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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百八十四話 異変

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 【ダンジョン五階層】


 慌てて階段をおり、みんながいる五階層へと到着すると。

「これは……」
「おかしいですね」

 先生とジャスパー様が眉間に皺を寄せ、難しい顔で立っていた。

「何か様子が変ですね。どうしたんでしょう?」
「そうだね。何か異変があったのかもしれない。ちょっと先生の所に行って聞いてくるね」

 アイザック様はそう言うと、先生とジャスパー様の所に走って行った。
 そんな中、私に気付いたファーブル様とアレス様が、前から手をヒラヒラと振りながらやって来た。

「ソフィア。どうやらダンジョン内部がいつもと少し違うみたいなんだ」
「まぁ。大した事ないと思うけどな? なんかあっても俺が守ってやるから安心しろ」

 アレス様がガハハと笑い、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
 いつも通りで少しホッとしたけど、ラピスがセットしてくれた頭がボサボサになってしまった。
 
「みんな集合してくれる?」

 ソウ先生が手を大きく振りみんなを集める。
 何か分かったんだろうか?

「理屈は分からないんだけど、五階層の内部がいつもと違うんだ。本来であれば、四階層までと変わらない洞窟のはずなんだが。今日は地面が砂利に変化していて、さらに照明も薄暗い」

 確かに四階層までと違って、はるかに暗い。月明かりが照らしているよう。
 さっきまでは洞窟だというのに明るく、まるで太陽が照らしているようだった。
 足元だって、大小の小石に足が引っかかり少し歩き辛い。

「それくらいの事なんだけど、少し気になるし他にも異変があるといけないから、今日はこの五階層で切り上げることにしよう。ちょうど五階層には地上に出られるワープゾーンが奥にあるからね」

 「「「「ええーー」」」」

 先生のその言葉にクラスメート達からブーイングの嵐。
 私も最後の十階層まで行きたかったので、その気持ちはわかる。

 巻き戻る前はこんな事なかった。
 まぁ屑ソフィアが、アイリーン様を魔物に襲わせようとしたり色々合ったから、それを今の私がしないからだろうか?
 そもそもアイリーン様もダンジョンにいないし。
 

「みんな落ち着いて。何かあってからでは遅いんだ。僕はみんなを守る義務があるからね。また直ぐにリベンジしに来ようじゃないか。ね?」

 ソウ先生が直ぐにリベンジしに来ようと言ったので、納得したのかみんなは五階層の攻略に意気込んでいた。

「ソフィア様、今日の研修は五階層で最後になってしまいましたが、頑張りましょうね」

 シャルロッテが両手でガッツポーズをし、やる気をみなぎらせている。その横で同じくと言わんばかりにダイアナはうんうんと頭を上下に揺らしていた。

「そうだね。頑張ろう」
「「はい」」

 三人でアイザック様たちがいる所に向かって歩いていると、再び謎の声が聞こえてきた。

 ———すまじ……おうけの……

 え? 今王家って聞こえたんだけど!?

 どこから聞こえてるの!?

 周りを見回すもそれらしい物は見あたら……!? え? 
 暗くて気付かなかったけど、降りてきた階段近くにあんな石像あった?
 何だろう……すごく気になる。

 私はフラッと石像の方に歩いて行ってしまった。
 シャルロッテとダイアナに何も告げずに。

 近くで見ると気味の悪い石像だな。
 猿みたいな顔に翼が生えていて体はサイみたい。
 
 ———ミナゴロシ

 え? ミナゴロシって聞こえた。
 この銅像が喋ってるのかと思ったら違う。
 謎の声はどこから聞こえてるのか分からない。

「なんだこの銅像から聞こえて来たのかと思ったよ」
 
 さっきの皆殺しは聞き間違いよね?

 なんて思いながら再び銅像を見ると、猿の顔がギギギとゆっくり動き私を見つめた。

「うごっ!?」

 次の瞬間。猿の目が眩く光る。

「まぶしっ……」

 光の強さに思わず目を閉じる。
 再び目を開けると……私は透明の球体の中に、閉じ込められていた。
 それはシャボン玉のように宙をふわふわと浮いている。

 嘘でしょ!? 何で急にこんな事に!?

 叩こうが球体はピクリともしない。

 ———ミナゴロシ

 また聞こえた。やっぱり皆殺しって聞こえる。

 その時だった。

 地面から夥しい数のアンデットやスケルトンといった、死霊系の魔物が飛び出してきた。

 嘘でしょ!

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