【龍王様の箱庭】━━千人いるハレムの中で……私が龍王さまの運命のつがい!?

大福金

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第1章 龍王様の番

光明の光

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「ええと……」

 このリルル草とバギ草を擦り潰して、そこにナシンの実を乾燥させて細かく砕いたのを混ぜていく。
 仕上げに導術で出した水を入れ、火にかけて煮詰めれば壊死に効果のある塗り薬の完成。
 このポイントは、普通の水では作れないって言うこと。
 導術で出した水からじゃないと作れない。

 これが飛龍様の壊死に効けば良いのだけれど。

「悩むよりも実践だ」

 私は完成した塗り薬を持って、飛龍様が寝ている寝室に向かう。

 ノックをし寝室に入ると、飛龍様はスヤスヤと心地よさそうに眠っていた。

 ———良かった!
 痛み止めの薬が効いたんだ。

 スヤスヤと眠る飛龍様の頬にそっと完成した薬を塗っていく。起こさないように慎重に。
 この頬に広がっている壊死した鱗に、この薬が効いてくれたら……。そう願いながら丁寧に塗っていく。

「よし! 後は効果を見るために二時間ほど待つだけだね」

 待ってる間に、他にも効果のありそうな薬を色々作ろう。
 樹の木さんと龍王様のおかげで、貴重な薬草がてんこ盛りであるのだから。
 これだけの薬草を買おうとしたら……金貨五十枚は最低でも必要だろうな。

 冷静になって考えると、これって本当に恵まれてるっていうか、普通ならあり得ない状況。
 樹の木さん、頂いた薬草の全てを飛龍様に使わせて頂きます! 私頑張りますね。

 色々なことを考えながら、効果のありそうな薬を黙々と作っていく。

「そろそろ……二時間経った頃かな?」

 様子を見に行ってみよう。
 飛龍様を起こさないようにソッと扉を開き、塗った場所の様子を見る。

「……そんな」

 嘘でしょう? 全く効果がないなんて。
 頬に現れている鱗の壊死が進行している。

「ふぐっ……」

 悔しくて嗚咽が漏れそうになる口を押さえ、慌てて寝室をでる。

 泣いちゃだめ! そんな暇があったら、壊死の進行を食い止める方法を考えるんだ。

 飛龍様の姿は、身体中の至る所で壊死が進行していた。それは指先どころか爪まで真っ黒になっており。壊死の進行は思っているよりもかなり早い。

「…………爪まで真っ黒?」

 ん? これって。

 ———あれだ!

 同じような症状を私は知っている!

 村の近くの泉に巣を作っていた水龍様が病気になった時、同じように爪や鱗が壊死していた。
 それと症状が酷似している。龍人と水龍では、同じ龍でも種族が違うから……同じ病気ではないかもしれないけれど。効果があるかもしれない!

 この病気の進行を食い止める薬を……私のお婆さんが作っていた!
 私も作り方をお婆さんから教わって作り方は知っている。

『治すことは出来なくても、進行を和らげることはこの薬でできるのさ。私たちの村は水龍様にはお世話になっているからね』

 お婆さんがそう話ながら薬を作っていたのを思いだす。

 お父さんたちがお婆さんに言われて、治す薬を作る薬草を必死に集めていた。
 なかなか見つからないのが虹彩花コウサイカ、月夜に照らされ虹色に花が輝くからそう言われている。

 村に住んでいた時は、虹彩花の場所は分かっていた。だけど……この龍人国に虹彩花はあるのだろうか?
 それに虹彩花が見つかったとしても、進行を和らげるだけで根本的な解決にはならない。

「だけど……」

 私は大切にしまっていた黄金に煌めく葉を取り出す。
 
「樹の木さんから頂いた、この葉を混ぜて調合したら……」

 龍人族にはどんな効果があるのかは分からない。だってもし効果があるのなら、前回腐死病が流行った時に、この金色の葉で治していたはず。

 だけど私たち人族にとっては、死にかけていようがどんな病気も治す、貴重な葉だと言っていた。

 だから……少しの確率にかけてみよう。

 虹彩花は、摘んでから一週間で枯れてしまい、効果が全くなくなる。だから私の薬草コレクションの在庫にない。

「……ふむ」

 どうやって探そう……。

 ————あっ!!

 樹の木さんに聞いてみたら……知ってないかな?
 お話は出来ないけれど……樹の木さんは、私の言ってることが分かっていた。

 よし! 行ってみよう。
 思い立ったら居ても立っても居られない!

 私は籠を背負い樹の木さんの所に走って行った。



★★★


沢山の方に読んで頂き嬉しくて本日2回目の更新です。(*^^*)
この先も楽しんで頂けると嬉しいです
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