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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百九十四話 一難去って……
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「嘘でしょう⁉︎ 精霊王様!」
私は精霊王様を抱き上げた手を、動揺のあまり激しく揺らす。
ーーこりゃっ! 揺らすでない。ちょっと落ち着くのじゃ。
「あっごっごめんなさい」
少し冷静になり、慌てて精霊王様をソファーにそっと置いた。
ーーったく乱暴なんじゃから……。
ブツブツと文句を言いながら、口にイチゴケーキを放り込む。
そんな精霊王様の姿を横目に私は思うのだった。
ダンジョン問題が解決したばかりなのに……。
また新たなる問題が?
時は少しだけ巻き戻り。
ルーンとシルフィ達が再会を楽しんでいると、部屋の扉が開きリリがお茶菓子とデトックスティーを持ってきてくれた。
ーーヤッタァー♪待ってたよ甘味ちゃん。
テーブルに並べられるお茶菓子にシルフィ達が飛び付く。
今日のお茶菓子はイチゴケーキ。
このケーキを完成させるのは大変だったんだよね。
見た目は前世の定番人気、イチゴケーキそのまんまなんだけれど。
この世界のイチゴは、酸味が強く生のまま食べることが難しかった。日本のイチゴだと酸っぱさの中に濃厚な甘さがあるのだけれど、それが全くない。前世の感覚でパクッと生で食べた時、余りの酸っぱさにびっくりしたのを思い出す。
見た目はそっくりなのになぁ。
これをどうにか甘く出来ないのかなと、頭を悩ませるもいいアイデアが浮かばない。
品種改良して甘く出来たりしないかなとも思ったんだけれど、私にその技術はない。
甘く改良出来たら良いのに……とつい私がボソッと言ったのを聞き逃さなかったのが、その場にいたお父様とアイザック様。なんと二人が手を組みイチゴを研究し甘いイチゴを誕生させたのだ。
これには本当に感動した。
あまりの嬉しさに二人に抱きついたのを思い出す。
その時のアイザック様は、イチゴみたいに真っ赤なお顔をしていた。きっとアイザック様も甘いイチゴの完成に興奮していたのだろう。
「ふふ。その気持ちすごく分かりますよ」って私が言うと「フィアは全く分かってない」ってなぜか怒られた。
なんで?
今では甘いイチゴはリストリア帝国の名産品とまでなり、諸外国から引くて数多の人気商品となった。輸入待ちの国もあるほど。
入手困難ってのもあってか人気に火がつき、イチゴは観光客のお土産人気ナンバーワンになったのだ。
イチゴ効果によりリストリア帝国までが潤った。
これによりグレイドル公爵家は国王様から褒賞をいただいた。
凄いイチゴなのだ。
そんな事を思い出しながらケーキの上に乗っているイチゴを口に入れる。
「おいしっ♪」
口いっぱいに酸味と甘味が同時に広がる。
ーーソフィア! オイラのケーキ! オカワリ
ーー私にもよ。イチゴは私の大好物なんだからね?
シルフィとウンディーネは用意されたイチゴケーキを早くも完食。
ーーこれは何? あまーい良い匂い。
ルーンは不思議そうにイチゴケーキを見ている。
ケーキを見た事ないのかな?
「ルーンこれはケーキと言って、すっごく甘くて美味しい甘味なの。食べてみて」
私はルーンの前にケーキを置いた。
ーー甘くて……美味しい? どれ……‼︎
ケーキを口に入れたルーンはプルプルと震えた後、勢いよくケーキを貪る。
ーー美味しいよ! 僕……こんなに美味しい甘味……初めて食べたよ。ああっ幸せっ
ーーだろうルーン? 他にもいっぱい甘い甘味があるんだぜ?
ーーそうよ。ソフィアといれば甘味食べ放題なんだから。うふふ。
シルフィとウンディーネがルーンを煽る。その煽り方はどうかと思うよ? 私は食べ放題のケーキ屋さんですか?
ーーこんなにも美味しい甘味を食べ放題……。
ルーンがキラキラと瞳を輝かせ私を見つめる。
その口からは涎が溢れている。
……うん。私が甘味に見えてるねルーン?
