141 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百八十九話 女神降臨
しおりを挟むゆっくり……ゆっくりと、みんなが待っている所へと、私は落ちて行っているんだけれど。
今の姿はと言うと。光の粒子を纏い、謎に光輝いている訳で……。
このまま下りると変な誤解を招きそうなのは、過去の経験上.......流石に鈍感な私でも分かる。
どうにかみんながいない場所に移動出来ないかと、必死に抗ってはみたのだけれど。
まぁ……どうにも出来ず。
何も出来ずに、下に降りていく。
「フィア!」
アイザック様やみんなの私を呼ぶ声が近い。
地上近くになったなと思った。
次の瞬間。
無重力に浮いていた私の体に負荷がかかり、いきなり降下する。そんな私をアイザック様が抱きとめてくれた。
ナイスキャッチって言いたいところだけど。
ギュッと抱きしめられて……恥ずかしさの方が勝ち、正直どうして良いのか分からず混乱し頭がパニック。
ふっふぅ~~。落ち着くのよソフィア。
まずは受け止めてくれたお礼を言わないと。
「アッ……アイザック様。ありがとうございます」
「フィア、心配していたんだよ? 無事で本当に良かった」
アイザック様が今にも泣きそうな目で私を見る。
すごく心配してくれていたのが分かる。
「ソフィア! お前っ良かっ……ったく。カッコいい登場だな」
アレス様がグシャリと私の頭を撫でる。
「アレス様…… 」
「ありがとうね。ソフィア。君のおかげでみんなが助かったよ」
「ファーブル様……」
「ったく。心配したんだからね。無事で良かった」
「ジーニアス様」
「ソフィア様……うう」
「シャルロッテ泣かないで?」
「良かったですぅ」
「ダイアナまで……心配かけてごめんね」
私の所にみんなが集まって、次々に声をかけてくれる。
シャルロッテとダイアナは泣きじゃくっていて、すごく心配をかけたんだなぁと。なんとも言えない気持ちになる。
いつもふざけていて、真面目な話をしないアレス様まで、真剣な目をして私を見ている……もちろんジーニアス様やファーブル様も。
みんなの顔を近くで見て、安心したのと同時にいっぱい心配をかけていたんだと、改めて実感する。
「あの? アイザック様。もう下ろしてくれますか?」
「ん? なぁに?」
アイザック様が少し悪戯な顔で微笑む。……むぅ分かっているくせに。
「……ちょっと恥ずかしいです」
「ふふ。分かった」
アイザック様がやっと下に下ろしてくれた。
「で? ソフィア? 一体何があったのか詳しく教えてくれるかい?」
「え? ええと」
やはりと言うか、アイザック様が鋭い質問を私に投げかける。
口元だけ笑って、目が笑ってないですよアイザック様。
私は身振り手振りを加えながら、私にあった不思議な出来事を皆に話した。
「王家の…….」
「お兄様これって」
アイザック様とジャスパー様が、王家のワードに反応している。
どうやら、二人は王家の過去の過ちを知っているようだ。
「そうか……これは過去の王家が残した闇だったんだね」
「僕らのせいでみんなやフィアを、危険にさらしてしまった」
二人がすごく落ち込んでいるのが見ていて切ない。だって二人が悪い訳じゃないのに。
悪いのは過去の王族!
「お二人が落ち込むことはないですよ!」
そう言うと二人が私を見て「でもね。過去とは言え全て王族のした事。過去だからって、そのせいで仲間達を危険な目にあわせんだ。許される事じゃない」と口を揃えていった。
私が見た過去は、二人の話を聞くかぎり約千年前の王族の話らしい。王族の人達は、今後同じような過ちを犯さない為に、この話を記された文献を、十二の年になるとみんな読むんだとか。
そういえば、昔アイザック様が本を読んで怖くて眠れなくなった。と話していたのはこの事だったんじゃと、ふと思ってしまった。
「ってことはだ。ソフィアは闇の妖精に助けられたって事か?」
黙って話を聞いていたアレス様が、ルーンについて聞いてきた。
「はい。そうなんです! 闇の妖精ルーンが力を貸してくれなければ、みんなをこんな風に助けることは、できなかったと思います」
そうだよ! 自分で言ってて思い出した。
ルーンが私を助けてくれたんだ。
これには意味がある。今度は私がルーンを助けるばん。
———この場所のどこかに……きっとルーンがいるんだ。
私が見つけてあげないと!
★★★
さてソフィアはルーンを見つけることができるのかな?
エールありがとうございます。私も好きな作家様にエールを送って見たのですが、三十秒って長いですよね。
そんな貴重な時間を私に使ってくれる事、本当に感謝です。
94
お気に入りに追加
11,663
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。