嫌われ者の【白豚令嬢】の巻き戻り。二度目の人生は失敗しませんわ!

大福金

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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百五十五話 やっぱりこうなる

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 イヤシデアール侯爵様の時と同様に、私は心を込めてグラスに水を注いだ。
 体が回復する美味しいお水になあれと強く願って。

「よし……出来た」

 後はこれをシスターに飲ませてあげれば、イヤシデアール侯爵のように元気になってくれるはず。子供達にもう大丈夫だからね? と目配せすると。

……ん? 子供達がプルプルと震えている。急にどうしたんだろう?

「めっ女神しゃん……ピカッて」
「キラキラ綺麗……」

 キラキラ綺麗? ん? 

「ああーーっ! また体が発光してる!」

 そうか……癒しの魔法を使うと、稀にじゃなくて絶対に光り輝くんだ。うわぁ……これは今後魔法を使う時要注意だわ。

 発光しているのは気になるけれど、先ずは早くコレをシスターに飲んで貰わないと。

 横たわっているシスターの体を少し抱き起こし、ゆっくりとグラスを傾けると口に少しずつ流し入れていく。するとシスターの口が癒しのお水エリクサーをゴクリと飲み込む。

「シスター・ルネが光った」
「わぁ! 女神様とおんなじっ」

 イヤシデアール侯爵の時と同様にシスター・ルネの体が光り輝いていく。

 よし! これでもう大丈夫なはず。

 私はシスター・ルネの体を抱き抱えたまま、その様子を見守っていると、ゆっくりと瞼が開いて行く。

「……………………?!」

 シスター・ルネと目が合った。なぜ私に抱きかかえられてるのか、全く理解出来ないんだろう。
 瞳がキョロキョロと泳ぎ、動揺しているのが分かる。
 目が覚めたと思ったら、知らない女性に抱きかかえられてたら、そりゃ怖いよね。

「……天使様?……女神様?」
「……えっ? ん?!」

 今私の事を天使様とか女神様だとか言わなかった?

「ルネ! 女神様だよ」
「そう! 女神様!」
「女神様がシスター・ルネを助けてくれたんだよ」

 目を覚ましたシスター・ルネに子供達が駆け寄り、口々に私の事を女神様だと説明する。

 こんなに輝いた状況で言われちゃったら、そりゃもうそう思うよね。

「女神様が私を?」
「そうよ!」
「ああああっ」

 シスター・ルネは私から慌てて離れベッドの上で平伏した。

「女神様! ご慈悲を頂きありがとうございます! 貴方様は女神リリア様でしょうか?」

 ん? 私の事をあの駄女神と間違えている? あの女神リリアには良い思い出がないんだから一緒だとは思われたくない。

「ええと……私は女神リリア様ではなくて、ソフィアと言います」

「「そうよ! 女神ソフィア様」」

 私が名前を名乗ると、子供達が声をハモらせだと強調する。

 ええと……ただのソフィアで良いのだけれど。

「女神ソフィア様でしたか! 失礼しました」

 おおうっ、シスターに女神認定されてしまった。子供達はまだいいけれど、シスターにまで女神扱いされるのはちょっと騙している様な……私は女神様でもなくてただのソフィアだし。否定をちゃんとしないと。

「あのっ……シスター・ルネ」
「はいっ、女神ソフィア様なんでしょう?」
「ええとね? 私はめがっ」
「ソフィア様! ここにいたんですね! 急に外にまで神々しい光が現れて!」
「えっちょっとシャルロッテ? あのね?」

 否定をしようとしたら、興奮気味のシャルロッテが、勢いよく扉を開け部屋に入ってきた。
 この興奮具合はやばい気がする。シャルロッテ? お願いだから変な事だけは言わないでね? 落ち着いて貰わないと……。

「あの……ね? シャルロッテ」
「はい。またその神々しい女神ソフィア様の姿を見れるなんて私は感激です」

 うん? ええとねシャルロッテ? 女神ソフィア様って言っちゃってるよ? 今その発言は誤解を招くからね?

「シスター様、女神ソフィア様に助けて頂いたんですね。とても幸せな事ですね」
「はい! そうなんです、嬉しくて興奮のあまり震えが収まりません! 実際の女神様のご尊顔がこんなにも美しいなんて! 感激しております」
「はい! そのお気持ち分かりますわ」

 シャルロッテとシスター・ルネが手を取り合って、いかに女神ソフィアが素晴らしいかを語っている。私そっちのけで。
 ええと、止めて貰っていいですか?

 ちょっと……この恥ずかしい状況は……今すぐこの場を逃げ出したいレベルです。

 

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