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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百七十八話 それぞれの葛藤
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「じゃあみんな授業の続きをするよ~。元の位置に戻ってくださいね」
ソウ先生が両手をパンパンと叩いて、みんなに合図を送る。
シルビア様はいなくなっちゃったし……私はどうしたらいいのかな。
そんな私の気持ちを察したかのように。
「じゃあソフィアのペアは僕がするよ」
「ファーブル様……」
ファーブル様が、いなくなったシルビア王女の代わりに、ペアを組んでくれると言ってくれた。
頼もしい反面、プレッシャーも大きい。
だってファーブル様の前で、魔力調整の成功をした事ないから。
「ソフィア? どうしたのそんな顔して?」
「ふえ?」
いつのまにかファーブル様が至近距離まで近寄っていて、私の顔を覗き込んでいる。
「あっ……そのっ。また失敗しないか不安で」
「ふふっ。大丈夫だよ、僕が保証する。ソフィアは毎日頑張って練習していたじゃないか。さっきの石を浮かせるのだって及第点だよ?」
「……ファーブル様」
「ふふっそんな顔しない。ソフィアは笑っている方がいい」
クシャリと笑うと、ファーブル様は私の頭にポンと手を置いてぐしゃぐしゃに頭をなで「分かった? じゃあ僕と一緒に石の移動をしようか」と言って私の手を握りしめ、ソウ先生の所へと引っ張っていく。
たわいも無い事なんだけど、そんないつも通りのファーブル様の行動のおかげで、さっきまであった不安と緊張が遠のいて行く。
「次はファーブル君とソフィア君のペアだね。期待しているよ」
ソウ先生はそう言って私の肩を軽く叩き、大きな石の前に送り出してくれた。
これからこの大きな石を、百メートル先にある旗の所まで移動するのね。
練習の時のような、石を上に上げるだけじゃないからね。
今度は移動しないとダメなんだもん。うまくできるかな。
この本番を成功したペアは、アイザック様とジーニアス様のペアと、シャルロッテとダイアナのペア二組しかいない。
ようしっ! 私もみんなに続くんだ。
パンパンっと両頬を叩いて気合を入れる。
「頑張るぞ!」
そんな私の姿を見てファーブル様が
「ふふっソフィアは面白いね。みてて飽きないや」
などど言いながら、ファーブル様が見たこともないようなお顔で、優しく笑っていたなんて露知らず、私はメラメラと成功に向けて闘志を燃やすのだった。
★★★
「してアイザック、報告はそれで全てか?」
「はい。国王様これが全てになります」
国王は眉を顰めたまま固まっている。
「まさかこれがアイリーンの予言にあった一悶着だとは……。ヒロインというのはソフィア嬢を指す言葉だったとはのう」
国王は顎に手を置き、大きなため息を吐く。
「それはまだ定かではありませんが、今回の件ではソフィアがヒロインという謎の言葉に該当しただけですので」
国王の言葉をすぐさま否定するように、かぶせ気味に発言するジーニアス。
何故なら、ヒロイン=ソフィアと言う図式を認めたくないからだ。
ヒロインがソフィアとなってしまうと、アイリーンの予言道理ならヒロインとアイザックが結ばれる事になるので、それはどうしても避けたいジーニアス。
必死に否定する気持ちも分からなくはない。
逆にアイザックはというと、その方が嬉しいのでジーニアスの言葉を聞き、口をギュッと一文字に結ぶのだった。
「して……シルビア王女は今どこに?」
「流石に、一国の王女を牢屋に入れることはできませんので、今王城にある客間に閉じ込めています」
ジーニアスは、少し納得がいかないと言った表情で話す。
「なるほどのう。まずはこの事をグラードン国王に伝えねばな。その後処置を考えようか」
「はっ。まどろっこしい! 王女とはいえ小国の第二王女。それと比べれば格上である我が国の公爵家令嬢を……フィアを陥れようとしたんだ! 極刑が妥当だと思いますが?」
アイザックが少し興奮気味に国王に詰め寄る。