まあ良いんだけどね。ルーンが幸せなら。
ーーかかかっ甘味の匂いじゃっ!
ピスピスと鼻を鳴らして寝ていた精霊様が飛び起きてきた。
幸せそうにケーキを頬張るルーンを見て、ほっこりしていた気持ちが……。
ーーソフィアよ! 我にもケーキを早う! 早う!
ウサギ姿の精霊王様が机をバンバンと叩く。
テーブルにあるケーキは全てシルフィ達が食べてしまって、精霊王様の分がなくなってしまったからだろう。
「分かったから! ちょっと待ってね?」
私は慌ててリリに追加のケーキを持ってきてとお願いした。
★★★
ーーふぃ。このイチゴ美味いのう。甘いのと酸っぱいのが絶妙のバランスで最高じゃ。
思う存分イチゴケーキを食べて満足したのか、精霊王様がソファーで気持ち良さそうに寝そべる。
「満足いただけてヨカッタデスヨ」
ーーんん? 何じゃ? そのゴブリンを潰したような顔をして。
精霊様が私をチラリと見てバカにする。誰がゴブリンよ!
あなたを呆れた目で見ていただけですよ?
ーーあっそういえばソフィア?
「なんですか?」
ーー近々スタンピードが起こるぞ? 対策を考えとかんと王都が滅びる規模じゃぞ?
「ああ。はいはいスタンピードですよね。知ってます……ん?」
ーーおおっ。知ってるなら良いんじゃが。
「ちょーーーーー!! 待って王都が滅びるレベルってどう言う事!?」
ーーちょっ!? あぐっふ!?
「近々起こるって⁉︎ 何⁉︎」
私は精霊王様を抱き上げ思いっきり揺するのだった。
★★★
お礼です♡
貴重なお時間を使ってエールを頂きありがとうございます。感謝。
このお話が人気なんだ……など。読者様の好みのお話が分かり、今後の物語の展開の参考になっています。
ありがとうございます。
本日はコミカライズの更新日です。
さらにソフィアがアイザックをたらしていきますよ~♡♡
お楽しみに♪
私も今からワクワクしてます。
私は精霊王様を抱き上げた手を、動揺のあまり激しく揺らす。
ーーこりゃっ! 揺らすでない。ちょっと落ち着くのじゃ。
「あっごっごめんなさい」
少し冷静になり、慌てて精霊王様をソファーにそっと置いた。
ーーったく乱暴なんじゃから……。
ブツブツと文句を言いながら、口にイチゴケーキを放り込む。
そんな精霊王様の姿を横目に私は思うのだった。
ダンジョン問題が解決したばかりなのに……。
また新たなる問題が?
時は少しだけ巻き戻り。
ルーンとシルフィ達が再会を楽しんでいると、部屋の扉が開きリリがお茶菓子とデトックスティーを持ってきてくれた。
ーーヤッタァー♪待ってたよ甘味ちゃん。
テーブルに並べられるお茶菓子にシルフィ達が飛び付く。
今日のお茶菓子はイチゴケーキ。
このケーキを完成させるのは大変だったんだよね。
見た目は前世の定番人気、イチゴケーキそのまんまなんだけれど。
この世界のイチゴは、酸味が強く生のまま食べることが難しかった。日本のイチゴだと酸っぱさの中に濃厚な甘さがあるのだけれど、それが全くない。前世の感覚でパクッと生で食べた時、余りの酸っぱさにびっくりしたのを思い出す。
見た目はそっくりなのになぁ。
これをどうにか甘く出来ないのかなと、頭を悩ませるもいいアイデアが浮かばない。
品種改良して甘く出来たりしないかなとも思ったんだけれど、私にその技術はない。
甘く改良出来たら良いのに……とつい私がボソッと言ったのを聞き逃さなかったのが、その場にいたお父様とアイザック様。なんと二人が手を組みイチゴを研究し甘いイチゴを誕生させたのだ。
これには本当に感動した。
あまりの嬉しさに二人に抱きついたのを思い出す。
その時のアイザック様は、イチゴみたいに真っ赤なお顔をしていた。きっとアイザック様も甘いイチゴの完成に興奮していたのだろう。
「ふふ。その気持ちすごく分かりますよ」って私が言うと「フィアは全く分かってない」ってなぜか怒られた。
なんで?
