95 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百四十七話 お父様の……
しおりを挟むお父様の目が笑ってない。笑顔ではあるんだけれど、それは口元の口角が上がっているだけ……だって、こんな表情する時は大体いつも、この後でお説教が待ってるんだもん。
嫌だけれど、話を聞かないと終わらない。諦めてお父様の所に歩いて行かないと。
私がすぐそばまで近寄ると、いつもの様にくしゃりと笑う、破顔した笑顔で微笑んでくれた。
あれ? お説教じゃない? そうだよね。良く考えたら人助けしたんだもの、それで怒られるとかおかしいもの。うん。そうよ。
などと一人勝手に納得していると、お父様が話しかけてきた。
「ソフィア? まずはだね? その全身が神々しく輝いているのは何故だい? その姿はまるで天から舞い降りた天使だよ」
「えっ……輝いて?」
自分の体を見ると……本当だ! また輝いちゃってる! この発光の仕方はシルフィ達みたいだよ。
こんなの理由なんて説明出来ないよ。だって自分が分かってないのに……困ったな。
「それが……そのう。癒しの魔法を使うと偶にこの様になるのです」
お父様は、私の話を真剣な面持ちで聞いてくれているが、その内容が理解しがたいのか、途中で何度も首を傾げる。その気持ち私も同感です。
「ええとだね? ソフィアはイヤシデアール侯爵に何か癒しの魔法を使ったのかい?」
「はい! 元気になあれと強く願ったら、ええと……そう! エリクサーが出来ました。それを侯爵様に飲んでもらいました」
「ブッッ! ちょっ……!? フィアたん? 今なんて!? エリクサーって言ったかい?」
何故かお父様がエリクサーと言う言葉に、かなり動揺している。
「はい! そうですよ。さすがお父様、エリクサーを知ってるんですね。実は私は良く分からなくて」
私が返事を返すと、目をまん丸に見開き驚いているお父様。今の会話に驚く要素ありました?
「ん゛ん゛……ええとフィアたん? 君は良く知らないのに、伝説の秘宝と言われているエリクサーを作っちゃったのかい?
「……はい」
なんだろう……お父様の様子がさっきから変だ。顔色が赤くなったり、青くなったりと忙しい。それに伝説の秘宝って何よ。エリクサーにはそんな厨二病的な二つ名があるの?
一人で困惑していると、少しの沈黙の後。お父様がアイザック様の方を見つめる。何か質問でもあるのかな。
「アイザック殿下? 貴方はこの事を知っていたのですか?」
「ええっ!? いいいやっまさか! ソフィアの魔力は桁違いだとは思ってましたが、まさかエリクサーまで作れるなんて! 知らなかったですよ」
「…………はぁぁっ、そうですか。この事は、ここだけの話でお願いしますね? 陛下には私からタイミングを見て話しますので」
「もちろんです!」
二人は深く頷きあった後に私の方に振り返り「もう一度エリクサーを作っくれ」と鬼気迫る勢いで言ってきた。二人ともお顔が怖いです。
「ちょっと待って下さいね」
入れる器がないと、折角作っても意味無いからね。私は先程使ったグラスを再び手に取り、イヤシデアール侯爵様の時と同じ様に強く願った。
「出来た……!」
「ソフィア! そのグラスをもっと良く見せてくれないか?」
お父様が瞳を爛々とさせてグラスを見ている。
「はい。どうぞ」
私はお父様にグラスを手渡した。そのグラスを手にとると、お父様とアイザック様それにジーニアス様までもが加わり。
目を白黒とさせている。きっと鑑定で情報を見ているのかな? みんなはその情報を見て驚愕しているんだろう。
そんなに驚くことなのかな。エリクサーの情報は学園でも勉強しなかったし……もしかして国家機密案件なんだろうか?
私はこの後しばらく、お父様達が冷静に落ち着くのを静かに黙って見ている事しか出来なかった。
96
お気に入りに追加
11,675
あなたにおすすめの小説
異世界テイスト ~宿屋の跡継ぎは、転生前の知識とスキルで女性と客をもてなす~
きーす
ファンタジー
介護職の椎名守24歳が交通事故に巻き込まれたが、女神の計らいで宿屋を経営する両親を亡くした少年シーマへと転生することに。
残された宿屋と大切な女性たち?を守るために、現代の知識とスキルを駆使して異世界を魅了していく物語。
よくある異世界転生のチーレムもので、飯テロ要素も加えてます。
出来るだけですが、週4回くらいのペースで更新していく予定ですので、末永くご愛顧くださいますようお願いいたします。
※この作品は小説家になろう、カクヨムなどにも投稿されております。
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
完結・私と王太子の婚約を知った元婚約者が王太子との婚約発表前日にやって来て『俺の気を引きたいのは分かるがやりすぎだ!』と復縁を迫ってきた
まほりろ
恋愛
元婚約者は男爵令嬢のフリーダ・ザックスと浮気をしていた。
その上、
「お前がフリーダをいじめているのは分かっている!
お前が俺に惚れているのは分かるが、いくら俺に相手にされないからといって、か弱いフリーダをいじめるなんて最低だ!
お前のような非道な女との婚約は破棄する!」
私に冤罪をかけ、私との婚約を破棄すると言ってきた。
両家での話し合いの結果、「婚約破棄」ではなく双方合意のもとでの「婚約解消」という形になった。
それから半年後、私は幼馴染の王太子と再会し恋に落ちた。
私と王太子の婚約を世間に公表する前日、元婚約者が我が家に押しかけて来て、
「俺の気を引きたいのは分かるがこれはやりすぎだ!」
「俺は充分嫉妬したぞ。もういいだろう? 愛人ではなく正妻にしてやるから俺のところに戻ってこい!」
と言って復縁を迫ってきた。
この身の程をわきまえない勘違いナルシストを、どうやって黙らせようかしら?
※ざまぁ有り
※ハッピーエンド
※他サイトにも投稿してます。
「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
小説家になろうで、日間総合3位になった作品です。
小説家になろう版のタイトルとは、少し違います。
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる
みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」
濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い
「あー、薪があればな」
と思ったら
薪が出てきた。
「はい?……火があればな」
薪に火がついた。
「うわ!?」
どういうことだ?
どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。
これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。
ヴァカロ王太子のおもてなし ~目には目を、婚約破棄には婚約破棄を~
玄未マオ
ファンタジー
帝国公女アレンディナの婚約者は属国のヴァカロ王太子であるが、何かと残念な人だった。
公務があるので王宮に戻ってくるのはその日の夕方だと伝えているのに、前日やってきた義姉夫婦のおもてなしのサポートをしなかったアレンディナをけしからん、と、姉といっしょになって責め立てた。
馬鹿ですか?
その後『反省?』しないアレンディナに対する王太子からの常識外れの宣言。
大勢の来客がやってくるパーティ会場で『婚約破棄』を叫ぶのが、あなた方の土地の流儀なのですね。
帝国ではそんな重要なことは、関係者同士が顔を合わせて話し合い、決まった後で互いのダメージが少なくなる形で発表するのが普通だったのですが……。
でも、わかりました。
それがあなた方の風習なら、その文化と歴史に敬意をもって合わせましょう。
やられたことを『倍返し』以上のことをしているようだが、帝国公女の動機は意外と優しいです。
王女ですが、冤罪で婚約破棄を迫られています
杉本凪咲
恋愛
婚約破棄させてもらう。
パーティー会場でそう告げたのは、私の愛する彼。
どうやら、私が彼の浮気相手をいじめていたらしい。
しかし、本当にそんなことを言っていいのかしら。
私はこの国の王女だというのに……。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。