上 下
104 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百五十六話 女神ソフィア降臨

しおりを挟む
「ルネー!」
「きょはお顔が青くないね」
「もう元気なにょ?」
「ルネどこにいたの!?」

 シスター・ルネを連れて中庭に行くと、子供たちが楽しそうに集まって来た。心配していたのかな? 元気な姿を見て安心している子もいる。

「みんな心配かけてごめんね。もう私は元気ですから、これも全て女神ソフィア様のおかげです」

 シスター・ルネがウットリと私を見つめてくる。こうなると、もうどう否定してもダメな気がするんだけれど。

「あっあはは……」

 対応に困り別の場所に目を向けると

「あれ?」

 中庭にさっきまで無かった遊具が完成している。いつのまにあんな物が出来上がったの?
 その遊具で仲良くワイワイと楽しそうに遊んでいる子供達。
 そして温泉の横に……!?

「ブーッ!?」

 ちょちょっ!? あの銅像は何!? なんとなく……気の所為かもしれないけれど……私に似てない?

 私が銅像を凝視しているとシャルロッテが少し得意気な顔で「素敵でしょう? 女神ソフィア像をお願いして一緒に作ったんです♡」と言ってきた。

 私がシスター・ルネを回復させたりしていた時にそんな事をしてたのかぁ! ちょっとシャルロッテ? それは褒める案件じゃないからね?

 シャルロッテに流石にこれはやり過ぎだよと、ダメだしをしようとするも、ワンコがいい事したよ? ほめて? ほめて? と訴えるような目で私を見てくるので言葉に詰まってしまう。

「ぐっ……」

 そんな可愛い目で見る子にダメだしなんて……出来るはずない。いたら教えて欲しい。
 もうシャルロッテに耳と尻尾が付いているように見えてきた。

「いっ良いんじゃあないかなぁ……はっははっ」

「ですよね! お顔に一番拘りまして、この美しい銅像が完成したのです」

 シャルロッテはこの銅像を作るのに、如何に拘り完成させたかを延々と話してくれた。もちろんその話を聞きながら私が悶え苦しんだのは言うまでもない。

「ソフィア、あの遊具見てくれた? どう思う?」
「やはり遊具を作ったのは、ジーニアス様でしたか!」
「まぁ僕一人ではそんな直ぐに作れないからね、職人達にも手伝って貰ったけどね」

 ジーニアス様は遊具を見ながら、少し照れくさそうに話してくれる。いやいや本当に凄いですよ。

「子供達が笑顔になれる場所を作れるなんて、ジーニアス様は凄いですよ、私はそんな事思いつか無かったので尊敬します」

「わわっ大した事じゃないからさっそんなに褒めないでくれよ。…………照れる」

 ジーニアス様は右手で自分の目を覆い、黙ってしまった。頬が赤くなっているのが手の隙間から見える。そんな姿を見ると、なぜだか自分まで恥ずかしくなってきた。

 うん。こんな時はこの場を離れよう。それが一番、そうだ遊具を近くで見て見ようかな。

 ジーニアス様が作った遊具は、前世で言う所の滑り台やブランコなどが合体した、色々なアスレチックが楽しめる大きな遊具。

「凄いなぁ……こんなのが作れるんだなぁ」

 マジマジと見ていると、遊具で遊んでいた子供達が私の所に集まってきた。

「女神ソフィア様、一緒に遊ぼ」
「あちょぼ!」
「ねっ?」

 くぅなんて可愛いおねだりなの! これを断れる人がいるなら教えて欲しい。

「よーしっ遊ぼっか」
「「「わぁぁーい♪」」」

 この後、ヘトヘトになるまで子供達と遊具を楽しむことになるなんて、そして翌日足がプルプルする事になるなんて、この時の私は思いもよらないのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。