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第1章 龍王様の番
秘密が……
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作っても作っても、薬がすぐになくなってしまう。
こんなにも感染した人が多いなんて……。
「ふぅっ……」
額に流れる汗を拭いながら、慎重に調合していく。
どれくらい時間が経っただろうか?
「翠蘭、少し休憩しては?」
「紫苑様!」
気がつくと、暖かいお茶が入った茶器を手に持った紫苑様が、後ろに立っていた。
「ですが、薬を作らないと」
「翠蘭は働き者ですね。でももう安心して下さい、とりあえずはひと段落しましたよ。まわりを見て下さい」
「……え?」
無我夢中で周りが見えていなかった。
よく見ると、みんな安堵の表情をしにこやかに笑っていた。
「よかった……」
「これも翠蘭が、初期症状を見抜いてくれたおかげで、病気の拡大感染を抑止出来ました。それに早期感染者は、スプーン一杯の薬を飲むだけで治癒出来たので薬がいち早く皆に行き渡りました」
「そうだったんですね」
初期症状だと、薬の量はそんな少なくて大丈夫なんだ。そんな事まで考えながら薬を配ってくれていたなんて、紫苑さんすごい。
「これ以上負担をかけて翠蘭が倒れてしまったら大変ですしね。本当に良かったですよ」
そう言って紫苑様は、私にハンカチを渡してくれた。
汗をかいていたから助かるけれど……綺麗な刺繍がほどこされた高そうなハンカチ……汗を拭くのも気が引ける。
緊張しながら汗を拭いていると。
「これは龍王様も大好きなお茶なんですよ。さっ、あちらで飲みましょう」
紫苑様に案内され、椅子に腰掛けた。
椅子に座り一息つくと……どっと疲れが。
そんな私の前で茶器にお茶を注ぐ紫苑様。
所作が美しいです。
「どうぞ」
「わぁ……綺麗!」
出されたお茶の中に、大きな花が咲いていた。
一口飲むとお花の香りが鼻からぬけ、なんともいえない清涼感に包まれた。
「……おいしっ」
「お気に召されたようで良かったです」
紫苑様とお茶を飲んでいると、何やら人が私たちの周りに集まってきた。
「赤の女神様! 病気を治していただきありがとうございました」
「腐死病にかかると、苦しんで死を待つだけど聞いていたので……ふぅぅ。本当にありがとうございます」
「伝説の赤の女神様は本当にいたのですね」
「赤の女神様に助けて頂いたこの命、一生忠誠を誓います」
みんなが口々に私に向かって赤の女神様と涙ながらに話す。しかも伝説? どういう事?
よく分からないけれど、私は赤の女神様ではない。薬師だ。
そう説明しようとしたら、奥の方が騒つく。
なんだろう? 何が起こっているんだろう?
立ち上がって見ようとしたら、そんな事をするまでもなく、騒つきの元凶が私の前に現れた。
なぜなら私の周りに集まっている人たちが、綺麗に真ん中を開けて二手に分かれたのだ。
その開けた真ん中に立っていたのは……。
「飛龍様!」
「ここにおったのか翠蘭」
そう言ってニコリと微笑むと私たちの所まで歩いて来た。
「あああっ飛龍様、良かった」
紫苑様はすぐさま立ち上がり、飛龍様に向かって深々とお辞儀をする。
飛龍様は私の隣の椅子に腰掛けた。
「もう歩いて大丈夫なのですか?」
「翠蘭の薬が効いたからのう……我ら龍人を救ってくれてありがとう」
飛龍様はそう言って私の頭を優しく撫でる。
そんな事をされると、ドキドキして胸が苦しい。
私が黙っていると、飛龍様は話を続ける。
「して翠蘭よ? 皆がお主の事を赤の女神と呼んでおるのう?」
赤の女神様! そうだった、その誤解を解かなくては。
「我にも教えて欲しいのう? 翠蘭よ、真紅に輝くこの美しい髪はなぜだ?」
飛龍様はそう言って私の髪の毛に触れる。
真紅に煌めく? 私の髪の毛は……赤茶色に偽装しているはず……!?
だけど飛龍様が触れている髪の毛は真っ赤に輝いて……!!!!
「ええええっ!?」
私の髪の毛や肌……偽装する前に戻っている!
