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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百五十八話 お父様の......
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「ねぇフィアたん? 孤児院に温泉を作ったんだって?」
「えっ……ええと」
お父様の瞳は全てを見透かしているように、私をジッっと見つめる。ううっ……こんな時は下手に言い訳をしても、無駄だとの圧をビリビリと感じる。
はい。お父様、私だって学習してますから、言い訳なんてしませんよ。
「なんでそうなったかと言いますと、孤児院に食べ物を寄付しに行ったんです」
「うんうん。それはいい事だね」
食べ物を寄付しに行ったと言うと、お父様は優しく微笑み頭を撫でてくれる。良かったこれはお説教じゃない予感。
「その時に見た、孤児院にいた子供たちの様子があまりにも酷い状況だったので......」
「みたいだね」
少し悲しげに返事を返してくれるお父様。
きっと自分もその事が気付けずに、長い間放置してしまった事を悔やんでいるんだろう。
「それで食事を作って食べて貰って、お風呂にもほとんど入れてないような感じでしたので......みんなでワイワイと楽しく入れる、大きなお風呂があれば良いなぁって思って、みんなが協力してくれて温泉が完成しました」
「そうかい。それは素晴らしいね。お父様もフィアたんが作った温泉がみたいな」
「それは是非! 私もこの街を旅立つ前に、もう一度孤児院に遊びに行きたいと思ってました」
「よし、じゃあ朝食を食べたら孤児院に行こうね」
にこにこ笑顔で食事を食べだすお父様。あれっ? 終わり? 変に勘繰り過ぎちゃった。でもそりゃそうだよね、良い事したんだもの。なんだぁ、心配し過ぎちゃった。
★★★
孤児院に着くと、建物の修繕を職人さん達が集まり作業してくれていた。「お疲れ様です」と挨拶した後、「喉が乾いた時にこちらのデトックスティーを飲んで下さいね」と渡した。
なぜだかその後、職人さん達から女神様、ありがとうございますと感謝されてしまった。あれぇ? どうして職人さんにまで女神様扱いされちゃうの? まさかあの銅像のせいじゃ......むう! 深く考えないようにしよう。
「この大きな浴槽はノームに頼んで作って貰ったんです。素敵でしょう? この広い洗い場などは、アイザック様が手配してくれた職人さんたちが作ってくれました」
孤児院につくと私は、お父様に意気揚々と説明をしている。だっていかに素晴らしいかを伝えたくって。
「どうですか?」
「ええとだね? フィアたん? まず......うん。凄いことをしたね。賢いね」
「ふふっ」
お父様が褒めてくれるのが嬉しくて、ついニマニマしてしまう。
「だがねフィアたん?」
「ふぇ?」
あれっ!? お父様の声色が変わるこれはお説教の時に......!
「あの浴槽の話をアイザック殿下から聞いた時は半信半疑だったんだよ。私はね?」
「はっはい」
お父様は何が言いたいんだろう。浴槽が半信半疑?
「あのレベルの陶器は市場には出回ってないよ。純度が高く素晴らしい。それをあの大きさだよ? 誰も作れない。あれは国家機密になりえる浴槽なんだよ」
「国家機密って! そんなっ」
だってノームがちょちょいって作ってくれたから、そんなに凄い陶器で作られた浴槽とは思わなかったんだもの。
「あんなのが孤児院にあるってバレたら、窃盗団の餌食になってしまう。言ってる意味が分かるかい? それはすなわち、孤児達を危険に晒す事になるんだよ?」
「あっ!」
「分かったかい?」
孤児院を良くするつもりが、逆に危険に晒しちゃうなんて、はぁ何て私は考えなしなんだろう。
きっとアイザック様達は、鑑定して分かっていたんだ。でも私が嬉しそうだから何も言えなくて......自己嫌悪すぎる。
「フィアたん。そんな顔しないで? あの浴槽はお父様が、鑑定で見ても分からないように、隠蔽魔法で普通の良くある安い物に見える様にしておくから。それだと普通のお風呂にしか見えないよ。まぁちょっと大きいけどね」
「お父様!」
くしゃりと破顔するお父様に私はギュッと抱きついた。
「ありがとうございます。今度からもっと気を付けます」
「そうだね。分かってくれたら良いよ」
さすがはお父様だ。頭が上がらない。それにアイザック様とジーニアス様も、お父様にチクリやがってなんて少し思っちゃってごめんなさい。話してくれて本当に感謝です。
お父様に抱きつきながら一人反省していると「女神しゃま、遊びに来たん?」「こんちわ」っと後ろから声をかけられる。
振り返るとシスター・ルネと子供たちが周りに集まって来ていた。
わっ! お父様に抱きついている所を見られちゃった! 恥ずかしい。
「女神様、昨日は死にかけていた私を助けてくれてありがとうございます」
「ええっ昨日お礼を言ってくれたからもう十分です」
「ですが、改めて感謝の気持ちを伝えたくて」
私達の会話を静かに聞いていたお父様が「ええと......シスター・ルネと言ったかい? 君はソフィアに助けて貰ったの?」と割って入ってきた。
「はいっ! そうなんです」
「そなの! 女神様キラキラって光ってね」
「ルネもキラキラしてね」
「きれえだった」
子供たちまで一緒に、昨日の事を楽しそうに話してくれるんだけど、ええとキラキラとかはまずいんじゃないかなぁ......
「ふぅんキラキラねぇ......これは詳しく聞かせて貰おうかな? ねっフィアたん」
「ひっ!」
お父様? 目が笑ってないですよ?
