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やり直しの人生 ソフィア十三歳魔法学園編
第百二十六話 報告とお土産
しおりを挟む「心配をおかけしました。みんなただいまー!」
私はくしゃりと破顔し、ここ一番の笑顔で笑った。
それと同時に、シャルロッテが凄い勢いで走って来た。
「ソブィアッざまぁー! しっ心配しっしていたんですよぅっふうぅ」
シャルロッテは泣きながら、私を力強く抱きしめてきた。
「心配かけてごめんね」
涙腺崩壊しているシャルロッテの背中を、落ち着かせる様に優しく撫でる。こんなに泣くほどの心配をかけるなんて……本当すみません。
ふと横に視線を逸らすと、アイザック様とジーニアス様が両手を広げて気不味そうに固まっていた。何故そんなポーズで固まってるんだろう?
沢山泣いて落ち着いたのか、シャルロッテは「すみませんっ私ったら……興奮して」と恥ずかしそうに、私から離れた。
「ふふふ。逆に嬉しいわ」
「ソフィア様!」
私とシャルロッテが、見つめ合って笑っていると。
ーーソフィア! 良かったぁ。戻って来れたんだな。オイラ心配してたんだぞ!
ーーそうよ。まぁ……異世界に飛ばされるとか、ソフィアらしいけどね。ふふっ。
「シルフィにウンディーネ! 何でここに?!」
ーー僕もいるよ?
足元にふわりと柔らかい被毛が触れる。
「リル!」
私はリルを抱き上げ。柔らかな被毛に頬を擦り寄せた。
ううっ……可愛いい。
ーー僕らもね、ソフィアをこの世界に戻す為のお手伝いをしてたのさっ!
今度はノームが前脚でドンッと土を踏み、鼻息荒く登場した。
私の為にみんな集まって? どうしよう……嬉しくて泣きそう。
ーー精霊王様が異空間とこの世界を繋ぐには、精霊力がいっぱい必要だから、手伝ってくれって言うからね。
ーーそうそう。だから私達は、この場所から力を送ってたの。この場所に妖精達もかなり集まってるのよ。
そうだったんだ。みんな……ありがとう。
ーーそうか! 俺を助ける為に集まってくれたのか! ありがとうな!
サラマンダーが前に出て来て、見てくれと言わんばかりにくるくると飛び回っている。
ーーサラマンダー!!!
シルフィ達の声がそろう。
ーー元はと言えばお前がマヌケだからこんな事になったんだぞ。
ーーそうよっ! この借りは百倍で返して貰うんだからね。おマヌケサラマンダー。
シルフィとウンディーネが少しバカにした様に捲し立てる。
ーーなっなんだよう……その言い方っ! 俺の事は心配じゃなかったのかよ!
ーー全然!!!
またしても声がそろう。
サラマンダーの翼が丸くなり、さっきまでの元気がなくなる。
ええと……少し可哀想に思えて来た。
ーーぶっははっ冗談だよ。お帰りサラマンダー。無事で良かった。
ーーふふっ。異世界での話を聞かせてよね。
シルフィとウンディーネがふわりとサラマンダーの所に飛んで行く。
ーーみんな……ううっ。
良かったね。サラマンダー。
みんな優しいね。
サラマンダー達の様子を微笑ましく見ていたら、アイザック様がんんっと咳払いをし「ねえソフィア? 僕達にも異世界であった事を話してくれないかい」と何とも言えない表情で話しかけて来た。
「もちろんですわ」
話したい事はいっぱいあるんだから! 何なら全て聞いて貰うまで、終わりませんよ?
私は異世界での出来事を、興奮気味に話しだした。
「まぁ! ではそのティーゴ様と言う方に、暴漢から助けて貰ったのですね」
シャルロッテが瞳をキラキラとさせ私を見る。
ええと……正確には暴漢を倒した後の後始末をしてくれたのだけど、まぁそれは言わなくても良いか。
「その後、グーテ祭りとやらを楽しんだのか? その男と二人っきりで?」
アイザック様が何やら眉間に皺寄せ、渋い顔をして質問して来た。何故にそんな顔を?
「………ええと、一緒に居たのはティーゴ様とパールちゃんとカリン様とグリモワール様、それに銀太ちゃんとスバルちゃんとコンちゃんが居ました」
「そっ……そんな大勢で。なら別に問題は……うん大丈夫」
質問してきた癖に、アイザック様は一人ぶつぶつと何やら呟いている。
みんな質問が多いなぁ。このペースじゃ中々先に進まないよ? まだまだ話したい事、沢山あるんだからね。
「まぁぁ! 異空間で肉祭り? 楽しそうですねっ」
「そうなの! ティーゴ様の作る料理は全て美味しくって……今思い出しても頬が蕩けそう。うふふ」
料理の事を思い出し、私はウットリと頬を染める。
「ソフィア! 君にそんな顔をさせる程に……ティーゴって奴の事が?」
何やらジーニアス様が息巻いている。ティーゴ様がどうしたって言うのだろう?
「惚れたのか?」
ジーニアス様が惚れたのかと聞いてくるが、何にだろう? 料理の事かな?
