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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百七十九話 平穏な日々

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「美味し♡ この卵焼きの味付け私好きだわ」
「うふふっ。気に入って頂けて嬉しいです。実はソフィア様が卵焼きは甘いのがお好きと言っていたので、作ってみました。甘いの美味しいですね」

 シャルロッテはそう言って卵焼きを口に含み微笑む。

 そんなシャルロッテを見て、また三人でのお弁当会が再開できて嬉しいな。
 なんて思いながらもうひと口卵焼きを口に放り込んだ。
 甘くてなんとも言えない幸せな旨味が、口いっぱいに広がる。

「しかし……まさかシルビア王女様が国外追放になるなんて驚きでしたね」

 私が卵焼きに幸せをこれでもかと感じていると、ダイアナが少し険しい顔でシルビア王女のことを話し出した。

「ごくんっ。確かにあの後そのまま会えなくなるとは、思わなかったけれど」

 あの後って言うのは、私を悪人に仕立て上げようとした魔法ペア練習のこと。

「私は国外追放だけではぬるいと思いますわ! だってソフィア様を陥れる為にペアまで無理やり組んで……もしあの場にファーブル様たちがいなかったらと考えると私はゾッとします」
「本当です! あんな悪巧みを考えていたなんて許せません」

「ダイアナ、シャルロッテ……その気持ちが嬉しいよ」

 まるで自分の事のように怒ってくれるダイアナとシャルロッテ。その姿を見るだけで、私はシルビア王女に対しての苛立ちの気持ちが、ちっぽけでどうでも良く思えてくる。

 そう言うと、二人口を揃えてソフィア様は甘いですわと少し呆れ気味に返されてしまった。

「ふふ。でも本当に良いのよ。私の代わりに二人が怒っってくれたから……ね?」

 私は二人に向かって、許してねと言わんばかりに悪戯に笑った。

「「はうっ!」」

「ソフィア様はずるいです」
「本当ですよ」

 可愛い二人が、頬をプクッと膨らませて拗ねる。
 本当幸せな時間が戻ってきてよかったなぁ。

 私が平穏となった日常での幸せを噛み締めている中、お父様たちは一ヶ月後にあるダンジョンでの実技練習について頭を悩ませていた。
 
 この時の私は、まさかダンジョンでの実技練習であんなことが起こるなんて、考えもしなかったのだ。

「さてと! 魔力調整頑張るぞ!」

 ダンジョン研修楽しみだな♪


★★★


 新年明けましておめでとうございます。
 昨年度は、ソフィアたちを愛読して頂き本当にありがとうございます。
 読者様のおかげで、こうやって長い連載を続けてこれたんだなと、つくづく感じております。
 本年度も皆様に楽しんでいただけるよう、更新頑張りたいと思います。
 まだまだ未熟な作者ではありますが2023年も頑張っていきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 2023年1月1日 大福金
 
 
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