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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百五十三話 温泉

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「ねぇねぇ天使のお姉ちゃん? これは何?」
「ふぇっ? 天使のお姉ちゃん? 私が?」

 完成したばかりの温泉を、ワクワクしながら見ていると、子供達が三人やって来て私に向かって天使といった。天使って……どういう事!?

「だってお姉ちゃんは神様が僕達に遣わしてくれた天使様でしょう? あっそうか、じゃあ女神様?」 

 可愛く首をコテンッと傾げ、とんでもない質問を投げて来た可愛い子供達。ええとね? 私は天使でも女神でもないですよ? これはちゃんと誤解を解かないと。

「あのね? わたっ」
「さすがですね? ソフィア様が女神である事を見抜くなんて! あなた達はなんて賢いの!」

 私が否定しようと言葉を発言したら、かぶせ気味にシャルロッテが子供達にとんでもない爆弾発言を投下する。ちょっとシャルロッテ!? 急に何を言い出しちゃってるの?

「やっぱり! 女神様なんだね」
「そうですよ。女神ソフィア様のおかげでこんなに素敵な温泉が完成したんですよ!」
「「「温泉!?」」」
「温泉って言っても分かり辛いですね。まぁ大きなお風呂とでも思って頂ければ」
「「「大きなお風呂!」」」

 あっあのう……シャルロッテ? なぜに女神様で話を進めてるの? 「私ちゃんと子供達に説明しましたよ? 褒めて下さい♡」と訴えかけるキラキラした瞳で、私を見てるけれどね? それは全く違うからね? 

「ええと……それは全くのごかっ」
「じゃあ一緒にお風呂に入ろうよう!」
「せっかくみんなで入れる大きなお風呂なんだろ!」
「女神様も一緒に入りたいよう」

 否定しようとしたら、今度は子供達にかぶせ気味言葉を発言され、否定するタイミングを逃してしまう……このままじゃまた、キィ村の様になっちゃう! それだけは避けないと!

 一人うんうん唸っていたら、子供達が不安げに私を見ている。

「女神ソフィア様? どうしたの?」

 ぐぬっ! もう女神ソフィアって呼ばれている。その事も気になるけれど、子供達の表情が曇っている事の方がもっと気になる。

 子供達が一緒にお風呂に入るのは嫌なの? と訴えるように私を見つめる。そんな目でみないで! お風呂に入るのは問題ないの! 全然オッケーなの。問題は別にね……ある訳で……でもそんな私の悩み等、子供達にとってはどうでもいい事なのかもしれない。

「私達とお風呂にはいるの嫌だよね……汚いもの」
「僕達が汚いから嫌だよね」

「えっ違っ違うよ?」

 しまった! つまらない事を気にして、子供達を傷付けてしまった。なんて言葉セリフを言わせてしまったの。はぁ最低だ。女神だろうが、天使だろうが、ただのソフィアだろうが、今はそんな事はどうでもいい。そんな事を気にして子供達を傷付け不安にさせる方がダメだ。

「私はあなた達の事を汚いなんて思った事ないよ」

 子供達三人を引き寄せギュッと抱きしめた。

「わっ綺麗な服が汚れるよっ」
「いい匂い……」
「汚いよっ?」

 子供達が驚き、私から離れようとするが、さらにギュッと強く抱きしめ「汚くなんてないよ? お風呂一緒に入ろうね」そう言って笑い子供達に話した。

 その後、子供達は大はしゃぎで喜んでくれた。

 良かった。

 よし、ではお風呂の仕上げといきますか。大きな浴槽の前に立ち、手から癒しの水を注いでいく。この時ちょうどいい湯船の温かさを願いながら注ぐと、いい湯加減のお湯になった。

「さぁみんなでお風呂に入ろうね!」

 子供達にそう声をかけると、大歓声が巻き起こった。

「わぁぁぁぁい!」
「大きなお風呂!」
「楽しみだぁ」

 その様子をアイザック様とジーニアス様も口角を上げる見ている。その表情で二人の嬉しい気持ちが私にも伝わってくる。

 そんな二人の所に子供達がかけより、「お兄ちゃんは一緒にお風呂に入ってくれないの? 女神様は一緒に入ってくれるんだよ」「お兄ちゃん達も一緒に入ろうよ」とお風呂に誘う。えっ!? 一緒!?

「ぐはっ! 僕がフィアと一緒にお風呂だって!? いやいやそれは早いだれろう。まだ何もしていないのに……でもいずれっ……」

「あぐっ! ソフィアとお風呂!? ソフィアのあられもないっぐっ! 煩悩退散! 煩悩退散!」


 二人は両手で顔を覆うと、ブツブツと呟いている。よく見たら耳が赤い、暑いのかな? その様子を見ていた子供達は「変なお兄ちゃん」っと言って離れていった。

 本当に二人共どうしたんですか? 様子が変ですよ?

 この後、子供達やシャルロッテと一緒に、新しく完成した温泉を堪能した。
 露天風呂なんて、前世以来だけれど。こんなにも最高な事をスッカリ忘れていた。グレイドル領に露天風呂付きの温泉施設を作るのもいいかも……ふふ。

「はぁー最高に気持ちいいね♪」
「はいっ!」

 新たな欲望を想像しつつ、私達は温泉を堪能するのだった。
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