「まぁ落ち着けアイザックよ。其方の気持ちも分かるが、グラードン王国は同盟国じゃからの? まずは王の返事次第じゃ。まぁグラードン国王だってそんな馬鹿じゃあるまいて」
そう言うと国王は、何かを悟ったかの如くニヤリと意味ありげに笑った。
ソウ先生が両手をパンパンと叩いて、みんなに合図を送る。
シルビア様はいなくなっちゃったし……私はどうしたらいいのかな。
そんな私の気持ちを察したかのように。
「じゃあソフィアのペアは僕がするよ」
「ファーブル様……」
ファーブル様が、いなくなったシルビア王女の代わりに、ペアを組んでくれると言ってくれた。
頼もしい反面、プレッシャーも大きい。
だってファーブル様の前で、魔力調整の成功をした事ないから。
「ソフィア? どうしたのそんな顔して?」
「ふえ?」
いつのまにかファーブル様が至近距離まで近寄っていて、私の顔を覗き込んでいる。
「あっ……そのっ。また失敗しないか不安で」
「ふふっ。大丈夫だよ、僕が保証する。ソフィアは毎日頑張って練習していたじゃないか。さっきの石を浮かせるのだって及第点だよ?」
「……ファーブル様」
「ふふっそんな顔しない。ソフィアは笑っている方がいい」
クシャリと笑うと、ファーブル様は私の頭にポンと手を置いてぐしゃぐしゃに頭をなで「分かった? じゃあ僕と一緒に石の移動をしようか」と言って私の手を握りしめ、ソウ先生の所へと引っ張っていく。
たわいも無い事なんだけど、そんないつも通りのファーブル様の行動のおかげで、さっきまであった不安と緊張が遠のいて行く。
「次はファーブル君とソフィア君のペアだね。期待しているよ」
ソウ先生はそう言って私の肩を軽く叩き、大きな石の前に送り出してくれた。
これからこの大きな石を、百メートル先にある旗の所まで移動するのね。
練習の時のような、石を上に上げるだけじゃないからね。
今度は移動しないとダメなんだもん。うまくできるかな。
この本番を成功したペアは、アイザック様とジーニアス様のペアと、シャルロッテとダイアナのペア二組しかいない。
ようしっ! 私もみんなに続くんだ。
パンパンっと両頬を叩いて気合を入れる。
「頑張るぞ!」
そんな私の姿を見てファーブル様が
「ふふっソフィアは面白いね。みてて飽きないや」
などど言いながら、ファーブル様が見たこともないようなお顔で、優しく笑っていたなんて露知らず、私はメラメラと成功に向けて闘志を燃やすのだった。
★★★
「してアイザック、報告はそれで全てか?」
「はい。国王様これが全てになります」
国王は眉を顰めたまま固まっている。
「まさかこれがアイリーンの予言にあった一悶着だとは……。ヒロインというのはソフィア嬢を指す言葉だったとはのう」
国王は顎に手を置き、大きなため息を吐く。
「それはまだ定かではありませんが、今回の件ではソフィアがヒロインという謎の言葉に該当しただけですので」
国王の言葉をすぐさま否定するように、かぶせ気味に発言するジーニアス。
何故なら、ヒロイン=ソフィアと言う図式を認めたくないからだ。
ヒロインがソフィアとなってしまうと、アイリーンの予言道理ならヒロインとアイザックが結ばれる事になるので、それはどうしても避けたいジーニアス。
必死に否定する気持ちも分からなくはない。
逆にアイザックはというと、その方が嬉しいのでジーニアスの言葉を聞き、口をギュッと一文字に結ぶのだった。
「して……シルビア王女は今どこに?」
「流石に、一国の王女を牢屋に入れることはできませんので、今王城にある客間に閉じ込めています」
ジーニアスは、少し納得がいかないと言った表情で話す。
「なるほどのう。まずはこの事をグラードン国王に伝えねばな。その後処置を考えようか」
「はっ。まどろっこしい! 王女とはいえ小国の第二王女。それと比べれば格上である我が国の公爵家令嬢を……フィアを陥れようとしたんだ! 極刑が妥当だと思いますが?」
アイザックが少し興奮気味に国王に詰め寄る。
「まぁ落ち着けアイザックよ。其方の気持ちも分かるが、グラードン王国は同盟国じゃからの? まずは王の返事次第じゃ。まぁグラードン国王だってそんな馬鹿じゃあるまいて」
そう言うと国王は、何かを悟ったかの如くニヤリと意味ありげに笑った。
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