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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百五十九話 帰って来た

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「ソフィア様、おはようございます」
「............むにゃ」
「今日は学校に行くんですよ? 起きて下さい」

 んと......誰かが私に話しかけてくる。ええと......今はリルのふわふわの被毛を堪能してるんだから......邪魔しないで............!?

 んん? リルって黒かったっけ? 手を伸ばし感触を再確認する。あれえ? こんな触り心地ではなかったような......?

「ソフィア様。くすぐったいですよ」

 くすぐったい?

「はわっ!?」
「おはようございます、ソフィア様」

「ラピス......おはよう」

 可愛いリルの腹毛に顔を埋めると言う、至高極まりない極上の夢から目覚めると、ラピスの美しい漆黒の瞳が私を見つめていた。

 私は寝ぼけてリルと思ってラピスの頭を撫でていたらしい。恥ずかしくて手を慌てて退ける。

「ふふっやっと脳がスッキリしてきましたか?」

 ラピスがふわりと優しく笑う。無自覚なんだろうけど、その笑顔は破壊的にヤバいです。みんなを蕩けさせる力があるから。
 久しぶりに見た、破壊力満点のラピスの笑顔に同様しながらも、何食わぬ顔を必死に作って返事を返す。

「うっうん.」
「では身支度をしましょうか」

 ラピスはそう言って私を椅子に座らせると、髪を優しくといてくれる。

 誰かに髪を触られるのは、久しぶりで少し緊張してしまう。

「ダメですね。ソフィア様? せっかくの綺麗な髪が傷んでいますね」
「えっ? そう?」
「キューティクルに損傷がありますし、毛先のダメージも激しいですね。こんな事なら僕も一緒ついて行ったら良かった」

 ラピスはひと束の髪を優しく掴み取ると、そのまま口付けを落とす。

「えっ!? ラピス?」
「なんですか? ソフィア様の髪がもと通りになりますよううにと願掛けですよ?」
「願掛け!? あっそっそう......」

 ラピスあのね? 願掛けにしては凄く距離が近いと言うか......久しぶりで緊張するというか......。

 でもまぁ帰って来たんだよね。

 私は昨日の深夜に、グレイドル邸にお父様と一緒に帰ってきた。
 あの後孤児達と少しだけ遊んで、お別れの挨拶を交わし、馬車に乗りこみ帰って来た。
 疲れてたのか、馬車ではいつの間にやら寝ちゃってて、目が覚めるとお父様に膝枕をされていた。

 お屋敷に戻ると、お母様の酷く心配している姿を見て、もう少しこまめに連絡したら良かったと反省した。
 いつも通りに美しいしいのだけれど、その姿はさらに痩せ目の下にはクマが出来ていた。
 ごめんなさいお母様。
 私はとっておきの癒しデトックスティーを作り、お母様にプレゼントしたのだけれど、この時にまた体が発光し、後から「あんなに注意したのにフィアたんはもう忘れたの?」っと再びお父様に怒られる事になる。はぁ。

「はい。完成だよ」
「あっ......!」

 ひとり悶々と考え事をしていたら、ラピスが綺麗に髪型をセットしてくれていた。いつも見慣れた自分の姿なのに、見惚れてしまうほどに美しい。
 さすがはラピス。

「さぁソフィア様、学園に行く準備もしましょうね」

 リリが制服を持って部屋に入って来た。

「リリ! おはよう」
「ご無事に帰って来られて私は安心しましたよ」

 リリもお母様と同様、少し痩せ目の下にクマが出来ていた。心配かけてごめんね。
 リリをギュッと抱きしめると、慌ただしく朝の準備が始まった。なんだろう、毎朝の習慣だったのにこれも懐かしい。

 今日は久しぶり学校。楽しみだな。
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