「ちょっと向こうでゆっくりと話しをしようか?」
「あう......」
この後、ながーいお説教が始まったのは言うまでもない。トホホ。
★★★
朝は間違って短いお話を公開してしまってすみません💦m(_ _)m
「えっ……ええと」
お父様の瞳は全てを見透かしているように、私をジッっと見つめる。ううっ……こんな時は下手に言い訳をしても、無駄だとの圧をビリビリと感じる。
はい。お父様、私だって学習してますから、言い訳なんてしませんよ。
「なんでそうなったかと言いますと、孤児院に食べ物を寄付しに行ったんです」
「うんうん。それはいい事だね」
食べ物を寄付しに行ったと言うと、お父様は優しく微笑み頭を撫でてくれる。良かったこれはお説教じゃない予感。
「その時に見た、孤児院にいた子供たちの様子があまりにも酷い状況だったので......」
「みたいだね」
少し悲しげに返事を返してくれるお父様。
きっと自分もその事が気付けずに、長い間放置してしまった事を悔やんでいるんだろう。
「それで食事を作って食べて貰って、お風呂にもほとんど入れてないような感じでしたので......みんなでワイワイと楽しく入れる、大きなお風呂があれば良いなぁって思って、みんなが協力してくれて温泉が完成しました」
「そうかい。それは素晴らしいね。お父様もフィアたんが作った温泉がみたいな」
「それは是非! 私もこの街を旅立つ前に、もう一度孤児院に遊びに行きたいと思ってました」
「よし、じゃあ朝食を食べたら孤児院に行こうね」
にこにこ笑顔で食事を食べだすお父様。あれっ? 終わり? 変に勘繰り過ぎちゃった。でもそりゃそうだよね、良い事したんだもの。なんだぁ、心配し過ぎちゃった。
★★★
孤児院に着くと、建物の修繕を職人さん達が集まり作業してくれていた。「お疲れ様です」と挨拶した後、「喉が乾いた時にこちらのデトックスティーを飲んで下さいね」と渡した。
なぜだかその後、職人さん達から女神様、ありがとうございますと感謝されてしまった。あれぇ? どうして職人さんにまで女神様扱いされちゃうの? まさかあの銅像のせいじゃ......むう! 深く考えないようにしよう。
「この大きな浴槽はノームに頼んで作って貰ったんです。素敵でしょう? この広い洗い場などは、アイザック様が手配してくれた職人さんたちが作ってくれました」
孤児院につくと私は、お父様に意気揚々と説明をしている。だっていかに素晴らしいかを伝えたくって。
「どうですか?」
「ええとだね? フィアたん? まず......うん。凄いことをしたね。賢いね」
「ふふっ」
お父様が褒めてくれるのが嬉しくて、ついニマニマしてしまう。
「だがねフィアたん?」
「ふぇ?」
あれっ!? お父様の声色が変わるこれはお説教の時に......!
「あの浴槽の話をアイザック殿下から聞いた時は半信半疑だったんだよ。私はね?」
「はっはい」
お父様は何が言いたいんだろう。浴槽が半信半疑?
「あのレベルの陶器は市場には出回ってないよ。純度が高く素晴らしい。それをあの大きさだよ? 誰も作れない。あれは国家機密になりえる浴槽なんだよ」
「国家機密って! そんなっ」
だってノームがちょちょいって作ってくれたから、そんなに凄い陶器で作られた浴槽とは思わなかったんだもの。
「あんなのが孤児院にあるってバレたら、窃盗団の餌食になってしまう。言ってる意味が分かるかい? それはすなわち、孤児達を危険に晒す事になるんだよ?」
「あっ!」
「分かったかい?」
孤児院を良くするつもりが、逆に危険に晒しちゃうなんて、はぁ何て私は考えなしなんだろう。
きっとアイザック様達は、鑑定して分かっていたんだ。でも私が嬉しそうだから何も言えなくて......自己嫌悪すぎる。
「フィアたん。そんな顔しないで? あの浴槽はお父様が、鑑定で見ても分からないように、隠蔽魔法で普通の良くある安い物に見える様にしておくから。それだと普通のお風呂にしか見えないよ。まぁちょっと大きいけどね」
「お父様!」
くしゃりと破顔するお父様に私はギュッと抱きついた。
「ありがとうございます。今度からもっと気を付けます」
「そうだね。分かってくれたら良いよ」
さすがはお父様だ。頭が上がらない。それにアイザック様とジーニアス様も、お父様にチクリやがってなんて少し思っちゃってごめんなさい。話してくれて本当に感謝です。
お父様に抱きつきながら一人反省していると「女神しゃま、遊びに来たん?」「こんちわ」っと後ろから声をかけられる。
振り返るとシスター・ルネと子供たちが周りに集まって来ていた。
わっ! お父様に抱きついている所を見られちゃった! 恥ずかしい。
「女神様、昨日は死にかけていた私を助けてくれてありがとうございます」
「ええっ昨日お礼を言ってくれたからもう十分です」
「ですが、改めて感謝の気持ちを伝えたくて」
私達の会話を静かに聞いていたお父様が「ええと......シスター・ルネと言ったかい? 君はソフィアに助けて貰ったの?」と割って入ってきた。
「はいっ! そうなんです」
「そなの! 女神様キラキラって光ってね」
「ルネもキラキラしてね」
「きれえだった」
子供たちまで一緒に、昨日の事を楽しそうに話してくれるんだけど、ええとキラキラとかはまずいんじゃないかなぁ......
「ふぅんキラキラねぇ......これは詳しく聞かせて貰おうかな? ねっフィアたん」
「ひっ!」
お父様? 目が笑ってないですよ?
「ちょっと向こうでゆっくりと話しをしようか?」
「あう......」
この後、ながーいお説教が始まったのは言うまでもない。トホホ。
★★★
朝は間違って短いお話を公開してしまってすみません💦m(_ _)m
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