嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

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やり直しの人生 ソフィア十四歳スタンピード編

第二百六話 ソフィア!? どうする?

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「くそっ! 斬っても斬っても魔獣が現れる」

 アイザックは目の前の魔獣を斬り捨てながら眉を顰める。

 火山の近くまで来たら、魔獣の数が異常なほどに増えた……これじゃあ前に進めない。
 一番先頭にいるアイザック達は、夥しい数の魔獣相手に苦戦していた。

「つっ……せめてこの瘴気がなかったら」
「すまない。僕が瘴気を浄化出来ていたら……」

 ファーブルが悔しそうに唇を噛み締めた。

 いつもなら瘴気をなんなく浄化するファーブルなのだが、今回に関しては浄化しても浄化しても、瘴気が無くならない。
 ファーブルは考えを変え、浄化ではなく瘴気を薄くし、皆の周りに結界を張る事にした。
 これだけの人数の周りに結界を張るなんて、普通の人間では到底出来ない。それだけ凄いのだが。

「いやっ、ファーブルの結界のおかげでかなり助かっているよ」
「そうだ。俺たちこそ愚痴を吐いてすまない」

 アイザックとアレスが申し訳なさそうにファーブルを見る。

「みんな頑張っているさ! 火山まで後少し、頑張ろうじゃないか」

 アレクはみんなを鼓舞し、数十匹はいたであろう目の前の魔獣を一刀両断した。

 その華麗な剣さばきは、現役を引退し普段は宰相の仕事をしている姿とはかけ離れていた。皆がその姿に見惚れ、下がっていた士気が上がっていく。

「「「「はい!」」」」

 気持ちを新たに、火山に向け必死に魔獣を討伐して行く。
 そんな時だった。

 いきなり森を覆っていた、瘴気がなくなる。
 そして再び瘴気に覆われるのを数回繰り返された後。

 全ての瘴気が消え、青い空が姿を表す。

「瘴気が消えた!?」
「これは一体!?」
「何が起こったんだ!?」

 瘴気が消え何が起こったんだと驚いていると。

 今度は魔獣が、空から降ってくる光の矢によって、次々に消滅していく。

「はっ!?」
「なんだこの光の矢は」
「空から魔獣に向けて光の矢が降ってくる」
「これは!?」

 もちろん瘴気の消滅も光の矢もソフィアがした事なのだが。
 神が味方したと騒ぐ兵士たち。
 そんな中、眉間に皺をよせ難しい顔をするアレクとアイザック。
 もちろんファーブルとアレスもだ。

 誰も口には出さないが、ソフィアが絶対に関係していると、これで確信に変わった様子。

「魔獣がいなくなった今がチャンスだ! 一気に火口に行くぞ」

「「「「はい!!」」」」


★★★


 ーー無茶するなぁ……今ので森に出た魔獣の殆どを殲滅したんじゃないの?

「はっ……はぁ……それなら良かった。流石にちょっと息苦し……」

 私はリルのフワッフワの背中にもたれる。
 はぁ~癒される。お日様の匂いがするリルのいい匂い。

 ーーったく。急激に魔力を放出したから、マナに溜まっていた魔素がなくなりかけているんだよ。ソフィアは他の人と違ってすぐに溜まるだろうけれど、二時間は休憩しないと。

 リルが二時間休憩しないと言うけれど、そんなに待つと魔獣たちが時空門からうじゃうじゃ出てくるんじゃ。
 どうにか時空門を閉じたい所だけれど……無理だし。

 さっきの魔法で、お父様やアイザック様たちの少しでも役に立ったかな?

 それだと良いな。

 私たちは火山火口上空で、ふよふよと浮かんでいるんだけど。

 上から見ていると、五分間隔くらいで魔獣が出て来ている。

 瘴気が無くなったので、魔獣の強さは通常に戻っているはず。
 なので余程強力な魔獣が出てこない限り大丈夫な気もしてきた。

 休憩しながら、定期的に出てくる魔獣を見ていたら。

 ーーソフィアッヤバい! なんでこんな奴が!?

 リルが何かを感じ取ったのか、殺気を放つ。

「え? どうし……!?」

 次の瞬間。

 真っ白の大きな魔獣が時空門から飛び出してきた。

 ーーソフィアこいつはヤバい! 僕じゃ勝てない。

 リルがそう言って、申し訳なさそうに私を見つめる。
 そんなに強いの? あの魔獣は!?

 だけど。

 なんでかな? 私はそんなに怖く思えないんだよね。
 それに何だか見たことがあるような……?

 なんて事を考えていたら。

 魔獣が私達の存在に気付き、こっちに向かってきた。





★★★



 更新が遅れてすみません。実生活の仕事が忙しくて、中々執筆が出来ませんでした。
 さてこのあとはどうなるでしょうか? 
 なんとなく、もうお気付きの読者様もいらっしゃると思いますが。
 次は金曜六時にちゃんと更新したいです。
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