上 下
80 / 164
やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編

第百三十二話  貴族令嬢?

しおりを挟む

「お客様困ります! こちらは個別スペースの場所になっていまして……関係者の方以外は立ち入り禁止です」

 プルーチン令嬢の後からラウンジの支配人さんが慌て入って来た。

「あらっ? 何を言ってるのかしら? 私も関係者ですよ」

「えっ? ですがご予約頂きました時に、こちらの四名様以外はスペースに入れないでくれと言われております……」

 支配人さんが困惑顔でプルーチン令嬢をみる。

「なっ……平民風情が、伯爵令嬢の私に向かってなんて口を!? 貴族の私が通せと言ったら、言うことを聞きなさいよ!」

 プルーチン令嬢は扇を閉じると、支配人の手をピシャリと叩いた。

「なっ……?!」

 なんて横暴なの?! いくら貴族だからって言っていい事と悪い事があるわ。
 ぐぬう……言い返したいけど……目立っちゃダメって言ってたし……でも。

 私が怒りを露わにし、プルプルと震えていると。アイザック様は落ち着かせる様に、私の頭をぽんぽんと二回優しく触れると、プルーチン令嬢の前に立った。

「いやぁ……昨日はどうも」

 アイザック様が話しかけると、プルーチン令嬢はパァァァっと効果音が出そうなくらい、瞳を輝かせる。

「ほっほらみなさい! 平民が伯爵令嬢に相手にしてもらえるなんて光栄な事なのよ?」

「えっ……ですが」

 支配人はアイザック様の方を確認するように見る。

「私にティーを用意して、そうねデトックスティーが良いかしら」

 プルーチン令嬢はいけしゃあしゃあと、席に座ろうとする。

「誰が一緒にお茶を飲むと?」

 キターッ! アイザック様の、笑っているのに恐ろしい氷の笑み。そしてその後、ピシャリと断った。

「今日は僕達だけの集まりなんです。友人でない方はご遠慮下さい」

「なっ!? 失礼なっ! 私の誘いを断ると?」
「はい。全く関係ないので邪魔ですね」

 アイザック様に邪魔だと言われプルーチン令嬢の顔がドンドン赤くなる。


「なっなっなっ……! 少しお金があると思って商人風情が偉そうに! 平民が貴族に逆らって良いとでも思って?」

 アイザック様に冷たくあしらわれ! とうとう顔を真っ赤にして怒るプルーチン令嬢。その姿はとても淑女と言われる貴族令嬢には到底見えない。

 更に追い打ちをかけるように、アイザック様は捲し立てる。

「貴族令嬢と名乗るお方が知らない訳ないと思いますが、公共施設等みんなが使う施設は、貴族も平民も平等である。と現国王様が法を作られましたよね? 貴方はこの公共の場において、僕達に対して失礼な事ばかりを罵った。許される行為ではありません」

「なっなっ……!!」

「僕らは貴方を、法の元により裁く事が出来るんですよ? ここには証人がこんなに集まってくれていますからね。貴方の暴言は逃れようがないですよ?」

「そっそんなっ……」

 プルーチン令嬢は周りを見渡し、青ざめていく。

「まだこれ以上この場に居座るというなら……」

「あっ私ったら用事を思い出したわっ!」

 そういうと、プルーチン令嬢は逃げる様にその場を離れた。

 次の瞬間ラウンジにいた他のお客様達から拍手喝采の大歓声が巻き起こる。

 意味が分からず困惑していると、支配人が理由を教えてくれた。

「ありがとうございます。いつもプルーチン令嬢の我儘には困っていたんです。今回の件でスッキリいたしました」

 支配人はニコリと笑うと「ごゆっくり」と去っていった。

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません

abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。 後宮はいつでも女の戦いが絶えない。 安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。 「どうして、この人を愛していたのかしら?」 ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。 それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!? 「あの人に興味はありません。勝手になさい!」

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。