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魔王討伐編
閑話 カイトとファラサールのないしょ話
しおりを挟む「ほれ!血で汚れたのを綺麗にしてやる」
シュワン…
勇者シンは旅立つ前の姿に戻った。
まだ呆然と固まったままだが。
「凄いな一瞬で綺麗に!装備だって元通りになってる。しかもカスパール様はほとんどの魔法が無詠唱なんだな…」
「本当だね。僕と同じ賢者のジョブとは思えないよ。僕は魔法を無詠唱で使えない。それに…リザレクションって伝説じゃなくて本当にある魔法なんだね…初めてみたよ。」
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。決まったジョブ以外には適正がない。
これは神からのギフトとされこの時に人生の勝者になれるか敗者になるのか決まるのだ。
親が魔法使いのジョブで子供が農業ジョブなど親子でも同じジョブになる事は殆どない。
皆、レアなジョブになれる事を願って教会にギフトを貰いに行くのだ。
ヒソッ
「シンはさぁ…貴族の息子だろ?チヤホヤされて育ったからさ。あんな糞な性格…ゴニョ」
「本当にね。僕達エルフを見下してるのも如何にも貴族様って感じだね。
今のアレクサンダー王がエルフ達の奴隷扱いを厳しく取締ってくれなければ未だに貴族達は俺達エルフを密猟してオークションで売ってるだろうな!」
「本当、胸糞悪い話だぜ。金があるからって見目麗しいエルフをカネで取り引きするなんてよ!田舎村に居た俺からしたら信じられないぜ。」
「それによ。シンの奴は勇者って偉そうにしてるけどさ…アイツはスキル無しだぜ?普通の勇者だな。」
「何で分かるの?」
「俺は鑑定のスキルがあるからな!ステータスがある程度見れるんだよ」
「戦士なのに鑑定もち?凄いね!ちなみにカスパール様は?どんな凄いステータスなの?」
「全く分からない…レベルが桁違いに違うんだろうな。名前しか出てこない。」
「さすがカスパール様!」
「でもさ…なんで王はシンを選んだんだ?不思議じゃねーか?って言うか俺達って必要か?」
「これは僕が聞いた話なんだけど…始めはカスパール様だけに頼むつもりだったみたいだよ。でも一部の貴族達がそんな老人一人では不安だと!魔族が攻めて来たらどうするんだと言って。」
「まぁ冒険者の間じゃあカスパール様は有名だけど、貴族はそんなの知らない奴も多数いるわな。」
「そうなんだよ。貴族を納得させるために勇者と戦士と賢者を用意してパーティーを組んだらしいよ。」
「なるほどな!ならさ勇者は何でシン何だ?Sランクパーティーの勇者の奴とか、あと二人もっと強い奴がいただろ?」
「全員から断られたみたいだよ。カスパール様と一緒だと自信を無くして心が折れるって…」
「あはははっ確かにな!その通りだわ」
「それで貴族のシンの親がねじ込んできた訳か!」
「偉そうにしてるけどこのメンバーの中じゃ一番弱いクセに。大人しくして欲しいよ!はぁ…」
「本当だな。とりあえずカスパール様のお孫さん達を怒らせないようにしないとな。」
「だね!」
「おーいお前達?何をコソコソとずっと話をしとるんじゃ?行かんのか?」
バタバタッ
「はーい行きます!」
「はい!」
* * * * *
本編を読んでいない人の為にこの世界の理りを小話で入れて見ました。
《補足》
この世界でのジョブはレアなジョブでも一人だけと言うのはありません。
レアなジョブ程人数は少なくはなります。
勇者、賢者、その次に戦士、聖女、魔法使いがレアなジョブになります。
スキルの組み合わせやレベルなどで同じジョブでも強さは全く違います。この世界ではスキルが重要な強さの鍵になります。
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