嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

文字の大きさ
上 下
115 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百六十六話 アイザック驚愕

しおりを挟む

 朝一でアイザック様に会おうと、早めに屋敷を出て仕事をしてるであろう場所、生徒会室に向かう。

 扉をノックし中に入ると、案の定お兄様であるジャスパー様のお手伝いをしていた。

「あれっ? どうしたのフィア? こんな時間に生徒会室にに来るなんて珍しいね」

 仕事をやめ私の所に駆け寄るアイザック様。

「ええと……その」
「その?」

 困ったな。なんて言い出したら良いのかな。いきなり私と婚約解消したいんですか? って聞くのもあれだし……ジャスパー様に聞かれてもいいのかな? 

「アイザック様に少し? いやかなり大事なお話がありまして」

「えっ!? 僕にかなり大事なお話だって!?」

「はっはい」

「……そっそう」

 そう言うとアイザック様は口に手を当て、なにやら独り言をブツブツと言っている。声がぐぐもって何を言っているのかは全く聞こえない。

「……まさかっ(仮)をなくして正式に婚約を結んでくれとか?! いやいや落ち着けアイザック! ぬか喜びはまだ早い。ソフィアの事だ何か別の……でももし……」

 少し耳を赤く紅潮させ、まだ何やら呟いているアイザック様。これじゃ真面目に話が出来ないよう。

「あのうアイザック様?」

 アイザック様の肩を軽く触れる。

「ひやぁっ!?」

 するとアイザック様は驚き、後ろに一歩後退りする。

「あっすみません。そんなに驚かすつもりはなくてっ」

「こっこちらこそ……すまない」

 そんな私たちの様子を見ていたジャスパー様が「あはは、何をやってるんだよ? (仮)でも一応婚約者だろ?」っとヤレヤレと言った、少し呆れた目で私たちを見る。

「とりあえず邪魔者は退散するよ。二人仲良く話し合いしたまえ」

 ジャスパー様は右手をヒラヒラと軽く振ると、生徒会室から出て行ってしまった。

「「………………」」

 ジャスパー様が出て行き、何故か変な緊張感がはしる。

 でも今なら二人っきりだし、アイザック様に聞きやすい。よしっ! 聞いてみよう。

「あのう……アイザック様」
「なんだい?」
「ええと婚約(仮)についてなんですが」
「へっ? やっぱり!?」
「やっぱり?」

 アイザック様はやっぱりと言った。やはり解消したいんだろうか?

「あの……私と婚約解消したいんですよね?」
「(仮)をなくして正式に婚約するんだよね?」

 私たちは同時に発言する。でも内容は全く違っていて……

「「えっ?!」」

 アイザック様の顔色がみるみる青ざめていく。

「あっあのフィア? 今婚約解消したいって聞こえたんだが……聞き間違いかな?」

「いえっ聞き間違いなどではなく、そう言いました」
「へっ?! フィアは婚約解消したいの?」
「私がと言うよりもアイザック様がですよね?」
「僕が?」
「はい」
「フィアと?」
「はい」

「…………」

 アイザック様は右手で頭をクシャクシャにし、はぁーっとため息をついたあと「僕がそんな事を思う訳ないだろう」と言って私を抱きしめて来た。

「えっ?」

「ねぇフィア? どうしてそんな事を思うの? 僕がどれほど君の事を好きか分からないの?」

 アイザック様が私を強く抱きしめ、私の事を好きだと言う。急にそんな事を言われ脳内が理解不能になり、自己処理が追いつかない。
 その上そんなに強く抱きしめられると、ドキドキして何も考えられない。

「ねぇフィア? 答えて? なんでそんな事言うの?」
「あっ……あのっ。だって……グラードン王女が言ってたんです。アイザック様が私と婚約解消したがっていると」
「……グラードン王女が?」
「はい……だから、アイザック様がお嫌なら、解消した方が良いのかなと思いまして……」
「……ふうん。グラードン王女がね。なるほどね」

 アイザック様はそう言うと、一瞬凄く冷淡な表情になるも、直ぐに私を見つめ。

「ねぇフィア? これだけは覚えておいてね? フィアが僕の事を嫌いにならない限り、婚約解消するつもりはないからね? 僕から婚約解消するなんて事は絶対に有り得ない、分かった?」

 アイザック様は言い終えると、おでこをコツンとくっ付けてきた。

 あうっ。お顔が近くて何も考えられない。

「フィア? 分かった?」

 質問されるも緊張で胸が早鐘を打ち、私はまともに見る事も出来ず、ただ「はい」と答えるのが精一杯だった。

「グラードン王女か……」

 訳の分からない緊張で、ドキドキしている私とは正反対に、アイザック様の表情がどんどん凍りついているなんて、この時の私は気付きもしなかった。

「…………僕のフィアにとんでもない誤情報を伝えるなんてね。お仕置きが必要だね」

「えっ? なんて?」

「ん? なんでもないよ」

 そう言うと再び私をギュッと抱きしめるのだった。

「はわっ!!」
しおりを挟む
感想 848

あなたにおすすめの小説

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。