どうして!?
こんなにも感染した人が多いなんて……。
「ふぅっ……」
額に流れる汗を拭いながら、慎重に調合していく。
どれくらい時間が経っただろうか?
「翠蘭、少し休憩しては?」
「紫苑様!」
気がつくと、暖かいお茶が入った茶器を手に持った紫苑様が、後ろに立っていた。
「ですが、薬を作らないと」
「翠蘭は働き者ですね。でももう安心して下さい、とりあえずはひと段落しましたよ。まわりを見て下さい」
「……え?」
無我夢中で周りが見えていなかった。
よく見ると、みんな安堵の表情をしにこやかに笑っていた。
「よかった……」
「これも翠蘭が、初期症状を見抜いてくれたおかげで、病気の拡大感染を抑止出来ました。それに早期感染者は、スプーン一杯の薬を飲むだけで治癒出来たので薬がいち早く皆に行き渡りました」
「そうだったんですね」
初期症状だと、薬の量はそんな少なくて大丈夫なんだ。そんな事まで考えながら薬を配ってくれていたなんて、紫苑さんすごい。
「これ以上負担をかけて翠蘭が倒れてしまったら大変ですしね。本当に良かったですよ」
そう言って紫苑様は、私にハンカチを渡してくれた。
汗をかいていたから助かるけれど……綺麗な刺繍がほどこされた高そうなハンカチ……汗を拭くのも気が引ける。
緊張しながら汗を拭いていると。
「これは龍王様も大好きなお茶なんですよ。さっ、あちらで飲みましょう」
紫苑様に案内され、椅子に腰掛けた。
椅子に座り一息つくと……どっと疲れが。
そんな私の前で茶器にお茶を注ぐ紫苑様。
所作が美しいです。
「どうぞ」
「わぁ……綺麗!」
出されたお茶の中に、大きな花が咲いていた。
一口飲むとお花の香りが鼻からぬけ、なんともいえない清涼感に包まれた。
「……おいしっ」
「お気に召されたようで良かったです」
紫苑様とお茶を飲んでいると、何やら人が私たちの周りに集まってきた。
「赤の女神様! 病気を治していただきありがとうございました」
「腐死病にかかると、苦しんで死を待つだけど聞いていたので……ふぅぅ。本当にありがとうございます」
「伝説の赤の女神様は本当にいたのですね」
「赤の女神様に助けて頂いたこの命、一生忠誠を誓います」
みんなが口々に私に向かって赤の女神様と涙ながらに話す。しかも伝説? どういう事?
よく分からないけれど、私は赤の女神様ではない。薬師だ。
そう説明しようとしたら、奥の方が騒つく。
なんだろう? 何が起こっているんだろう?
立ち上がって見ようとしたら、そんな事をするまでもなく、騒つきの元凶が私の前に現れた。
なぜなら私の周りに集まっている人たちが、綺麗に真ん中を開けて二手に分かれたのだ。
その開けた真ん中に立っていたのは……。
「飛龍様!」
「ここにおったのか翠蘭」
そう言ってニコリと微笑むと私たちの所まで歩いて来た。
「あああっ飛龍様、良かった」
紫苑様はすぐさま立ち上がり、飛龍様に向かって深々とお辞儀をする。
飛龍様は私の隣の椅子に腰掛けた。
「もう歩いて大丈夫なのですか?」
「翠蘭の薬が効いたからのう……我ら龍人を救ってくれてありがとう」
飛龍様はそう言って私の頭を優しく撫でる。
そんな事をされると、ドキドキして胸が苦しい。
私が黙っていると、飛龍様は話を続ける。
「して翠蘭よ? 皆がお主の事を赤の女神と呼んでおるのう?」
赤の女神様! そうだった、その誤解を解かなくては。
「我にも教えて欲しいのう? 翠蘭よ、真紅に輝くこの美しい髪はなぜだ?」
飛龍様はそう言って私の髪の毛に触れる。
真紅に煌めく? 私の髪の毛は……赤茶色に偽装しているはず……!?
だけど飛龍様が触れている髪の毛は真っ赤に輝いて……!!!!
「ええええっ!?」
私の髪の毛や肌……偽装する前に戻っている!
どうして!?
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