【龍王様の箱庭】━━千人いるハレムの中で……私が龍王さまの運命のつがい!?

大福金

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第1章 龍王様の番

……再会

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 美しい龍人と目が合い。一気になんとも言えない緊張感がピリリと体中を駆け巡る。
 なんか言わなきゃ……私!

「あっ……えと、どうもです」
「くくく……なんだ? その変な話し方は?」

 月夜に照らされ美しく輝く漆黒の髪をなびかせ、私を見て笑う。
 笑われているのに、つい見惚れてしまい言葉を失う。

「ん?」

 そんな私の姿を不思議そうに見ながら、妖艶に首を傾げる名もしらない龍人。
 あなたの姿が美しすぎて固まっているんです。
 固まって何も話せずにいた私を見ながら、龍人が先に口を開く。

「今ちょうど、樹と其方の話をしていたところなんだよ」
「え……私の?」
「そうだ。樹がの? 最近其方の姿が見えんで寂しかったみたいじゃぞ。樹によほど気に入られてれておるな」
「……気に入られて?」
「うむ。樹がこんな事を言うのは珍しい」
「あっ……ありがとうございます」
「はははっ、なんの礼ぞ」

 嬉しくて思わず樹の木に頭を下げた私を見て、高らかに笑う龍人。
 私は言われた事が嬉しくって、勢いよく樹の木に抱きついた。

「私も会いたかったです。今日もここにある薬草をお裾分けしてくださいね」

 ギュッと抱きしめながら私がそう言うと、大きな樹の葉っぱが激しく揺れる。

「くくく。樹が喜んでおる。我が来てもそこまで喜ばんのにの、ちとヤキモチを焼いてしまうのう」
「ふぇぇ?」

 クスリと笑いながら私を見つめる美しい龍人……もうなんだかこの空気に耐えられない。

「うう……あっそうだ。薬草、薬草」

  もうどうして良いかわからず、おもむろに近くにあった薬草を摘み出す。
 だって変に緊張しちゃうから。目に前にいる龍人は村にいた男の人と余りにも違いすぎて、緊張しちゃう。

 緊張を和らげるため、必死で薬草を摘んでいたら。大好きな薬草の匂いに癒され何だか心が落ち着いてきた。
 さすが薬草様。今日も素敵な癒しをありがとう。

 夢中になり薬草を摘んでいたら、近くに美しい龍人がいる事も気にならなくなり、私は嬉々と薬草摘みを楽しんでいた。
 そんな私の姿を龍人は何も言わず、ただ優しく見守っていてくれたように感じた。
 そんな心地よい時間がすぎていく。

「よし! いっぱい薬草を採れた」

 籠いっぱいに集めた薬草を見て、私は再び樹の木を抱きしめお礼を言った。

「素晴らしい薬草をお裾分けして頂きありがとうございます」

 すると再び大きく樹の葉が揺れた。

「欲しい薬草は集まったようじゃの? 良かったの」
「はい! 今日は怪我を治す薬草が欲しかったので、素晴らしい薬草のお裾分けをして頂き大満足です」

 薬草の話になりつい早口で捲し立てるように話してしまった。

「くくく。それは良かったの」

 そう言って、優しく私に向かって笑いかける龍人。

「あっあう……そそっそれじゃ! 失礼します」

 何だかこの前よりも緊張してしまい。
 深々とお辞儀をした後、逃げるようにその場を去ってしまった。

「え……!?」

 そんな私の姿を、驚き見ていたように思ったけれど、それに気遣う余裕なんてあるわけがなかった。

 その時。

 私の服に付着していた、赤茶色に染める前の真っ赤な髪の毛が、フワリと龍人の頬にふれ、それを龍人が手に取り不思議そうにジッと見ていたなんて、知るよしも無かった。

「ほう……なんと美しい……真紅色の髪の毛。初めて見たのう……これはどこから飛んで来たのかの? 樹は分かるか?」

 龍人がそう言うと、樹の葉が激しく揺れた。

「ははは。そうか、面白いのう」
 
 美しい龍人はニヤリと笑うと、漆黒の龍の姿となり空へと飛んでいった。

 
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