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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百七十一話 ヤッパリ……。
しおりを挟むーーソフィア! 頑張れっそんな的ぶっ壊しちゃえ。
ーーうむ。ソフィアなら余裕じゃの。
射的の前に立つ私に向かって、リルと精霊王様がぶっ壊せと応援してくれる。いやいやさすがにぶっ壊したらダメでしょ? それくらいは分かりますよ?
「ソフィア? あんまり力をこめたらダメだよ? 普通よりも弱めにね? 分かってる」
「アイザック様もちろん分かってます」
「本当に魔力は弱くて良いからね? 弱くだよ? 分かった?」
「ジーニアス様任せて下さい」
的に向かって魔法を放とうと、心の準備をしていたら、アイザック様とジーニアス様が慌てて駆け寄って来て、魔力を弱くしてと二人して注意して来た。
さすがに私も分かってますよ! 過去の経験上、全力の魔力を放出するのはマズイって。
もちろん加減をするつもりなんだけど、加減ってどうすれば……ええとたぶん……強く思わなければ良いのよね?
そう! 小さな水球を思い浮かべればいいんだよね。
「ではソフィアくん始めてくれ」
「はいっ!」
ソウ先生から合図され、笛の音がなる。
ええと……確かみんな《ウォーターガン》って詠唱していたよね、私もした方が良いよね? 私の場合は詠唱しなくても、願うだけで大丈夫なんだけど、みんなと違う事をしたら……ダメな気がする。
「ようっしいきます」
魔法はイメージが一番大事だと、授業で言っていた。ウォーターガンって言うくらいだから、水鉄砲で打つイメージだろうか? でもこの世界に水鉄砲はないから、また別なのかもしれないけど。まぁイメージは水鉄砲で良いよね?
前世で子供の頃に、お兄ちゃんと打ち合いをした水鉄砲をイメージして詠唱する。
《ウォーターガン》
ズドドドドドドガァァァァァァァンッ
「えっ……?」
消防車から出るような勢いの長い水の槍が、五本現れ的に向かって飛んで行くと、爆音と地響きの後に現れたのは粉々に壊れた的、更にはその後ろの壁さえも突き破って破壊していた。
「あっあれぇ!?」
水鉄砲をイメージしただけなのに!なんで消防車みたいな水が出ちゃったの!?
どうしよう……みんなの反応が怖くて後ろを振り返れない。
意を決して「えへへっ」っと苦笑いしながら振り返ると。
グラードン王女が、淑女としては有り得ない顔で私を見ていた。
驚きすぎたのか、口が開きすぎてマンガみたいな顔になって固まっている。本人は気付いてないのかな? 誰かに見られたら恥ずかしいですよ?
アイザック様とジーニアス様は真っ青な顔で頭を抱えている。
なんかすみません……あんなに弱くとか言われたのに。こんな事になってしまって。
本当に水鉄砲をイメージしただけなんです! あんな強そうな水鉄砲が出るなんて思ってもみなくて……。
誰もが固まり言葉を発してくれないので、私が困っていると拍手が聞こえてきた。
「すごいねソフィア。さすがだよ。まさかこんな事が出来るなんて! さすがに僕でも無理さ」
「本当にソフィア様は素晴らしい魔力の持ち主ですね」
ファーブル様とシャルロッテがニコニコと笑い拍手してくれていた。
ーーうむ。中々のもんじゃったぞソフィアよ。なんなら全て破壊するくらいでも面白いのに。
ーーやっぱりソフィアの魔力は最高だねっ! いい匂い。
精霊王様を背中に乗せたリルが、しっぽフリフリとやって来て足下に擦り寄る。
「ありがとう」
可愛いので頭をヨシヨシと撫でながら、再びみんなの方に目を向けると。
ファーブル様とシャルロッテ以外は呆然と固まり動かない。
どうにかこの状況の収集を付けて欲しくて、ソウ先生を見ると白目をむいて立ったまま気絶していた。
えええええ……。
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