今では甘いイチゴはリストリア帝国の名産品とまでなり、諸外国から引くて数多の人気商品となった。輸入待ちの国もあるほど。
入手困難ってのもあってか人気に火がつき、イチゴは観光客のお土産人気ナンバーワンになったのだ。
イチゴ効果によりリストリア帝国までが潤った。
これによりグレイドル公爵家は国王様から褒賞をいただいた。
凄いイチゴなのだ。
そんな事を思い出しながらケーキの上に乗っているイチゴを口に入れる。
「おいしっ♪」
口いっぱいに酸味と甘味が同時に広がる。
ーーソフィア! オイラのケーキ! オカワリ
ーー私にもよ。イチゴは私の大好物なんだからね?
シルフィとウンディーネは用意されたイチゴケーキを早くも完食。
ーーこれは何? あまーい良い匂い。
ルーンは不思議そうにイチゴケーキを見ている。
ケーキを見た事ないのかな?
「ルーンこれはケーキと言って、すっごく甘くて美味しい甘味なの。食べてみて」
私はルーンの前にケーキを置いた。
ーー甘くて……美味しい? どれ……‼︎
ケーキを口に入れたルーンはプルプルと震えた後、勢いよくケーキを貪る。
ーー美味しいよ! 僕……こんなに美味しい甘味……初めて食べたよ。ああっ幸せっ
ーーだろうルーン? 他にもいっぱい甘い甘味があるんだぜ?
ーーそうよ。ソフィアといれば甘味食べ放題なんだから。うふふ。
シルフィとウンディーネがルーンを煽る。その煽り方はどうかと思うよ? 私は食べ放題のケーキ屋さんですか?
ーーこんなにも美味しい甘味を食べ放題……。
ルーンがキラキラと瞳を輝かせ私を見つめる。
その口からは涎が溢れている。
……うん。私が甘味に見えてるねルーン?
まあ良いんだけどね。ルーンが幸せなら。
ーーかかかっ甘味の匂いじゃっ!
ピスピスと鼻を鳴らして寝ていた精霊様が飛び起きてきた。
幸せそうにケーキを頬張るルーンを見て、ほっこりしていた気持ちが……。
ーーソフィアよ! 我にもケーキを早う! 早う!
ウサギ姿の精霊王様が机をバンバンと叩く。
テーブルにあるケーキは全てシルフィ達が食べてしまって、精霊王様の分がなくなってしまったからだろう。
「分かったから! ちょっと待ってね?」
私は慌ててリリに追加のケーキを持ってきてとお願いした。
★★★
ーーふぃ。このイチゴ美味いのう。甘いのと酸っぱいのが絶妙のバランスで最高じゃ。
思う存分イチゴケーキを食べて満足したのか、精霊王様がソファーで気持ち良さそうに寝そべる。
「満足いただけてヨカッタデスヨ」
ーーんん? 何じゃ? そのゴブリンを潰したような顔をして。
精霊様が私をチラリと見てバカにする。誰がゴブリンよ!
あなたを呆れた目で見ていただけですよ?
ーーあっそういえばソフィア?
「なんですか?」
ーー近々スタンピードが起こるぞ? 対策を考えとかんと王都が滅びる規模じゃぞ?
「ああ。はいはいスタンピードですよね。知ってます……ん?」
ーーおおっ。知ってるなら良いんじゃが。
「ちょーーーーー!! 待って王都が滅びるレベルってどう言う事!?」
ーーちょっ!? あぐっふ!?
「近々起こるって⁉︎ 何⁉︎」
私は精霊王様を抱き上げ思いっきり揺するのだった。
★★★
お礼です♡
貴重なお時間を使ってエールを頂きありがとうございます。感謝。
このお話が人気なんだ……など。読者様の好みのお話が分かり、今後の物語の展開の参考になっています。
ありがとうございます。
本日はコミカライズの更新日です。
さらにソフィアがアイザックをたらしていきますよ~♡♡
お楽しみに♪
私も今からワクワクしてます。
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