうのだよ。ほとんどの子は我ら龍人の血を濃く引き継ぎ長寿だった。だから導術が使える龍人同士で婚姻するようになったのだよ」

 それは寂しい。赤子の我が子を残して死ぬのは耐えられない。
 相手を亡くした龍人の人たちも……どれほど悲しかったか計り知れない。

「そしてある時……紅赤人が集落ごと我ら龍人の前から姿を消した。理由は……我ら龍人と一緒に生きていくことを、お互いのためにやめたのだと言われておる」

 お互いのために共存することをやめる……なんだか切ない。
 ん? 姿を消したなら……あの肖像画の人は?

「それならあの絵画に描かれている番の紅赤人は、どうやって知り合ったのですか?」
「それも不思議な縁だったらしいぞ? 先代の龍王が怪我をして休んでいた所、その傷を癒してくれたのが番の紅赤人だったらしい。確か小さな村の少女だったと聞いたのう」

 小さな村……それってもしかして、私の村じゃ? 
 だって私と同じような見た目のご先祖様は、運命の出会いをして村を出ていったと、よくお祖母様が話してくれた。
 
「あの……その村の名前って分かりますか?」
「村の名前? ふうむ……なんだったかのう。シュ? シュ……」
朱赤シュセキ村!」
「おおっ! そうそう、朱赤村じゃ! んん? なんで知っておるのだ?」
「朱赤村は私の住んでいた村です!」
「なんと……そんな偶然が」

 私がそういうと飛龍様は瞳を見開き黙り込んでしまった。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

もふもふな義兄に溺愛されています

mios
ファンタジー
ある施設から逃げ出した子供が、獣人の家族に拾われ、家族愛を知っていく話。 お兄ちゃんは妹を、溺愛してます。 9話で完結です。

男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。

カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。 今年のメインイベントは受験、 あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。 だがそんな彼は飛行機が苦手だった。 電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?! あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな? 急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。 さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?! 変なレアスキルや神具、 八百万(やおよろず)の神の加護。 レアチート盛りだくさん?! 半ばあたりシリアス 後半ざまぁ。 訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前 お腹がすいた時に食べたい食べ物など 思いついた名前とかをもじり、 なんとか、名前決めてます。     *** お名前使用してもいいよ💕っていう 心優しい方、教えて下さい🥺 悪役には使わないようにします、たぶん。 ちょっとオネェだったり、 アレ…だったりする程度です😁 すでに、使用オッケーしてくださった心優しい 皆様ありがとうございます😘 読んでくださる方や応援してくださる全てに めっちゃ感謝を込めて💕 ありがとうございます💞

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!

武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。 亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。 さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。 南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。 ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる

えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。 一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。 しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。 皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

多分悪役令嬢ですが、うっかりヒーローを餌付けして執着されています

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【美味しそう……? こ、これは誰にもあげませんから!】 23歳、ブラック企業で働いている社畜OLの私。この日も帰宅は深夜過ぎ。泥のように眠りに着き、目覚めれば綺羅びやかな部屋にいた。しかも私は意地悪な貴族令嬢のようで使用人たちはビクビクしている。ひょっとして私って……悪役令嬢? テンプレ通りなら、将来破滅してしまうかも! そこで、細くても長く生きるために、目立たず空気のように生きようと決めた。それなのに、ひょんな出来事からヒーロー? に執着される羽目に……。 お願いですから、私に構わないで下さい! ※ 他サイトでも投稿中

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

政略結婚だと思っていたのに、将軍閣下は歌姫兼業王女を溺愛してきます

蓮恭
恋愛
――エリザベート王女の声は呪いの声。『白の王妃』が亡くなったのも、呪いの声を持つ王女を産んだから。あの嗄れた声を聞いたら最後、死んでしまう。ーー  母親である白の王妃ことコルネリアが亡くなった際、そんな風に言われて口を聞く事を禁じられたアルント王国の王女、エリザベートは口が聞けない人形姫と呼ばれている。  しかしエリザベートの声はただの掠れた声(ハスキーボイス)というだけで、呪いの声などでは無かった。  普段から城の別棟に軟禁状態のエリザベートは、時折城を抜け出して幼馴染であり乳兄妹のワルターが座長を務める旅芸人の一座で歌を歌い、銀髪の歌姫として人気を博していた。  そんな中、隣国の英雄でアルント王国の危機をも救ってくれた将軍アルフレートとエリザベートとの政略結婚の話が持ち上がる。  エリザベートを想う幼馴染乳兄妹のワルターをはじめ、妙に距離が近い謎多き美丈夫ガーラン、そして政略結婚の相手で無骨な武人アルフレート将軍など様々なタイプのイケメンが登場。  意地悪な継母王妃にその娘王女達も大概意地悪ですが、何故かエリザベートに悪意を持つ悪役令嬢軍人(?)のレネ様にも注目です。 ◆小説家になろうにも掲載中です

処理中です...