83 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百三十五話 ここは……?!
しおりを挟む「んん~っもうお腹いっぱいだよう……食べ……? ふぁ?」
「ソフィア様? 目が覚めましたか?」
えっ? 目を覚まし……て? 私寝て? ふと声のする方を見ると、シャルロッテが心配そうに覗きこんでいた。
えっ? 何でまたシャルロッテに膝枕されてるの? 私はケーキを食べていて……それで……!?
「ああっ! そうだった!」
思い出した! ケーキを食べていたら急に眠くなって……もしかしてその後何処かに拐われた?
ここは何処?
慌て起き上がり、周りを見ると自分たちの他にも女の子がいた。
私達は部屋の片隅に作られた檻のような鉄格子の入れ物の中にいた。
それはまるで、心無い人が動物を見世物として使う時に入れるような檻だ。
私とシャルロッテの他に、女の子が三人。全員で五人か……この檻をぶち壊して出る事は簡単だけど、屋敷の全容が分からない今、三人の女の子を連れて逃げるのは得策じゃない。
ここは少し冷静に様子を見た方がいい気がする。
静かに時が過ぎるのを待っていると、一人の女の子が叫びだした。きっとこの空気に耐えられ無かったんだろう。
「ちょっと! 出しなさいよ! こんな所に連れて来てどーする気なのよ!お願いだから出してぇ」
そう言って鉄格子をガシャンガシャンと何度も叩く。
「うっうう……お母さんっ家に帰してよ……」
「怖いっ! 嫌だあぁぁぁ」
その声を皮切りに、他の女の子達もつられる様に騒ぎだした。
すると騒ぎを聞きつけた男二人が部屋に入って来た。身なりからすると、冒険者の様にみえる。
「おやおや……目が覚めたのかな? だがな? どんなに騒いでも無駄だぜ? この部屋は防音と逃げれない様に結界の魔道具が設置してあるのからな」
男二人は嫌らしい目つきで、私達一人一人を舐める様に見ていく。
何この気持ち悪い視線は……おぇっ。
「お願いします! 家に帰して下さい! お父さんとお母さんが心配しています」
女の子が泣きながら懇願している。だがそれを嘲笑うかのように男は一瞥した。
「ふうん? その願いは聞けないなあ。だってお前らはな今夜この後、競売に賭けられて貴族様に売られていくんだよ」
「えっ……?」
「奴隷としてな? はははっその平民の癖に整った顔を恨むんだな」
「そうだな? お前らは変態貴族様が可愛がってくれるだろうよ?」
「いやぁぁぁぁぁ!」
その話を聞いた一人の女の子が、ショックで倒れてしまう。その横に居る他の二人は、真っ青になり固まってしまった。
その姿を見た男達は、ニヤリと意地悪く笑うと踵を翻し部屋を出ていった。
ちょっと待って! ええと落ち着け私。ヤバい情報が大渋滞しているんだけど?!
まずこの国では、ドレイは買うことも売る事も禁止だ。もし見つかると懲罰刑に下される。
さらには、オークションで人を競売に賭けるなんて以ての外だ。
もしかして私は今、この街でヤバい事が行われている。一番中枢にいるんじゃ……。
そういった話を小声でシャルロッテに伝えると、シャルロッテも同じ事を考えていたらしく。この後どうするかを二人でじっくり……は無理か。
あの男達が言ってたわ、確か今日の夜には、私達をオークションに賭けるって。って事は、それまでに関わってる奴等全員を、一網打尽にするアイデアを考えなくちゃいけないんだわ。
ようっし見てなさいよ! 許さないんだから。
この時ソフィアが、メラメラと闘志を燃やしたせいで、この後アイザックとジーニアスは、目玉が飛び出る程に驚く羽目になるんだが……。
95
お気に入りに追加
11,655
あなたにおすすめの小説
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつまりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。

夫の隠し子を見付けたので、溺愛してみた。
辺野夏子
恋愛
セファイア王国王女アリエノールは八歳の時、王命を受けエメレット伯爵家に嫁いだ。それから十年、ずっと仮面夫婦のままだ。アリエノールは先天性の病のため、残りの寿命はあとわずか。日々を穏やかに過ごしているけれど、このままでは生きた証がないまま短い命を散らしてしまう。そんなある日、アリエノールの元に一人の子供が現れた。夫であるカシウスに生き写しな見た目の子供は「この家の子供になりにきた」と宣言する。これは夫の隠し子に間違いないと、アリエノールは継母としてその子を育てることにするのだが……堅物で不器用な夫と、余命わずかで卑屈になっていた妻がお互いの真実に気が付くまでの話。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。