「ええ。料理の美味しさに惚れました」
そう答えると、アイザック様とジーニアス様の二人は「何だ……料理か」と言って右手で頭を押さえて項垂れた。ええ……どうして?
まぁ良いか、話を続けよう。
「そして……一番のメインイベント! 最高の筋肉美ベヒィ様との出会いですわ。ベヒィ様の美しい大胸筋…上腕二頭筋…「ちょっと! ソフィア待ってくれ」
私がベヒィ様の筋肉について、熱く語ろうと思っていたのに、話の途中でアイザック様に止められる。
「ソフィアはその……何でベヒィ様とやらの、筋肉を見てるんだ? 筋肉を見たって事はだ。そのっ……裸を……」
アイザック様の顔は、赤くなったり青くなったりと忙しそうだ。
「何でと聞かれましても……ベヒィ様はいつも上半身裸ですし、腰にエプロンしか巻いてませんし……」
「なっ! いつも上半身裸だって?! そそっソフィアはそんな破廉恥な男とずっと一緒に」
「なっ! 破廉恥なんてはしたない言葉でベヒィ様を言い表さないで下さい! 神聖なる肉体美なんですから!」
そう答えると、アイザック様は座り込んで項垂れてしまった。
「……そんな……裸にエプロンだぞ? そんな変態が良いのか? ソフィアの好みが分からない。僕も裸にエプロン姿を見せたら良かったのか?」
アイザック様は一人の世界に入ってしまった。もはや何を言っているのか、声が小さ過ぎて聞き取れない。
ジーニアス様に至っては、何故かカチンと固まってしまって、全く動かない。
二人共大丈夫ですよね?
「ええと……話を進めても良いのかな?」
「はいっ」
シャルロッテだけがニコニコと話を聞いてくれたので、この後お風呂に入ったら広くてテーマパークの様だったとか、パジャマパーティーが楽しかった話をした。
シャルロッテは「私もソフィア様と温泉とやらに入りたいですし、パジャマパーティーもしたいです!」っと頬を桃色に染め鼻息荒く話すので「ふふ、もちろんよ」と返した。
確かに温泉は魅力的だものね。でも温泉はこの世界にはないから、作ってみるのも良いかもしれない。
「ソフィア様はそのベヒィ様が大好きなんですね」
「もちろんよ! 大好き。お別れする時本当に悲しかったわ」
ベヒィ様の事を思い出したら、未だに涙が出そうになる。もちろんティーゴ様達の事も。
その話を聞いていたのか、アイザック様が顔を上げ真剣な目で私を見る。
「そうか……ソフィアはそのベヒィと言う奴と……愛を誓いあったんだな」
アイザック様は振ら付きながら立ち上がると、私の両手を握った。
その顔色は今にも倒れそうな程に青い。
「…………僕は、ソフィアがベヒィ様を抱きしめている所も見た。でもね? この世界にはもうベヒィ様はいないんだ。だから愛する人をこの世界で見つけてくれないか?」
ええと……アイザック様? 真剣な顔で何を言ってるんですか?
私とベヒィ様が愛を誓い合う? 確かに抱きしめましたけど……。何を勘違いして。
「ブッッ!」
想像すると余りにも可笑しくて、思わず笑ってしまった。
「なっ何を笑って……僕は真剣にっ」
アイザック様は今にも泣き出しそうだ。その瞳には涙が溜まっている。
しまった! ええと……どうしたら。
私はそのままアイザック様をギュッと抱きしめた。
「ふあっ?!」
「あのですね。あれは信頼の抱擁ですよ。感謝の気持ちだったりの。分かりますか? 今している抱擁と同じです」
「あっあわっ」
何故だか真っ青だったアイザック様の顔が真っ赤になっている。しかもプルプルと震えて……。
いつもアイザック様の方から私を抱きしめる時は、私の方が恥ずかしくて赤くなるのに……今日は逆ね。
そうか、人は急にこうやって抱きしめられると赤くなるんだわ。
私は一人納得し、アイザック様から離れた。
「だから私とベヒィ様は何もありません。って言うかベヒィ様はベヒィーモスという魔獣ですから! 愛し合う事はありえません」
何を勘違いしてるんですか?
私はドヤァと鼻息あらく声を荒げて言い放った。
少しの沈黙の後。
「「「ええええええー!!!」」」
三人の驚愕する声が集会所に響きわたる。
「ちょっとソフィア? ベヒィは魔獣だって!」
「まるで人みたいな語りだったじゃないか!」
「ベッベヒィーモス?!」
いやいや……こっちこそ驚きですよ! 普通に考えて、人が裸にエプロン姿でウロウロしてたら……変態でしょうが! と心の中でツッコミを入れる。
この後、三人からの質問タイムは延々と続き、終わらないのだった。
ソフィアさん……その説明では誰もが誤解すると思うんですが?
★ ★ ★
優しい読者様♡(*´꒳`*)♡
いつもソフィア達のお話を読んで頂きありがとうございます。
楽しいコメントもありがとうございます♪感謝です(*´꒳`*)♡
読む度にニマニマしています♪
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