107 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百五十九話 帰って来た
しおりを挟む「ソフィア様、おはようございます」
「............むにゃ」
「今日は学校に行くんですよ? 起きて下さい」
んと......誰かが私に話しかけてくる。ええと......今はリルのふわふわの被毛を堪能してるんだから......邪魔しないで............!?
んん? リルって黒かったっけ? 手を伸ばし感触を再確認する。あれえ? こんな触り心地ではなかったような......?
「ソフィア様。くすぐったいですよ」
くすぐったい?
「はわっ!?」
「おはようございます、ソフィア様」
「ラピス......おはよう」
可愛いリルの腹毛に顔を埋めると言う、至高極まりない極上の夢から目覚めると、ラピスの美しい漆黒の瞳が私を見つめていた。
私は寝ぼけてリルと思ってラピスの頭を撫でていたらしい。恥ずかしくて手を慌てて退ける。
「ふふっやっと脳がスッキリしてきましたか?」
ラピスがふわりと優しく笑う。無自覚なんだろうけど、その笑顔は破壊的にヤバいです。みんなを蕩けさせる力があるから。
久しぶりに見た、破壊力満点のラピスの笑顔に同様しながらも、何食わぬ顔を必死に作って返事を返す。
「うっうん.」
「では身支度をしましょうか」
ラピスはそう言って私を椅子に座らせると、髪を優しくといてくれる。
誰かに髪を触られるのは、久しぶりで少し緊張してしまう。
「ダメですね。ソフィア様? せっかくの綺麗な髪が傷んでいますね」
「えっ? そう?」
「キューティクルに損傷がありますし、毛先のダメージも激しいですね。こんな事なら僕も一緒ついて行ったら良かった」
ラピスはひと束の髪を優しく掴み取ると、そのまま口付けを落とす。
「えっ!? ラピス?」
「なんですか? ソフィア様の髪がもと通りになりますよううにと願掛けですよ?」
「願掛け!? あっそっそう......」
ラピスあのね? 願掛けにしては凄く距離が近いと言うか......久しぶりで緊張するというか......。
でもまぁ帰って来たんだよね。
私は昨日の深夜に、グレイドル邸にお父様と一緒に帰ってきた。
あの後孤児達と少しだけ遊んで、お別れの挨拶を交わし、馬車に乗りこみ帰って来た。
疲れてたのか、馬車ではいつの間にやら寝ちゃってて、目が覚めるとお父様に膝枕をされていた。
お屋敷に戻ると、お母様の酷く心配している姿を見て、もう少しこまめに連絡したら良かったと反省した。
いつも通りに美しいしいのだけれど、その姿はさらに痩せ目の下にはクマが出来ていた。
ごめんなさいお母様。
私はとっておきの癒しデトックスティーを作り、お母様にプレゼントしたのだけれど、この時にまた体が発光し、後から「あんなに注意したのにフィアたんはもう忘れたの?」っと再びお父様に怒られる事になる。はぁ。
「はい。完成だよ」
「あっ......!」
ひとり悶々と考え事をしていたら、ラピスが綺麗に髪型をセットしてくれていた。いつも見慣れた自分の姿なのに、見惚れてしまうほどに美しい。
さすがはラピス。
「さぁソフィア様、学園に行く準備もしましょうね」
リリが制服を持って部屋に入って来た。
「リリ! おはよう」
「ご無事に帰って来られて私は安心しましたよ」
リリもお母様と同様、少し痩せ目の下にクマが出来ていた。心配かけてごめんね。
リリをギュッと抱きしめると、慌ただしく朝の準備が始まった。なんだろう、毎朝の習慣だったのにこれも懐かしい。
今日は久しぶり学校。楽しみだな。
110
お気に入りに追加
11,663
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。