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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百九十話 ルーン探し

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 ルーンを探すとは言ったけれど……どうやって探せばいいの?

 ダンジョンをぐるりと見回すも、なんの手がかりもありそうに無い。
 こんな時。精霊王様でも居てくれたら、サクッと答えを教えてくれそうなのに。
 今日に限って一緒にいない。
 いつもなら『面白そうじゃのう』とか言って付いて来るくせに。

 などど考えハッと気付く。

 だめだ! ルーンは私に見つけてって言ってくれたのに。
 そして一人で一生懸命に頑張って、私を助けてくれたのに。
 私が頑張らなくってどうするの! すぐ人に甘えようとして。正確には精霊王だけれども。
 反省反省。

 うう~ん。

 ルーンといた時の事を……話した事を思い出すの。
 絶対にヒントがあったはずだから。

 ルーンは私の事をなぜか解っていた。
 私が謎の球体の中にいた事も、あのまま居れば闇に取り込まれる事も。
 と言うかこのダンジョンの事を全て知っていた。
 まるで何百年もダンジョンこの場所にいたかのように。

 どうして?
 
 ———あっ!?

 分かったかも知れない。

 ルーン自体がダンジョン? に取り込まれている? 
 何かの制約があって、ダンジョンから離れられない!?
 一体化しているなら……このダンジョンを探れば?

 ええと……どうやったっけ? 
 ああっこんな時、いつもシルフィやウンディーネに頼っていたんだなと実感する。今は頼れる人も居ないんだ。
 自分の力で切り抜けるの。思い出せ……ええと。

 そうだ!

 私の魔力をダンジョン全体に流せば異物が分かるはず。

 探索魔法を使う時の要領で、ダンジョンに魔力を流し反応を見る。

 ———んん? 分からない。
 異物のような魔力が反応しない。

 必死に魔力を流し、何度も試みていたら。

「ソフィア様? 何をしているのですか?」
「シャルロッテ!」

 私にも手伝わせて下さいと、シャルロッテがやってきた。その周りには他のみんなも集合している。
 心配そうな顔をして。

「…………あ」

 また悪い癖が出てしまった! 
 一人で解決しようと必死になっていた。
 こんな時こそみんなに相談して意見を聞いて、解決する方法を見出せる事だって出来たはずなのに。

 逆に心配をかけてしまった。

「あのね……」

 私は思いついた事をみんなに聞いて貰った。

 すると。

「それなら私の聖魔法を一緒に通すと、闇魔法は相反する力なので反応するかも知れませんね」

 シャルロッテがニコリと笑い私の手をとる。
 本当だわ! 授業で習ったばかり、相反する力は良くもあり悪くもあると。

「さすがシャルロッテ!」

 私はそのままシャルロッテをギュッと抱き寄せた。
「ひゃわっ!」

 するとシャルロッテの顔が桃色に染まり固まってしまう。
 しまった。興奮のあまり、きつく抱きしめ過ぎちゃったかな?

「シャルロッテ? 痛かった?」
 と言いながら顔を覗き込む。
「いっいいえ! いいえ全く」

 そう言うが、シャルロッテの顔はますます赤くなっていく。
「本当に大丈夫?」

「はいっ!」
 シャルロッテは真っ赤な顔をしながらも、元気に返事を返してくれた。

「そっそう? なら良いのだけれど……」

 よしっやってみるか!

「じゃあ……シャルロッテ。一緒に魔力を流そうね」
「はい」

 私の中にシャルロッテの優しい魔力が入ってくるのが分かる。
 それはシャルロッテも同じなのだろう。顔だけではなく全身が真っ赤になっている。

 二人の混ざった魔力を流すと……!?

 ———あった! 異質な場所がある!

「シャルロッテ!」
「はいっ」

 私たちはお互いを見合って、コクリと頷く。

 ある場所を見て。

 ある場所それは私が気になった銅像。

 それがルーンが封印されている場所だった。

 私たちはその異物に向かって魔力を流した。

「いっけえええええ!」

 ———次の瞬間。

 銅像が崩れ消失すると……中から黒く輝く妖精が現れた。





 ーーソフィア……見つけてくれてありがとう。






★★★


さてルーンは仲間になるのかな?

いつもエールありがとうございます。
エールを過去話にも下さっているのを見ると、このお話が良かったんだと分かったりするので、それも楽しいです。今の所サイドストーリーが好評かなと思っています。
なのでまた誰かのサイドストーリーを書こうかなと考えています。
誰のお話が読みたいですか?
 

 
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